auがLTEネットワークの障害対策と今後の戦略を発表!

KDDIは2日、au向けの「モバイルネットワーク説明会」を都内にて開催しました。説明会は「一連のLTE通信障害への対策とこれからのLTEネットワーク戦略について」と題し、障害対策の進捗と今後の方針についてKDDI代表取締役社長の田中孝司氏および同社技術統括本部エリア品質強化室長の木下雅臣氏によって説明が行われ、今後の方針では「どこでもつながる力」「超高速でつながる力」「こだわりのつながる力」と3つの項目を掲げ、3つの周波数帯におけるマルチバンド(トリプルバンド)を用い、接続性・高速性・広範性を持ったLTEネットワークを構築していくということです。

特に超高速では、すでに8月から2.1GHz帯における20MHz幅を利用した下り最大150Mbps化がネットワーク側ではスタートしているということです。本記事では、その他の説明会で紹介された内容について追って詳細をまとめる予定です。

02
KDDI田中氏(左)



◯一連のauネットワーク障害について
説明会では、まず、6月10日に行われた一連のネットワーク障害に対する説明会を振り返った内容が紹介され、障害対策の進捗が説明されました。

KDDI、au向け4G LTEの5月末に起きた通信障害についての詳細な説明会を開催!原因と今後の対策を発表――スマホ&4G時代に見合ったネットワーク基盤構築へ - S-MAX

4月27日および5月29日、30日に立て続けに起きたau向け高速データ通信サービス「4G LTE」および、それに伴う音声通話・SMSなどの通信障害についての詳細な原因と、今後の対策に関して明らかにしたもの。対策は、5月中に実施する予定だった設備投資額にさらに70億円を追加し、総額300億円を4月に起こった通信障害も含めた対策に投資する予定としていた。
 4月27日:データ通信影響最大約59万(東京都、神奈川県、山梨県の一部)
 5月29日:データ通信影響最大約56万(東京都、神奈川県、山梨県の一部)、音声影響発信約2.8万/着信約8.6万
 5月30日:データ通信影響最大約64万(東京都、神奈川県、山梨県の一部)

ハードウェアおよびソフトウェアの改善・拡充は前倒しで8月中頃に完了し、MMEは障害時の3倍の60台にまで増加させており、今後、さらに増やす予定とのこと。障害対策は大方終了しており、今後はさらにネットワーク強化のフェーズに入っていると説明しました。

03



◯今後のau 4G LTEネットワーク戦略について
auでは、4G LTEのサービス開始からようやく1年が経ち、新しいau 4G LTEの「つながる力」として「どこでもつながる力」「超高速でつながる力」「こだわりのつながる力」と3つの項目を掲げ、今後のネットワーク強化を行っていくということです。

まず、どこでもつながる力としては、800MHz帯および1.5GHz帯、2.1GHz帯の3つの周波数帯によるマルチバンドLTEで隅々までエリア化し、特に、800MHz帯でいち早くLTEの全国エリアを“完成フェーズ”へ導いたとのこと。2013年8月末現在でLTE全国エリアは実人口カバー率97%となっており、これをさらに2014年3月末に99%とする予定。

その特性から隅々まで電波が届く800MHz帯を利用し、カバー面積が大きく拡大し、実人口カバー率97%から99%になると、面積比では約1.5倍になるとしています。

2.1GHz帯の4G LTE実人口カバー率は2013年8月末時点で72%、今期末で80%を予定し、来期はさらに拡大する予定であるとのこと。周波数幅別では、5MHz幅以上が72%、10MHz幅以上が31%、15MHz幅以上が6%となっていると紹介されました。

続いて、超高速つながる力は、800MHz帯では10MHz幅で運用していることから下り最大75Mbpsに加えて、1.5GHz帯でも同様に10MHz幅運用で下り最大75Mbpsとなっていますが、2.1GHz帯では5MHz幅、10MHz幅、15MHz幅、20MHz幅と利用エリアの状況に応じて利用周波数幅を変更し、20MHz幅を利用した場合には、下り最大150Mbpsまでネットワーク側は対応することになります。

端末側が対応していないため下り最大150Mbpsでは利用できないものの、この下り最大150Mbps化はすでに8月からスタートしており、秋以降に発売されるUE Category 4に対応した製品を利用することで利用できるようになるということです。

マルチバンドをシームレスに切り替え、混雑時でも快適なLTEネットワークが利用できるようにしているとのこと。混雑状況を把握し、少しでも空いている周波数帯に自動的に選択して通信を行うようになっています。

各社LTE基地局免許数は、2013年8月3日時点でauが800MHz帯で3.1万、1.5GHz帯で0.5万、2.1GHz帯で2.4万の合計6万局、ソフトバンクモバイルおよびイー・アクセス(イー・モバイル)が1.7GHz帯で0.9万、2.1GHz帯で2.9万の合計3.8万局、NTTドコモが800MHz帯および1.5GHz帯がそれぞれ0.2万、2.1GHz帯が3.2万で合計3.5万局とauの基地局数が他社を優っていると紹介していました。

こだわるつながる力では、「つながる実感」へのこだわりとして「高速移動中」「屋内」「イベント」を重点的に改善しているとしていました。

高速移動中へのこだわりは、例えば、東海道新幹線の東京・新大阪間(トンネル区間含む)においてLTEから3Gへのハンドダウンは平均2.1回/片道(KDDI調べ)などと、主要路線を徹底調査・対策してLTE品質をさらに向上するそうです。

屋内へのこだわりは、屋内施設やデパート(デパ地下含む)、地下街などを徹底して調査・対策し、主要なところはすでにLTE化がほぼ完了しているとのこと。また、全国の地下鉄駅でも99%が4G LTEを利用可能(800MHz帯もしくは2.1GHz帯)で、駅間の走行中も対応路線を拡大中だということです。

お客さま満足度向上WGでは、イベント対策に適用し、大きな成果を挙げ、例えば、イベント時にユーザーの声をリアルタイムに収集し、トラフィック対策を実施。2013年夏は、全国370のイベント対策を実施したということです。

中でも、8月に行われた「コミックマーケット84」では、4G LTE対応車載型基地局および人間Wi-Fiを導入し、ソーシャルなどに寄せられたユーザーからの声でも高評価が得られたという。また、4G LTE対応車載型基地局は、およそ400万円かけていわゆる“痛車”化し、イベントとのマッチングも実施して話題となっていました。

04


なお、公衆無線LANサービス「au Wi-Fi」にも最新規格であるIEEE802.11acへの対応を開始したとしています。

今後、全社を挙げて障害の再発防止を徹底するとともに、さらに増加するデータ通信量への対策を行い、“機能安全”を基本方針にユーザーが安心して利用できる通信ネットワークを提供していくとしていました。

記事執筆:S-MAX編集部
写真撮影:AppComing


■関連リンク
エスマックス(S-MAX)
エスマックス(S-MAX) smaxjp on Twitter
S-MAX - Facebookページ