KDDIが5G実験機で3.75Gbpsで接続!

KDDIは22日、次世代通信システム「5G(第5世代移動通信システム)」に向けて国内初となる28GHz帯でのハンドオーバーに成功したことを発表した。高い周波数の電波は減衰しやすいため、広いエリアをカバーすることは難しい。そこで同社ではビームフォーミング技術でハンドオーバーに成功。今後実証実験を重ねて5Gを2020年の商用化をめざす。

5Gに関する周波数帯や通信方式などはまだ決まっていないが、KDDIは30GHz帯以下で使用する衛星通信を運用しており、高い周波数でのノウハウを活用しているという。

今回は同日に行われた発表会で説明された「28GHz帯のハンドオーバーの仕組み」と「5Gで広がる世界」を紹介していく。

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高い周波数である28GHz帯は4Gで使用される2GHz帯よりもさらに高く、その特性から減衰しやすく障害物を回り込まないためエリアはさらに狭まるという。28GHzの電波特性のデモンストレーションでは、発信器と受信機の間を人が通るだけでその影響を受けていた。

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そこでビームフォーミング技術を使って電波を遠くまで飛ばす。ビームフォーミングについては、水道のホースを狭めて遠くまで飛ばすことに例えて説明された。

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ビームフォーミングは、基地局から狭いエリアに向けて電波を飛ばすもので、同時に電波を飛ばす方法や高速にさまざまな方向に電波を飛ばし、端末が最適な電波を受け取るという方法もあるという。

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実証実験では移動する自動車に搭載した実験機で2つの基地局の電波を受けるハンドオーバーに成功。ユーザーの移動に合わせてビームを追従させる技術は難しい技術なのだという。

ビームフォーミングにより移動するユーザーを追従する技術は、ユーザーに向けて電波を当て続けているようなイメージがあるが、実際にはマルチで飛ばすビームもしくは、高速で方向を切り替えて飛ばすビームを端末が受け取り、最適な基地局からの電波を利用するというもの。

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5Gは単なる4Gの高速版ではなく、「高速・大容量」、「低遅延」、「他接続」という3つの特性から、さまざまな分野で活かされていく。例えば多くのデバイスを利用するIoT分野では多接続の恩恵を受けることになる。

【5Gに向けた28GHz帯のハンドオーバー実証実験の説明を動画で紹介】

動画リンク:https://youtu.be/HTmEXlN5_9Q


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さらに、現在はさまざまなサービスを1つのパイプに収容しているが、前述したIoT分野では多接続に特化し速い通信速度を必要としないパイプで区切り、それぞれのサービスを安定化させる「ネットワーク・スライス」を利用する。

動画視聴など大容量のデータ通信を必要とするサービスや、遠隔操作など低遅延が必要とするサービスは別のパイプに収容し、それぞれが影響を受けないというイメージだ。

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KDDIは2020年の5Gスタートに向けて、モバイル通信以外にもパートナー企業との実証を重ねて5Gを活用して行く。我々ユーザーとしては、2020年の5G対応端末登場で市場がどう変わるのかも楽しみである。



記事執筆:mi2_303


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