最近Bluetoothロゴの後ろに一言追加されることが多い(赤丸部)

スマートフォンやタブレットにおいてワイヤレスヘッドホンやキーボード、マウスなどで利用機会の多い無線通信技術「Bluetooth」。対応機器のパッケージや本体には基本的にBluetoothロゴが表示されますが、最近になってBluetoothロゴのそばに「Smart」や「Smart Ready」といった表示が見られるようになりました。

実は、このSmartおよびSmart ReadyはBluetooth 4.0で導入された新技術に深く関係しており、この表示に気をつけないとせっかく買ったBluetooth機器が既存の機器と組み合わせて使えない事態になりかねないのです。そこで今回の連載「スマホのちょっと深いとこ」では、Bluetoothにまつわる「Smart」「Smart Ready」の謎に迫ります。

【Bluetooth 4.0で導入された新通信方式BLE】

Bluetoothは1999年にバージョン1.0が発表され、2009年発表のバージョン3.0まで進歩してきました。バージョン3.0までのBluetoothは基本的に下位互換性が保たれており、新旧Bluetooth機器を混在しても基本的に問題なく使うことができました(*1)。

*1: 初期段階では機器の相性問題が存在しました。またBluetooth接続を行うためには各機器が共通のプロファイルをサポートする必要があります。ただしこれらは本記事の本質ではないためここでは議論しません。

しかしBluetoothの現状最新版となるバージョン4.0においてBluetooth Low Energy(BLE)と呼ばれる電力消費の少ない新しい通信方式が導入されました。BLEはBluetooth 3.0までの通信方式と互換性がないため、BLEによる通信を行うすべての機器の対応が必要となります。とはいえ従来機器と通信できないのは不便なので、機器によってはBLEと従来の(Bluetooth 3.0までの)通信方式の両方をサポートしています。一方でBLEのみをサポートする機器も存在するため、過去の機器を含めるとBluetooth機器の通信方式サポートに以下のパターンが発生することとなりました。

(1)BLEと従来の通信方式の両方をサポート
(2)BLEのみをサポート
(3)従来の通信方式のみをサポート

特に(1)と(2)は両方ともBluetooth 4.0対応となるため、利用者がBluetoothの対応バージョンから通信方式の対応状況を知ることができなくなってしまいました。

【バージョンでなく通信方式を表す「Smart」「Smart Ready」】

そこでBluetoothの規格を取りまとめているBluetooth SIGは、機器の対応状況に応じて以下のような表示を定義しました。

(1)BLEと従来の通信方式の両方をサポート
 →Bluetooth Smart Ready
(2)BLEのみをサポート
 →Bluetooth Smart
(3)従来の通信方式のみをサポート
 →Bluetooth

bluetooth_001
Bluetooth 4.0以降のロゴはSmartとSmart Readyの2種類に(Bluetooth SIGのWebページより)

Bluetooth Smart Readyは従来の通信方式とBLEの両方に対応したPCやスマートフォン・タブレット、Bluetooth SmartはBLEのみに対応した心拍数モニターやスマートウォッチのような周辺機器を想定しています。Bluetoothは従来の(Bluetooth 3.0以前対応の)機器です。これらの相互接続可否は下表のようになります。

  接続相手
  Bluetooth
Smart Ready
Bluetooth
Smart
Bluetooth
Bluetooth Smart Ready
Bluetooth Smart × ×
Bluetooth ×

例えば最近では低消費電力を売りにしたBluetooth Smart対応のマウスが登場してきていますが、このマウスの接続相手はBluetooth Smart Ready対応機器に限られ、従来のBluetoothのみに対応した機器では使用できません。低消費電力につられて購入しても、自分のPCやスマートフォン、タブレットに使用できないということがあり得ますので十分注意が必要です。なおPCの場合は、Bluetooth Smart Ready対応の通信アダプタを別途増設することでBluetooth Smart機器を接続することができます。

bluetooth_002
USB接続のBluetooth Smart Readyアダプタが市販されている

【2種類の通信方式で活用範囲を広げるBluetooth】

BLEの存在意義はLow Energyの名前が示す通りその低消費電力にあり、ボタン電池1個で長時間稼働し続けるような機器に向いています。一方で低消費電力より通信速度が優先される(ヘッドホンやスピーカーのような)機器にはBLEではなく従来の通信方式が引き続き利用されていきます。一見分かりづらいSmartやSmart Readyの表示ですが、2種類の異なる利用目的に対応したBluetooth規格の進化を表しているといえるでしょう。


■関連リンク
エスマックス(S-MAX)
エスマックス(S-MAX) smaxjp on Twitter
S-MAX - Facebookページ
Bluetooth Smart マーク(Bluetooth SIG)
連載『吉川英一の「スマホのちょっと深いとこ」』記事一覧 - S-MAX
今日の気分はバリいくつ?