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AirPodsの実力は?さまざまな疑問にフィールドテストで大回答!

Appleからワイヤレスインナーイヤーヘッドホン(イヤホン)「AirPods(エアーポッド)」の販売が12月19日に開始され、瞬く間に完売となって話題を呼びました。また昨日12月22日からはau直営店および公式Webストア「au Online Shop」でも販売が開始されています。

左右のイヤホンを繋ぐケーブルやアームすらない「完全ワイヤレス」のスタイルはBluetoothヘッドホンやヘッドセットが一般的になりつつある現在でも珍しく、またiPhoneなどのiOS搭載機種との密な連携やスマートな使用感、長時間駆動を実現するW1チップの搭載なども本製品の話題性の1つとなっています。

前回のファーストインプレッションでは本体外観や基本的な接続設定などについてご紹介しました。今回は実際に使用した際の使い心地や使い勝手、音質などについてご紹介したいと思います。

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師走の電車に乗り込み、いざフィールドテストへ!


■まずは基本的な使用方法をおさらい
AirPodsの接続設定などは前回お伝えしていますので、ここでは充電ケースの使い勝手などに触れておきたいと思います。

充電ケースの蓋やAirPodsの収納はマグネット式となっており、収納するとパチンと気持ちの良いクリップ感があります。充電は無接点式ではなく接点式のようで、よく見るとAirPods収納部の底部に接点金具があるのが見えます。

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充電ケースの内側中央に見える点は充電状態や接続状況を知らせるインジケータLED


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AirPodsの「軸」の部分を差し込む底部に接点金具がある


前回もお伝えしたように充電ケースの形状が丸いため、テーブルなどに立てて置くことができないのが難点でもあり、蓋を開けた状態で置こうとするとその形状から勝手に閉まってしまうことが多々あります。そもそも開けたまま放置するものではないため実用上あまり問題はありませんが、AirPodsを取り出す際に若干面倒に感じることがあります。

またAirPodsの形状と充電ケース内側の収納部の形状がピッタリと合うように造られている上に、耳に装着したかどうかを認識する近接センサーが搭載されていることなどから、既存のEarPods用のイヤーパッドなどは使えない点も注意が必要です。

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充電ケースとAirPodsとの隙間は極僅か。今後AirPods専用イヤーパッドなどは発売されるのだろうか


iPhoneなどとの接続については前回お伝えした通り。初回の接続設定さえ済ませていれば、充電ケースから取り出し耳に装着するだけ。後は何も必要ありません。自動的に接続が完了し、iPhoneやiPadなどを手にしているなら手元で音楽を再生させるだけ。AirPodsをダブルタップして「音楽を再生して」とSiriに話しかけるのもいいでしょう。

音楽聴取中などに電話の着信を受けた場合はAirPodsをダブルタップするだけで通話できます。終話する際もAirPodsをダブルタップするだけ。通話が終了すると自動的に音楽再生へ復帰します(稀に復帰しない場合がありますがその場合はダブルタップでSiriを呼び出し「音楽を再生して」と言えばOKです)。

AirPodsのダブルタップ操作は意外と強く叩く必要があり、慣れないと上手く出来ないことがあります。あまり強く叩きすぎてもAirPodsが外れてしまいそうですが、今のところ筆者の場合ダブルタップ操作で外れたことはありません。

では、いよいよフィールドテストへ繰り出しましょう。

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「耳からチンアナゴ出てますよ!」とか言わないように


■街の雑踏丸聞こえ!オープンエアー型ならではの悩みも
気持ちの良い冬晴れの中、まずは装着しながら駅前のショッピングモールへ。

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もうすぐクリスマス。ショッピングモールも大賑わい


装着感は思った以上にしっかりとしていて、首を大きく振っても軽く走っても落とすような雰囲気はありません。しかし早速街の喧騒の洗礼を受けることに。

AirPodsはその形状から外部の音の遮蔽効果が低く、またオープンエアータイプである点も騒音を拾いやすい構造となっています。そのため閉鎖型ショッピングモールのような音がこもる構造物の中では包み込むような低い残響音が耳に入り、音楽がかき消されてしまいます。

