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最強のスマホネットワークへ!

既報の通り、KDDIおよび沖縄セルラー電話は14日、auブランドで展開するLTEサービス「4G LTE」を今月21日(金)の「iPhone 5」発売日に合わせて開始することを発表しました。

当初、4G LTEサービスは今年の12月に開始する予定でしたが、その予定を3ヶ月前倒しすることになります。

サービス開始に先立ち、東京都内で急遽、記者向け説明会が開催されましたので、その様子を紹介します。

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説明はKDDI 石川雄三氏が担当

プレゼンテーションには、KDDI取締役執行役員専務の石川雄三氏が登壇し、今までauの通信面における取り組み、4G LTEの通信面での特徴プラスアルファ、4G LTEのサービス内容の3点を説明しました。

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混雑対策として「EV-DO Advanced」を導入し……

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海外メーカー端末(どう考えても主にiPhone 4S)のサービス拡充をし……

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一部の顧客満足度調査では満足度No.1に!

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MNP(モバイルナンバーポータビリティ)での新規契約もナンバー1に!


auは競合他社と通信規格が異なる「CDMA2000」規格であること、規格が一緒の海外とデータ送受信に利用する周波数帯が逆になっていることなど、いろいろな要因が重なってスマートフォンへの参入が遅くなってしまいました。

それが変わってきたのが、昨春の「HTC EVO WiMAX ISW11HT」の投入あたりからです。データや通話音声の送受信に使う周波数帯が、海外オペレーター(キャリア)と揃っている「新800MHz帯」がある程度整備されたことから、海外で販売されているCDMA2000規格の端末を導入しやすくなったのです。「iPhone 4S」を導入できたのも、この恩恵です。

それに伴い、スマートフォン時代に向けた様々な取り組みをしてきました。例えば、データ通信時、混雑のより少ない基地局に接続させる「EV-DO Advanced」技術の導入がそのひとつです。石川氏は、「導入した結果、お客様の通信体感速度が約2倍に向上した」と、その成果をアピールしました。また、Eメール(ezweb.ne.jp)への完全対応、国際的に利用されているSMS(ショートメッセージ)・MMS(マルチメディアメッセージ)への準拠など、グローバル端末に対するサービス面での改善もしてきました。

さらに、石川氏は、iPhoneという言葉はまったく発しませんでしたが、「Eメールのリアルタイム着信も可能になり、他社と比べても劣らないどころか、一部の機能では我々の方が優位に立っている。」という説明から、強くiPhoneを、そして同じくiPhoneを扱うソフトバンクモバイルを強く意識していることが伺えました。

新技術の導入やサービス面での改善によって、一時期低迷していた顧客満足度も、一部調査で第1位を取り戻すことができました。また、MNP(モバイルナンバーポータビリティ)において、転出超過な時期もありましたが、それも11ヶ月連続で転入超過、しかも、転入数第1位と、MNP開始当初の勢いを取り戻している印象です。

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最強のスマホネットワークへ……

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4G LTEをスタート!

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まずはiPhone 5で対応する2.1GHz帯から!


その取り組みをさらに進めるものとして、LTEサービス「4G LTE」がスタートすることになります。石川氏は、「12月までには開始するとお伝えしていたが、それを3ヶ月と、大幅に前倒して2.1GHz帯から開始する。800MHz帯・1.5GHz帯は少し遅れて同時に開始するが、これら3バンドで平行して拡大していく。今年度末までには人口カバー率96%を目指す」としました。

実は、auのLTEサービスは本来800MHz帯・1.5GHz帯で展開されることになっていました。現に、今冬・来春に向けて準備を進めている4G LTE端末はこれらの周波数帯を使うように設計されているようです。それに急遽2.1GHz帯が加わったのです。理由はどう考えても4G LTEサービスインの日に発売となる「iPhone 5」にあります。

