NTTドコモが外国人旅行者向けプリペイドSIMサービス「Japan Welcome SIM」を発売!

NTTドコモは6月26日、外国人旅行者が日本滞在中に利用できるデータ通信専用プリペイドSIMサービス「Japan Welcome SIM」を発表し、一部料金プランについては7月1日より提供を開始しました。

以前よりインバウンド(訪日外国人旅行者)向けの安価な期間限定SIMやプリペイド式のSIMは仮想移動体通信事業者(MVNO)各社より発売されていましたが、NTTドコモから発売されるのは初。Japan Welcome SIMも価格が抑えられた期間限定SIMとなっていますが、その課金システムや収益モデルに特徴があります。

26日に行われた発表会の模様とともに、Japan Welcome SIMの特徴やそのビジネスモデルについて写真とともに解説します。なお、Japan Welcome SIMについての詳細については以下の記事をご覧ください

docomo-inbound-002
「和」のテイストに溢れたSIMパッケージ


■料金プランは3種類。0円(無料)で利用できるプランも
Japan Welcome SIMには「プラン1700」、「プラン1000」、「プラン0」の3種類の料金プランが設定され、それぞれ初期費用として1700円、1000円、無料となっています。いずれのプランも15日間の期間限定で、プラン1700は購入時より500MBの高速通信容量がプリセットされており最もスタンダードな仕様(容量を使い切ったあとは128kbpsの容量無制限)。プラン1000は高速通信容量が設定されておらず128kbpsでの容量無制限通信。プラン0は事前に動画広告などを閲覧することで128kbpsの容量無制限通信が利用が可能となっています。

いずれのプランも利用開始後に100MB/200円(税別)、および500MB/700円(税別)を購入して高速データ通信容量をチャージすることが可能なうえ、NTTドコモが用意した広告動画を閲覧したりアンケートに答えることでコンテンツに応じた高速データ通信容量をチャージできる仕組みとなっています。

なお、7月1日より提供が開始されたプランはプラン1700とプラン1000となっており、プラン0については今年10月のサービス開始を予定しています。

docomo-inbound-003
高速通信時の速度は最大682Mbps


docomo-inbound-015
動画広告やアンケートなどはNTTドコモの専用サイトで公開されている


■広告収入のビジネスモデルを積極的に活用した新たな試み
Japan Welcome SIMの最大の特徴はそのビジネスモデルにあります。動画広告の閲覧などを条件に高速データ通信容量をチャージするという広告収益を積極的に取り入れたビジネスモデルは非常に珍しく、NTTドコモとしては初めての試み。

今回このビジネスモデルを実現するにあたり、事業のプランニングからコンサルティング、メディアビジネスまでをトータルで支援する「メディアレップ」である「デジタル・アドバタイジング・コンソーシアム」がサービスの開発および商品設計や販売支援を行っており、従来のSIM販売モデルにとらわれない新たな発想が導入されています。

docomo-inbound-004
デジタル・アドバタイジング・コンソーシアム グローバルビジネス本部長 菅沼道彦氏


docomo-inbound-005
海外からの旅行者の動向を分析し、各タッチポイントに合わせたビジネスモデルを構築した


動画広告などによってチャージできる容量は10MBや30MBといった容量になる予定で、広告を提供するパートナー企業との交渉やキャンペーン施策などにより変動するとのこと。また広告によってはその視聴時のデータ通信容量を料金にカウントしない「カウントフリー」の導入も検討しているとのことです(現在は通信料金が発生するため、動画広告の閲覧はホテルのWi-Fiスポットなどの利用を推奨している)。

発表会にはパートナー企業として東急ホテルズやBooking.comの代表者が登壇し、Japan Welcome SIMと自社ビジネスとのシナジーなどを紹介しました。

docomo-inbound-006
東急ホテルズ マーケティング部長 佐久間智義氏


docomo-inbound-007
宿泊プランに本SIMをオプション設定することで顧客への新たな価値の提供と自社ブランドの認知度向上を狙う


docomo-inbound-008
ブッキング・ドットコム・ジャパン 日本地区統括リージョナルマネージャー アダム・ブラウンステイン氏


docomo-inbound-009
Booking.comはホテルの予約サイト。NTTドコモとの提携により日本国内での認知度の向上と利用者数の増加を狙う


docomo-inbound-010
日本への旅行客数とその人気は近年急上昇している


■APN設定が不要!使いやすく簡単な仕組みも用意
本SIMのもう1つの特徴が使いやすい仕組みづくりです。旅行者は訪日前に専用Webサイト( https://docomo.prepaid-sim.jp/lp/ )で各プランを申し込むと、訪日後に空港内の施設(JAL ABCなど)にてSIMカードを受け取り、NTTドコモの通信ネットワークを15日間利用できますが、アクセスポイント(APN)設定が不要で「挿すだけで使える」簡易さが売りとなっています。

その仕組については詳細を明かしませんでしたが、「端末のアクティベートのみで利用可能としており、端末に入れてあるAPN設定はそのままでSIMを動作させる仕組みを開発した(NTTドコモ担当者談)」としています。

docomo-inbound-011
SIMパッケージ中身。パッケージの扉部分は切り取って和柄のしおりとして使える


docomo-inbound-012
同梱される取扱説明書。中国や台湾など極東アジア地域からの旅行客は大きなターゲット層だ


docomo-inbound-014
SIMカードは各種サイズに対応


■野心的なビジネスモデルだが不透明な点も。今後の動向に注目
これまでNTTドコモと言えばプリペイドSIMの発行については非常に慎重な姿勢を貫いてきており、PlayStation Vita向けのプリペイドデータプランなども今年1月31日をもってサービスが終了するなど、同社の中ではあまり勢いを感じない分野でした。

しかしこのJapan Welcome SIMで導入された広告収入を軸としたビジネスモデルは野心的とも言える販売モデルであり、海外からの旅行客の動向やSIMの利用方法などを研究し尽くした上での緻密な戦略であることが伺えます。

一方で、パートナー企業の広告サイトを閲覧する際に通信するデータ容量を料金にカウントしない「カウントフリー」を導入した場合に起こる「通信の秘密」に関連する問題や、APN設定不要という仕組みの導入がすでにインバウンド向け格安プリペイドSIMを販売しているMVNO各社との間で市場の公平性を欠くのではないかという点についての指摘もあり、それに対するNTTドコモ側の回答も曖昧であるなど、販売モデルとしての不透明性も若干感じられます。

多分に実験的な匂いを漂わせた非常にチャレンジングなJapan Welcome SIMですが、果たしてその広告収入モデルはSIM販売モデルとして成功するのでしょうか。10月のプラン0の販売も含め、長期的な視野でその動向と成否を見守る必要がありそうです。

docomo-inbound-013
訪日旅行者に安価で快適なモバイル通信を




記事執筆:あるかでぃあ


■関連リンク
エスマックス(S-MAX)
エスマックス(S-MAX) smaxjp on Twitter
S-MAX - Facebookページ
報道発表資料 : 訪日外国人旅行者向けプリペイドSIMサービスJapan Welcome SIMを提供開始 | お知らせ | NTTドコモ