同様の現象は電車内などでも起こり、車内の空調音やモーター音、電車が走る際の風切り音などが邪魔をして意外と音楽が聴きづらいな、という印象がありました。後述しますが、AirPodsはそのドライバーユニットの特性上低音域の出力が若干弱く、街の雑踏にありがちな低周波の騒音に打ち消されやすいのが難点です。

ただしこれはAirPodsに限った話ではなく、一般的なオープンエアー型イヤホン全てで起こる問題でもあり、AirPods特有の欠点というわけではありません。この問題に対応するには耳栓のような形状の「カナル型イヤホン」を使うかノイズキャンセリング機能を搭載したものを使用するしかありません。

また「外部の音が聞こえやすい」という点はデメリットばかりではなく、危険回避の観点からむしろ安全性が高いとも言えます。最近ではカナル型に加えてノイズキャンセリング機能を搭載したイヤホンもあり、そういった機種では街を歩いているのにまるで室内であるかのような静寂を得られますが、逆にそれが仇となって自動車やバイクの接近に気が付かず事故を起こしてしまったり、背後から近づいてきたひったくりや痴漢に気が付かずに犯罪に巻き込まれてしまうケースが多発しています。

筆者個人としては「もう少し外部の音を遮断できるカナル型のAirPodsなどがあれば完璧なのに」とも感じましたが、普段から一般的な形状のイヤホンを使用しているならあまり気になる部分ではないでしょう。

なお、AirPodsからの音漏れは思ったよりはかなり小さい印象でした。余程の大音量で使わない限り周囲の迷惑になることはないと思われます。

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音の遮蔽性能にはメリットとデメリットがある


■史上最強の電波安定性!?全く途切れないBluetooth接続
電車に乗り向かった先は東京都町田市にあるヨドバシカメラ。別にAirPodsを見せびらかしに来たわけではなく、電波の安定性を確認しに来たのです。

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JR町田駅のすぐ横にあるヨドバシカメラ町田店


一般的にBluetooth接続のイヤホンやヘッドセットは同じ周波数帯を使う無線LANなどの電波干渉を受けやすく、ヨドバシカメラのように常時数十台ものスマートフォン(スマホ)やPCが稼働し電波を出している環境ではまともに音楽を聴けないことが多々あります。

かつて筆者が使用したことのある十台近いBluetoothレシーバやBluetoothヘッドセットではほぼ全てで干渉問題が発生し、家電量販店などでは音楽が途切れ途切れになりました。

スマホやタブレットでBluetoothキーボード・マウスとWi-Fiが同時使用できない?古くて新しいWi-FiとBluetoothの干渉問題に注目【吉川英一の「スマホのちょっと深いとこ」】


以上のことから、これまでは「Bluetoothイヤホンは電波干渉に弱く途切れるもの」という認識で諦めていましたが、AirPodsでは驚くことにPC売り場でもスマホ売り場でも一度も音楽が途切れることはありませんでした。

またAirPodsの片方を耳から外して音楽再生を任意で止めたり、再び装着して自動再生させるなどの操作でも何ら電波干渉を受けている様子はなく、普通に使えることに軽い衝撃を受けました。

後ほど自宅にて電波の到達距離などを調べてみましたが、遮蔽物のない直線であれば15mまで(17m付近で音楽の瞬断を確認)、木造家屋の場合壁を2枚挟んでも、1階と2階での通信すらも問題なく行えることを確認しました。

一般的なBluetooth接続機器では遮蔽物がない状態でも10m以内で途切れ始めたり、木造家屋の壁1枚隔てただけで通信が行えなくなる機器が多いことを考えると、かなりの電波安定性です。2017年以降はさらに通信距離や通信容量を引き上げた「Bluetooth 5」などの登場も予定されていますが、現状ではトップクラスの電波強度と安定性を誇っていると言ってもいいでしょう。

