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情報を「読む」時代から「聴く」時代へ!ソニーモバイル「Xperia Ear」を紹介

既報通り、ソニーモバイルコミュニケーションズ(以下、ソニーモバイル)は6日、声で操作して耳で情報や通知などのフィードバックを得られるイヤホン型ウェアラブルデバイス「Xperia Ear(型番:XEA10)」(グラファイトブラック)を2016年11月18日(金)に発売すると発表しました。価格はオープンながら市場推定価格が20,000円(税別)前後。

Xperia EarはAndroidを採用したスマートフォン(スマホ)と連動させて使用するコミュニケーションデバイスという位置付けのBluetoothヘッドセットです。9月にはAppleがiOSと連動するBluetoothヘッドセット「AirPods(エアーポッド)」を発表して話題となりましたが、Xperia Earもまた同様の機能を持ったデバイスとなります。

にわかに「音声認識技術を使ったヘッドセット型ウェアラブルデバイス」が各社より続々と発表されていますが、その背景にはどういった技術の進化や時代の変化があるのでしょうか。発表会のタッチ&トライコーナーにて試作機に触れる機会がありましたので、写真とともに解説します。

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情報デバイスの進化は止まらない


■音声入力以外にジェスチャーによる入力にも対応
Xperia Ear最大の特徴はFacebookやTwitterなどのSNSとの連携です。これらのSNSに投稿されたメッセージを読み上げる機能があり、そのままデバイスへの音声入力によって返信などを行うことも可能です。またニュースや天気予報、スケジュール、メールメッセージなどの読み上げにも対応しており、スマホ本体を取り出すことなく情報の確認が行なえます。

本体は片耳用となっており、一般的なBluetoothヘッドセットよりもかなり小型な印象ですが、AppleのAirPodsよりは大きいようです。充電には携帯型の充電ケースを用い、連続使用で約4時間、充電ケースを併用することで約12時間の利用が可能です。

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Xperia Ear本体と携帯式の充電ケース


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本体側面。SONYのロゴが大きく入っている


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本体重量は約6.6gと比較的軽量


実際に装着してみると意外と大きいというのが第一印象で、一般的なインナーイヤーヘッドホンやカナル型ヘッドホンのように「耳の穴に入れる」というよりは「耳全体にはめる」といった雰囲気。そのためカナル型ヘッドホンのように耳の中へ差し込むイヤーピース以外に「アークサポーター」と呼ばれる耳の形状に合わせたラバー製の固定具が用意されています。

一般的なBluetoothヘッドセットにありがちな耳掛け式の固定用アームなどがないため、メガネを着用している人でも問題なく利用できる点はよく考えられています。

本体にはジャイロセンサーや加速度センサーなどが搭載されており、音声入力以外にも首を振ったり頷いたりなどのジェスチャーによる入力に対応している点も特徴的です。

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イヤーピースとアークサポーターは「無し」も含め複数サイズが付属する


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アークサポーターはこのように装着し耳の内側に固定させる


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上から見るとかなり飛び出して装着されているのが分かる


■AirPodsとは似て異なる利用シーン
ここで気になるのはやはり10月下旬に発売が予定されているAppleのAirPodsとの違いです。Xperia Earでは音声認識とメッセージの読み上げを売りとしていますが、AirPodsもまたiOSの音声アシスタント機能「Siri」との連動により同様の利用が可能です。

特にSiriはOSと密接に連携が可能であることから音楽再生などにも利用でき、両耳対応している点や新型スマホ「iPhone 7」でイヤホンジャックを廃止したことからもAirPodsによる音楽聴取を推奨しているように思われます。

一方でXperia Earは片耳装着であり、音楽聴取用のBletoothプロファイル(A2DP、AVRCPなど)は実装されているものの、一般的なBluetoothヘッドセット同様に音楽聴取には不向きであると言えます。

この点からも、利用シーンとしてはカジュアルな用途というよりもスケジュール管理やニュースチェック、各種メッセージのチェックおよび返信といった、よりビジネス的な用途に特化している印象が強くあります。

Xperia Earの制御に用いられるアプリは現在のところAndroid OS向けにのみ提供されるとのことで、iOSやWindows 10 Mobileなどへの提供は予定されていません。

Xperiaという名前を冠しているものの、Android(Android 4.4以上)を搭載した端末であれば機種を問わず利用することが可能としています。音声認識にはAndroid OS標準の音声アシスタント機能である「Google Now」ではなくソニーモバイル独自の音声認識技術を用いています。

言語認識や読み上げるメッセージなどの選択には簡単な個人設定が行える程度となっており、いわゆるディープラーニングを用いた学習機能のようなものは搭載していないとのこと。音声認識自体もスマホ単体で行っているのではなくクラウドベースであるため、LTE網やWi-Fiなどスマホが通信可能な環境がないと動作しません。

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充電ケースの大きさは若干大きなライターといったところ


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蓋を閉めると自動で充電が始まる


■音声認識技術は未来を変えるか
今回のXperia Earに限らず、音声認識技術についてはAppleやGoogle、AmazonといったIT業界を牽引する企業が少しでも早く実用化させ技術的なシェアを獲得しようとしのぎを削っています。スマホが高性能化しさまざまなウェアラブルデバイスの「母艦」として機能するまでになった今、さらにその末端に位置する入力装置や出力装置としてのヘッドセットや腕時計型端末が登場してきたことは当然の流れと言えます。

端末を「手に持ち」情報を得るという時代はもはや成熟したと言っても過言ではありません。各社はその先にある「両手を塞がない情報デバイス」の模索へと突入しています。数年前にはGoogle Glassのようなメガネ型デバイスが話題となりましたが、プライバシー問題や視野を奪うことによる安全性への指摘などから計画は思うように進んでおらず、新たな「安全で実現可能な選択肢」としての音声認識技術が脚光を浴びた形となっているように思われます。

ソニーモバイルはXperiaというブランドを単なるスマホブランドに留めず、生活に密接に関わる「Xperia Smart Projects」の一環として捉え、その理念として「コミュニケーションの未来を創造する」という言葉を掲げています。Xperia Earもまたコミュニケーションデバイスとして最も分かりやすく実現可能な形で生み出された製品であると言え、音声認識という新たな入力手段を用いて人々の生活様式への介入とサポートに意欲的にチャレンジした製品ではないでしょうか。

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ソニーモバイルが描く未来に人々はどう共感するだろうか


記事執筆:あるかでぃあ


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