同機は、2.1GHz帯のLTEに対応する一方、800MHz帯・1.5GHz帯のLTEには非対応です。iPhone 5のために、急ごしらえな2.1GHz帯からサービスインする、と考えるのが自然なのですが、発表会の質疑応答では「サービスイン時は、1機種のみ対応する」とし、iPhone 5の名前は一切出てきませんでした。発表会後のプレスリリースでようやくiPhone 5が対応機種と判明する訳ですが、その場で発表できない理由があったのでしょう。

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サービスイン時は最大75Mbpsで。来年度には最大112.5Mbpsを目指す


4G LTEのサービスイン時は、5MHz幅×2の電波で最大下り75Mbps(理論値)の通信速度となります。これは、現在auが提供しているWIN HIGH-SPEEDの最高速度よりさらに約8倍高速です。

ただし、使える電波帯域の都合から、大半のエリアにおいて、初期段階では5MHz幅の電波で最大下り37.5Mbps(理論値)の通信速度となります。なお、これらはPHSの制御用電波帯域が移動したことによって空いた帯域を利用したものです。

今後、現在CDMA2000で利用している2.1GHz帯の15MHzのうち、LTE用帯域と隣接している5MHz分をLTEに転用して、最大下り75Mbpsのエリアを急速に増やすそうです。

それによって、来年度からは、下りの最大通信速度を15MHz幅で112.5Mbps、さらに20MHz幅で150Mbps(ともに理論値)と高速化する計画があるそうです。

iPhone 5が使う2.1GHz帯は、先ほども述べたとおり、15MHz幅(10MHz幅)をCDMA2000で利用しています。これを全部LTEに転用できれば150Mbps達成可能ですが、CDMA2000での混雑緩和にこの帯域がかなりの効果を発揮している現状では全部LTEに振り向ける訳にはいかないはずです。

また、800MHz帯は、CDMA2000のメインバンドゆえに、これまた削減するのが厳しいと思われます。冷静に考えると、完全にLTE専用帯域となる1.5GHz帯を中心に高速化対応をするのかな、と思われます。そもそも、iPhone 5はハードウェア的にも下り最大100Mbpsまで対応、とのことなので、現状はそこまで気にしなくて良いことですね。

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音声通話への切り替え(CSフォールバック)は最新技術を採用して高速に

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LTEだけ待ち受けることで電池持ちに配慮

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緊急地震速報・緊急速報メールは今まで通り待受時間への影響なし


現行のLTE規格では、音声通話に関する規格(VoLTE)はあるものの、世界統一規格策定がつい最近終わった感じで、日本での実用化は早くて来年度と言われています。そこで、音声通話は従来規格(W-CDMAやCDMA2000)を使ってやることになります。その際の通信ネットワーク切替の仕組みを「回線交換(CS)フォールバック」と言います。従来方式のCSフォールバック(ドコモのXiなどで採用されている)の場合、LTEから3Gにネットワークを切り替えてから発信処理をするため、発信から呼び出し音が鳴るまで約8秒かかります。

auの4G LTEでは、発信処理をLTEネットワークで行う「eCSFB(高速回線交換フォールバック)」という最新技術を採用し、発信から呼び出し音が鳴るまで約4秒でできるようになりました。

従来のCDMA2000規格では、回線交換(1X)とデータ通信(EV-DO)を交互に待ち受けていたため、若干電池持ちに不利な状況でしたが、4G LTEでeCSFBを採用した結果、LTEのみ待ち受けることができるようになって電池持ちに不利と言われるLTEでも、改善ができているそうです。

LTEでは、緊急地震速報など使う緊急同報システムとして、「ETWS(Earthquake Tsunami Warning System : 地震津波警報システム)」が世界統一規格として策定されています。この方式は、従来方式の緊急同報システムよりも迅速に警報を出せる(4~5秒早く警報を開始できる)ことが最大の特徴で、既にドコモがiモードケータイ(LGエレクトロニクス製を除くC型番の機種から対応)と、Xiスマートフォンで採用しています。auの4G LTEでも、同方式で緊急地震速報や災害避難情報・津波警報を配信することになります。仕組み上バッテリー消費には影響しないので、安心です。

