他社のスマホでも「だれとでも定額パス」で通話無料に

ウィルコムおよびウィルコム沖縄は4日、2013年夏に発売予定の新商品および提供予定の新サービスを披露する「2013年夏モデル 新商品・新サービス発表会」を開催した。

今回の目玉はなんと言ってもPHSの強みを活かした音声通話に関する2つの発表だろう。1つは「だれとでも定額パス WX01TJ」、そしてもう一つは振り込め詐欺などの固定電話宛ての迷惑電話の着信を警告する「迷惑電話チェッカー WX07A」だ。

今回は、これらの新商品・新サービスを含め、新しくソフトバンクグループの一員となった新生ウィルコムとしての戦略について、発表会のプレゼンテーションを元に紹介していく。


まずはじめに紹介されたのが、だれとでも定額パスだ。これは、同社の通話サービス「だれとでも定額」(月額980円で1回あたり10分以内の国内通話が月500回まで無料となるもの)を、他キャリアのスマートフォン(現在はAndroidのみ)でも利用できるようにするカード型の端末だ。

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プレゼンテーションに登壇したソフトバンク代表取締役副社長で、ウィルコム代表取締役社長の宮内謙氏は「ローコストで価値あるサービスについて、航空会社におけるローコストキャリア(LCC)の利益率が高い。」ことを例に挙げ、「ローコストで価値あるサービスを提供していけばそこに大きな道があるはずだ。」と語った。

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ウィルコムでは、ローコストで価値あるサービスであるだれとでも定額が大ヒット、2年半で270万に加入者数となったという成功例を提示し、「これに続くサービスとして『ドコモ・ソフトバンク・auなど他社のスマートフォンでもだれとでも定額を使えるようにしたらどうだろうか?』というアイディアから生まれたのが今回発表する『だれとでも定額パス』だ。」とした。

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だれとでも定額パスについては「クレジットカードサイズのPHSアダプターを鞄やポケットに入れておいて、他社のスマートフォンからBluetooth経由で接続することでだれとでも定額を利用できる。」と説明した。

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宮内氏は「どれだけのニーズがあるかわからないが、結構なニーズがあるはずだ。」とし、その根拠を音声通話を使う人は月に5,000~6,000円ほど利用しており、そのコストを一気に4分の1、5分の1にできるとし、固定電話や他社キャリアと多く通話するユーザーに対してだれとでも定額パスなら月額1,470円通話ができるという強みを強調した。
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月額1470円で他社スマホでも通話無料に


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続いて、迷惑電話チェッカーについて、宮内氏は「気軽に通話を楽しんでもらうということが我々(ウィルコム)のモットー」と説明し、「2012年だけで364億円の被害が出ている電話による詐欺事件に対して、我々の機能を使ってなんとかシャットアウトできないかと考えて作ったもの」であると語った。

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固定電話にも拒否設定など個別に設定できるが、それをソーシャルにすることで多くのユーザーが新たな脅威に対応できるという仕組みを作り上げたという。迷惑電話として登録されている電話番号からの着信に対して、着信ランプや音声、ディスプレイ表示で警告するもので、うっかり出てしまうことを未然に防げる仕組みだ。

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迷惑電話だと思った電話に対して、拒否ボタンを押すことでデータをセンターに共有し、多くの通報があったものを迷惑電話拒否リストに登録し、個人的な迷惑電話と振り分ける仕組みを作り上げているという。

固定電話向けのサービスということでウィルコムの技術がどこに絡んでいるのかが気になるところだが、拒否リストサーバーと、サーバーからの拒否リストの受信・拒否したい電話番号の送信にウィルコムのPHS網が利用されている。電波の状況によっては固定回線の方も利用するという。

災害時でも繋がりやすく、クリアな音声で通話ができるPHSの特性を活かしただれとでも定額パス、社会問題となっている電話による詐欺事件に遭わないようにするきっかけとなる迷惑電話チェッカー、どちらもローコストで価値あるサービスである。

使ってみればお得であるこれらのサービスを、どれだけ認知させられるかが、今後の普及のカギとなるだろう。

なお、同発表会では、元々、ウィルコムが周波数を割り当てられ次世代PHSとして事業をスタートし、その後、会社更生法適用やソフトバンクなどの支援によって事業分割されたWireless City Planning(WCP)が提供するTD-LTEと完全互換のAXGPによる高速データ通信サービスにも対応したAndroidスマートフォンなども発表された。

ウィルコムでは、他社がスマートフォンに完全に移行しているのに対し、これまでのようなケータイ(フィーチャーフォン)もスマートフォンも、そして、今回発表したような特殊な端末もやっていきたいとした。

ソフトバンクグループとして再出発する新生ウィルコムの今後も注目していきたいと思う。
WX02SH

記事執筆:mi2_303


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