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スマートフォンが消費する電力はどのくらい?

電力需要の逼迫から、この夏も全国各地で節電が求められる状況になっています。S-MAX(エスマックス)的には、従来型携帯電話より「電池食い」と呼ばれているスマートフォンが節電の足を引っ張りはしないかが気になるところ。

そこで、今回はスマートフォンやタブレットなどを充電する際の消費電力を測定し、パソコンやテレビなどと比較してみます。

そこから見えてきたのは、一般に電池食いのイメージがあるスマートフォンやタブレットなど「スマートデバイス」が節電に寄与できる可能性でした。

今回電力測定に使用したのは、コンセントと電気機器の電源ケーブルの間に接続して使うタイプのメーターです。複数の商品が市販されており、電器店で普通に購入することができます。

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スマホ充電の消費電力は6W程度、充電完了後の電力消費にも注意

まず、スマートフォンや携帯電話、タブレットを充電している時の消費電力を測定します。充電の際には概ねバッテリーが50%以下の状態から充電を開始して測定しました。また充電完了後もしばらくそのまま充電を継続し、電力の変化を測定しました。なお以下において「0W」はメーターの測定限界による表示値であり、全く電力を消費していないという意味には必ずしもならないことに注意が必要です。

端末・充電器 消費電力
充電中 充電完了後
iPhone 4S + 付属ACアダプタ 6.2W 0.5W
ISW11SC + au 共通ACアダプタ03 6.2W 0W
007SH + ZTDAA1(共通ACアダプタ) 4.5W 0W
P-09A + FOMA 共通ACアダプタ02 4.8W 0W
新しいiPad + 付属ACアダプタ 12.1W 0.5W

スマートフォン用の充電器が従来型携帯電話用より大きな電力を消費することが測定値から見て取れます(007SHはスマートフォンですが、使用している充電器は従来型携帯電話用です)。スマートフォン用充電器の定格は5V、1Aの場合が多いですが、この計算では消費電力は5Wとなり、変換によるロスにより6.2Wという数値になっていると思われます。新しいiPadについては定格5V、2Aで10Wとなり、ロスを含めて12.1Wという測定値は妥当です。

ちょっと気になるのは、iPhone 4Sと新しいiPadにおける充電完了後の電力で、常に0.5Wが消費されています。端末が内部的に消費する電力を常に供給しているのでしょうが、ともあれ充電後も電力を消費していることには間違いありません。この傾向は(今回測定では)AppleのiOSデバイスのみに見られ、Androidスマートフォンや従来型携帯電話には見られませんでした。

PCやテレビなどの消費電力は?

今回測定したスマートフォンやタブレットの消費電力は、他の電気機器と比べてどうなのでしょうか。同じメーターを用いて比較してみましょう。

機器 消費電力
使用中 オフ時 スリープ時
自作PC
(AMD Phenom II X4 945 3GHz)
100W前後 4.0W 5.3W
モニター
(MITSUBISHI RDT261WH 26インチ液晶)
53.2W 0W 1.8W

まずPC周りの測定値から。デスクトップPCやモニターは電力の消費が想像以上に大きく、今回の測定ではPC+モニターで150Wを超えました。またスリープ状態のときは使用中に比べれば省電力と言えますが、やはり電力消費は存在します。特にデスクトップPCは、スリープ中の電力消費は携帯電話の充電中に相当し、さらに電源オフ時も電力を消費しています。

機器 消費電力
使用中 待機中
テレビ
(Victor LT-26LC80、26インチ液晶)
78W 0~25W
DVDレコーダー
(HITACHI DV-DH500D)
58W 3.9W

電源OFF時も電力を消費する家電の話題では必ずといっていいほど登場するテレビやレコーダーは、やはり予想通りといった印象。電源OFF時でも定期的に起動して番組表を取得するため、その際には更に電力を消費します。今回測定したテレビは画面の大きさが小さいためか、使用中の消費電力はPCほどではありませんが、大画面テレビになればその分消費電力は大きくなると思われます。

PCの作業をスマートデバイスで代用出来れば節電が可能

さてこれらの測定値を見てみると、PCやテレビなどと比較してスマートフォンやタブレットの消費電力は非常に少ないということが言えます。仮にiPadを常に充電しながら使ったとしても(約12W)、その消費電力はデスクトップPC+モニター(約150W)の8%程度。どうしてもPCを必要とする作業以外、例えばWebブラウジング程度の軽作業をデスクトップPCの代わりにタブレットやスマートフォンで行うことで、消費電力の大幅な削減を見込むことができそうです。

節電は電力消費の割合が大きいところで行うのがより効果的で、それゆえ公共施設・大企業など大きな建物や、家庭ではエアコンなどに注目が集まりがちですが、利便性を落とさずに電力消費を抑えるという意味では、スマートフォンやタブレットなどのスマートデバイスが寄与するところもありそうです。普段なんとなくPCでだらだらWebブラウジングをしているという人は、電力需要のピークタイムにはPCを止めてスマートデバイスを使うという方法も有用かもしれませんね。


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