■ケーブルがない快適さと音質のトレードオフ
最後に音質についての評価です。音質は結論から言えば「無難」のひと言。特別良い音ではありませんが、かといって悪いと感じるほどでもありません。EarPodsを利用している人ならその音質そのままだと思って問題ないでしょう。

バランスド・アーマチュア型のドライバーを使用しているため音のキレは良いですが、音場の広がりが小さくダイナミック型のような低音域の「響き」がありません。全体的にキンキンと高音域の「鳴り」が目立ち、前述したような外出時の騒音の中ではついつい音量を上げたくなるため、より一層高音域の鳴りが耳を打ち、曲によっては若干不快感を覚えることも。

バランスド・アーマチュア型はその特性として小型化が容易であるというメリットがあり、通信用チップやアンテナ、バッテリーまでも搭載しなければいけないAirPodsにとって「音質≒大きさ」であるダイナミック型ドライバーの採用は選択肢としてあり得ません。音質面での妥協は完全なワイヤレスを実現しケーブルの煩わしさから解放される自由度とのトレードオフだと割り切る必要があります。

通信コーデックにAACを利用しているためiPhoneなどにAAC形式で音楽を入れている場合再変換なしでそのまま聴けるため音質の劣化は理論上ありません。ただしApple LosslessやMP3などの形式を利用している場合はAAC形式に再変換されているものと思われますので、多少の音質劣化があるでしょう。

とは言えそもそもが「EarPods並み」の音質のイヤホン性能だけに、耳を澄まして聴き比べて初めて気が付くような僅かな音質の違いなどに大きなデメリットがあるとは筆者は感じません。とくにApple Losslessやハイレゾ音源を利用しているような層にとってAirPodsは用途や目的が全く違うため、選択肢に入らないでしょう。

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音質を取るか、使いやすさを取るか。筆者は音質よりもケーブルの煩わしさに耐えられなかった


■動画視聴やスマホゲームも問題なし。ただし音楽ゲームは厳しいかも
もう1点、AirPodsで素晴らしいと感じたのが遅延の少なさです。一般的なSBCコーデックを採用するBluetoothイヤホンなどでは音の遅延が大きく、動画を見ていると声が遅れて聴こえたり、ゲームなどでも操作から1テンポ遅れて音がする場合がありますが、AirPodsではその遅延が非常に小さくほとんど気になりません。

しかし完全に遅延がないわけではないので、画面に合わせてタイミングよくタップする音楽ゲームなどは違和感を感じたり上手くプレイできない場合があるかもしれません。

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パズルゲームやRPGなどならほぼ不満なく普通に遊べる(画像はガンホーの「パズル&ドラゴンズ」)


■音楽を手軽に持ち歩きたい人に最適
総括として、AirPodsは「ファッションやアクセサリーのように音楽を持ち歩きたい人に適している」という印象です。音楽と真剣に向き合い音源の1つ1つを聞き分けるような楽しみ方には全く向いていません。また街の雑踏を遮断してまで音楽に集中したい人にも向いていません。

仕事帰りや学校帰りにおもむろにポケットから取り出し、何気なく耳に着け、何を聴くでもなく街歩きのちょっとしたBGMに使う。そんな「適当」な使い方にこそ最適な道具なのです。むしろそういった「何気ない街歩きのBGM」のために、大仰なポータブルアンプをセッティングして太いオーディオケーブルをぶら提げながら巨大なヘッドホンを使う、という人はあまりいないでしょう。

恐らく、iPhone付属のEarPodsや市販の1万円以下のオープンイヤータイプのイヤホンを利用している人の使い方であれば、AirPodsに替えることによるデメリットはほぼありません。むしろケーブルの煩わしさから開放され、スマホを本当に「スマート」に利用できることに感動を覚えるはずです。

難点があるとすれば価格です。16,800円(税別)という価格は決して安くなく、また市販のBluetoothイヤホンなどと比較しても若干高額です。入手困難である状況は次第に解消されると思われますが、価格はなかなか下がらないと予想されるため、価格分の価値を見いだせるかどうかが購入の鍵となりそうです。

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AirPodsのある生活がはじまる




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