LINEが法人向けサービス「通知メッセージ」を発表!

LINE Corp.は1日、同社が提供するコミュニケーションサービス「LINE(ライン)」( http://line.me )において法人向けに提供している「LINEアカウント」にて電力・ガス・航空・運輸などの初期参画企業6社と提携した新たな取組である「通知メッセージ」を発表しました。

通知メッセージでは公共性の高い企業サービスや料金の通知などをユーザーが企業と「友だち」になっていなくても通知することができるというサービスで、本日(3月1日)以降提携各社が順次対応していきます。初期参画企業となるのは東京電力、中部電力、東京ガス、日本航空、全日空、ヤマト運輸の6社となります。

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産業や生活のインフラに関わる大企業6社が名を連ねる


■広告を排除し「通知・案内」に特化したサービス
これまで企業からユーザーへの利用料金の通知や配達物の配送通知、運行・欠航情報、予約情報などの案内はメールや封書による郵送などで行われてきましたが、大量に送られる不要なダイレクトメールの影響から読まずに放置されてしまったり、悪質なスパムメールに埋もれて確認されないまま捨てられてしまうことも多く、企業としてもユーザーとしても互いにデメリットの多い環境がありました。

今回LINEが発表した通知メッセージではこういった不要不急の広告や宣伝を排除し、重要なおしらせや通知に限定することで確実にユーザーへ届けようというものです。同社ではこれまでにも法人向けにユーザーへ企業情報などを送付する「ビジネスコネクト」と呼ばれるサービスが提供されていましたが、通知メッセージはさらに一方踏み込んだプッシュ配信サービスとなります。

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通知はLINEが提携した企業からのみ送られ、予約情報や料金案内など重要な通知のみに限定される


通知メッセージの大きな特徴となるのが「友だち」以外のユーザーにもプッシュ通知できる点です。企業が契約を結んだり利用者登録を行ったユーザーの電話番号のみで通知が可能なため、ユーザー側に「友だち」追加などの手間を掛けさせることがなく、また企業側としても封書など郵送物の削減や手続きの簡略化、自社専用アプリを用意する必要がないなど、コスト的なメリットが多くあります。

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「連絡・通知」に特化させることでユーザーメリットを向上させている


初期参画企業の具体的な取り組みとしては、東京電力が本日(3月1日)より電気料金の確認や電気使用量の確認、さらに各種サービス窓口の案内などを開始すると発表しました。JALでは2018年の秋以降を目処に航空機の運行遅延や欠航情報の配信サービスを予定しており「(パソコンなどで)ウェブサイトを開かなくても確認可能になる」としています。

また東京電力や中部電力では検針票による料金通知を通知メッセージに置き換えることで紙資源の節約やコストダウンに繋がるとしており、とくに中部電力では通信機能を持ったスマートメーターの導入によって利用料金の通知のみならず電気の上手な使い方や詳細な利用状況のお知らせなどにも活用できるとして「より楽しく、より簡単に、より詳しく」電気を使っていただけるのではないかと本サービスに大きな期待感を表していました。

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標準的なタイムライン通知だけではなく、各企業によって専用ユーザーインターフェース(UI)を設定することも可能


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LINEのタイムラインだけで航空機の予約状況や運行状況が把握出来るようになる


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ANAではタイムラインに専用のUIを配置し、将来的にはチェックイン手続きや予約手続きそのものも行えるようにしたいとのこと


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中部電力はスマートメーターの情報を駆使し、ユーザーへ省エネへの意識作りや情報提供を行っていく


■「友だち」を超えたサービスへの期待と不安
現在、LINEがビジネスパートナーとして提携している企業は300社を超え、各企業との「友だち」の数は平均約640万人(2017年9月時点)となっており、これまでのビジネスコネクトなどでも企業とユーザーとの繋がりに大きく寄与してきました。これが通知メッセージの導入によって「今までの公式アカウントという枠組みにとらわれず、もっと多くのお客様に使っていただけるようになるのではないか」、「パートナー企業とユーザーにベネフィットのある関係を構築していきたい」とLINE代表取締役社長の出澤剛氏は語ります。

また今後の展開としてECサイトとの連携や行政、金融、飲食、レジャーなど幅広い分野での提携も構想に入っており、「ユーザーと企業とのコミュニケーションをより便利に」、「コミュニケーションインフラから生活インフラへ」と通知メッセージが持つ可能性に大きな期待を寄せています。

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LINE 代表取締役社長 出澤剛氏


もはや若年層のコミュニケーションツールとしてだけではなく、幅広い年齢層を取り込みさらには企業インフラとしても活用が進んで久しいLINEですが、この通知メッセージサービスによってますます日常生活に必要不可欠なサービスへと進化する勢いです。

LINEがこのような戦略を取る背景には、InstagramやTwitterなどライバルとなるSNSツールとのシェア争いや単なるSNSツールからの脱却があるように思われます。SNSやコミュニケーションツールの流行り廃りは非常に早く、その中でもLINEは奇跡的に長期に渡り愛用され続けているアプリですが、そういった流行に左右されない生活インフラとしてのツールへの進化によって成長戦略を盤石なものにしようという流れが見えます。

この通知メッセージが今後飲食や金融などに活用されるようになれば、ますますLINEの有意性と必要性は高まるでしょう。一方で、これまでLINEが行ってきた「友だち」の枠を超えたプッシュ配信サービスであるため、ユーザーの反応も気になるところです。通知の頻度や内容によってはスパムメールやダイレクトメールのように煙たがれる存在にもなりかねず、サービス開始からしばらくはLINEおよび各企業の対応や利用方法の模索が続くのではないでしょうか。

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LINEは生活インフラになり得るのか。新たなチャレンジに大きな注目が集まる


記事執筆:秋吉 健


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