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au Wi-Fi SPOTは一部を除いて5GHz帯(802.11a)にも対応しています


高速通信ということで、au Wi-Fi SPOTの話にも触れました。4G LTEの端末は、全て5GHz帯の無線LAN(IEEE802.11a)に対応していて、au Wi-Fi SPOTもごく一部を除いて5GHz帯に対応したアクセスポイントを整備している、というアピールです。

2.4GHz帯は、モバイルルーターの普及や、公衆無線LANスポットの乱立、Bluetoothや無線キーボード・マウスが同じ帯域を使っていることなど、いろいろな要素が相まって快適な通信ができないことが多くなっています。5GHz帯であれば、利用者がまだ少ないことや、帯域をより広く取れる(IEEE802.11nでの一定速度以上の高速通信は5GHz帯限定)ことから、石川氏は「実測でも非常に高速にお使い頂ける」と、自信を持って語っていました。

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4G LTE端末ではテザリングも「解禁」します(ただし有料)


「選べる自由」を標榜する昨今のau。4G LTE端末では、全機種、他の通信機器と通信回線を共有する「テザリング」に対応します。すでに、+WiMAX対応機種に限って対応していますが、4G LTE端末ではどの機種でもテザリングOKとなります。

ただし、テザリングは、+WiMAX同様、有料オプションとなり、月額525円支払う必要があります。その場では発表されませんでしたが、iPhone 5ではキャンペーンとして、今年の年末までにテザリングオプションを契約すると2年間無料で使えます。iPhone 5以外でも同様のキャンペーンはやるのでしょうか……?

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LTE NET加入者は、「海外パケット定額」で通信事業者を選ぶ必要なし!

4G LTEでは、「海外パケット定額」において、対象事業者を自動で選ぶため、手動でオペレーター選択する操作が不要になります。

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LTE用料金プラン
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LTE料金プラン用オプション
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スマートバリューも適用可能!


4G LTEの料金プランは非常にシンプルで、通話プランは「LTEプラン」のみ。月額980円で、1時~21時までau携帯電話どうしの通話が無料となります。無料通話分はありません。オプションで、無料対象外の21時~翌1時までの時間帯もau携帯電話どうしの通話を無料するにする「au通話定額24」が月額500円で、国内宛て(au携帯電話を除く)の通話料金を半額にする「通話ワイド24」を月額980円で用意されます。

パケット通信プランは、「LTEフラット」のみで、月額5985円で7GBまでフルスピードで通信できます。7GB超過分は上下ともに128kbpsに通信速度が制限され、2GBあたり2625円を支払うと速度制限が解除される、という仕組みです。先述のとおり、テザリング利用時は月額525円必要で、このオプションに加入しているとフルスピードで通信できる量が500MB(0.5GB)増えます。

そのほかのオプションで特筆すべきなのは、留守番電話サービスで、無料で使えた「auお留守番サービス」は4G LTEでは用意されず、現在iPhone 4S向けに提供している月額315円の「auお留守番サービスEX」のみとなります。お留守番サービスEXと同じ料金で、さらに「待ちうた」、「迷惑電話撃退」、「三者通話」も利用できる「電話きほんパック」が提供されます。電話きほんパックは、来年5月までに加入すると、加入後最大半年間無料で利用できるキャンペーンも実施します。

これだけ見ていると、ドコモのXiの音声通話向けプランと比べると割安感が全くないように見えます。この点について、スマートバリューと組み合わせた訴求や、発表会後に発表された「女子割」「男子割」を利用するなどして料金の割安感を出したいようだ。

ともかく、4G LTEは来週金曜日に始まります。サービス開始が楽しみですね。

記事執筆:せう(井上翔)


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