ThinkPadでいつでもどこでも快適ビジネス!

レノボ・ジャパンは10日、東京都内で同社のノートパソコン・タブレット「ThinkPad」シリーズの新製品発表会を行い、今年1月に開催された家電関連展示会「2015 International CES」に合わせて発表されていた2015年モデルの日本国内における発売時期を公表しました。

日本で販売されるのは、Core M搭載着脱式モデル「ThinkPad Helix」や2-in-1モデル「ThinkPad Yoga 12」のほか、主力ノートパソコン(PC)の「ThinkPad X250・X1 Carbon」、「ThinkPad T450s・T450・T550」、「ThinkPad L450」、「ThinkPad W550s・W541」といったモデル。

また、兄弟会社であるNECパーソナルコンピュータの米沢工場で生産されるThinkPadのCTO(Configure-To-Order:注文仕様生産)に関する詳細も発表されました。

そこで、今回はこの新製品発表会の様子と、発売される製品について写真を交えて紹介します。


ThinkClient Brand Managerの土居氏


ThinkPadの存在意義

ThinkPadはレノボ(旧IBM)の企業向けノートパソコン・タブレット製品のブランドです。そのため、メイン利用層である企業ユーザーやプロシューマー(パソコンスキルに長ける個人ユーザー)の動向・要望を取り入れた製品開発を行っています。

レノボ・ジャパンの製品事業部 ThinkClient Brand Managerの土居憲太郎氏はまずThinkPadがThinkPadたる理由を“This is ThinkPad”(ThinkPadとは)として再度確認していきました。ThinkPadは堅牢性、パフォーマンス(処理性能)、ユーザービリティ(使いやすさ)といった実利用者にとってのニーズだけではなく、管理性や(周辺機器やソフトウェアの)共通化といった管理者にとってのニーズも高レベルで追求しています。

それにプラスして、専用周辺機器を組み合わせてより便利に使えるのがThinkPadである、としました。


パソコンの需要はWindows XPのサポート終了もあって高まってきた

新聞やテレビなどのニュースでも話題になりましたが、Windows XPのサポート終了に伴い、2011年以降のパソコン需要は旺盛です。タブレットも含めると市場の広がりは大きく、レノボも「ThinkPad 8」や「ThinkPad 10」といった企業向けタブレット製品を投入しています。Windows XPパソコンからの買い換え需要は昨年でひと段落付いたようにも思えますが、土居氏は今後の「Windows 10」投入なども含めてパソコンそのものの需要の落ち込みはそれほどではなく、“Back to basic”、つまり基本に立ち返って生産性の向上する手段としてのパソコンが今後求められるとし、発表する新製品が「基本に立ち返って」開発されたものであることを示唆しました。


ThinkPad Product managerの吉原氏


ThinkPadは1992年の登場から累計で1億台の出荷を達成

実際の新製品の概要説明はレノボ・ジャパンの製品事業部 ThinkPad Product managerの吉原敦子氏が担当しました。まず、吉原氏はIBM時代からのThinkPad累計出荷台数が1億台を突破したことに謝意を表しました。

ごく一部のモデルを除き、ThinkPadはIBM時代から一貫して日本の研究開発拠点が主導して開発・設計されています。海外で開発されたパソコンが日本で売られる、ということはよくあることですが、日本で開発されたパソコンが世界中で売られている、となると今や貴重な存在です。ある意味、「日本人が世界を見てパソコンを作るとこうなる」という象徴でもあります。これはもっと知られるべき事実だと筆者は思います。


ThinkPad X1 Carbonで搭載された「アダプティブキーボード」を2015年モデルで「元通り」に

土居氏の話にもあった“Back to basic”が2015年モデルの特徴ですが、そのひとつの現れがフラッグシップモデルである「ThinkPad X1 Carbon」のキーボードです。

2014年モデルでは、ファンクションキー部をタッチパネル化し、機能の切り替えをできるようにした「アダプティブキーボード」を採用したX1 Carbon。実利用者からは前向きな反応をもらえたものの、管理者からは管理面を中心に後ろ向きな反応がありました。そこで、2015年モデルでは実利用者・管理者ともに満足できるように、従来の6段配列キーボードに戻しました。


TrackPointのクリック・スクロールボタンも基本に立ち返って「復活」

2014年のThinkPadは全てのモデルで「5ボタントラックパッド」を採用しました。これは、Windows 8/8.1におけるジェスチャー操作をよりしやすくするため、トラックパッドの面積を広げるための変更でした。しかし、クリック操作の際に発する音が従来よりも大きく、特にThinkPadならではの「TrackPoint」(スティック型ポインティングデバイス)を利用しているユーザーからはともするとX1 Carbonにおけるアダプティブキーボード以上に否定的な意見が多く寄せられました(一部では「パコパコパッド」と揶揄されていたほどです)。

そこで、2015年モデルではTrackPointのクリック・スクロールボタンが復活しました。ただし、今までのものとは異なり、クリックボタン部により押し心地が良くなる改良が施されてます。単に復活させるだけでなく、より使いやすくなるように改良しているのも基本に立ち返った成果です。


ある程度の期間、共通した周辺機器が使えるのもThinkPad

パソコンの中にはともすると年(世代)ごとにどんどんオプション機器の規格が変わってしまうこともあります。また、機種ごとに使えるオプション品が違いすぎることもあります。これらが備品管理の面において不便であることも少なくありません。

ThinkPadではある程度の期間、周辺機器に互換性を持たせているのも特徴です。今年も、参考出品(国内での投入時期が未定のもの)を含めて複数の新規周辺機器が登場しましたが、その大半は1世代前、ものによっては更に過去のThinkPadでも共通利用できます。この辺の「息の長さ」はThinkPadならではです。


拷問テストも更に進化

ThinkPadと言えば、その頑丈さも特色です。それを裏付けるものとして開発段階などで行われる「拷問(トーチャー)テスト」が有名です。実際のユーザーからのアンケートや要望に基づいて項目の追加や条件変更を行ってきましたが、2015年モデル(Eシリーズ以外)からは太陽放射と耐菌試験もテスト項目に加わりました。ある意味、更に過酷な条件でも安心して使えるようになるということです。


2月11日以降のThinkPad X1 Carbon/X250のCTOモデルは日本製に


久々の「日本製」ThinkPadとなる「ThinkPad X1 Carbon Japan Limited Edition」


CTO初期から国内生産となる「ThinkPad X250」(写真はタッチパネル付きフルHD IPS液晶モデル)

今回の発表会では、以前からアナウンスされていたThinkPadの国内生産についても言及がありました。

現在、ThinkPadは標準構成(仕様が予め決められた)モデルも直販サイトにおけるCTOモデルも共に中国で生産・中国から出荷されています。それを「ThinkPad X1 Carbon」(発売済み)と「ThinkPad X250」(同日発売)のCTOモデルについて、2月11日受注分からNECパーソナルコンピュータ米沢事業所で生産・同所からの出荷に切り替えます。出荷開始は2月下旬を予定していて、それ以降は5営業日以内の発送となります。今まで早くて2週間程度かかっていたことを考えると、かなりの時短効果です。

その先陣を切る500台限定の「ThinkPad X1 Carbon Japan Limited Edition」は、今日から事前申込者による優先販売が始まっています。ロット番号が振られているほか、1台1台微妙に柄の異なる特別な模様付き天板が特徴です。

なお、ThinkPadの国内生産について、生産ラインの都合でX1 CarbonとX250以外は当面の間、中国生産・発送となります。ただし、今後生産ラインが充実してきたら廉価シリーズ(Eシリーズ)などを除いた機種について国内生産を検討するそうです。また、周辺機器類も現在は中国からの発送ですが、特に売れている(需要が旺盛である)ものについては日本国内に在庫を用意して出荷することで納期短縮することも検討しているそうです。


完成度が高まった第2世代の「ThinkPad Yoga 12」

キーボードやTrackPointの「接地」を防ぐ“Lift'n' Lock”は健在

ヒンジが180度以上に曲がって、ラップトップ・テント・スタンド・タブレットの4形態で使える「ThinkPad Yoga」も第2世代となって登場します。海外ではより大きい14インチモデルや15インチモデル(※)も用意されていますが、日本向けにはとりあえず従来と同じ12インチモデル「ThinkPad Yoga 12」のみ発表されました。

(※)兄弟会社のNECパーソナルコンピュータから発売された「LaVie Hybrid Advance」が「ThinkPad Yoga 15」をベースとしているようです。


キーボード部だけ取り外せる「ThinkPad Helix」の第2世代がいよいよ国内へ!

昨年9月に省電力性に優れる「Intel Core M」プロセッサーを搭載して第2世代に移行した「ThinkPad Helix」。国内では音沙汰の無かった第2世代Helixがいよいよ国内向けに販売されることになりました。

日本国内投入に当たっては、LTE通信モジュールを内蔵し、InstantGo(スリープ中も通信を維持できるWindows 8/8.1の機能)に対応したモデルを法人向けに用意したほか、Wi-Fiモデルにおいて指紋センサー搭載構成を選べたり、ストレージにPCI Express接続のSSDを選べるようになったりしています。画面部のみ持ち運ぶときに使うクイックショットカバーなど、周辺機器も充実しています。

他にも「ThinkPad T450」や「ThinkPad T450s」(T450のスリムモデル)、「ThinkPad T550」、「ThinkPad L450」、「ThinkPad W550s」も発表されています。いずれも2月11日発売ですので、気になる方はレノボ公式サイトでチェックしてみてください!




記事執筆:Sho INOUE(せう)


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