NTTドコモと横浜市、and factoryによる「第2回IoTスマートホーム実証実験」内覧会レポート

NTTドコモと横浜市、およびand factoryは12日、IoTを活用した住宅システム「スマートホーム」に関する実証実験「第2回IoTスマートホーム実証実験」についての内覧会を開催しました。

IoT技術を活用したスマートホームの実用化を目指して行われる本実証実験は「未来の家プロジェクト」として今回で第2回を迎えており、第2回実証実験は3つのフェーズに分けて実施されます。すでに6月12日から7月9日までにフェーズ1として第1回実証実験にて行われた内容の再検証や位置検出床による動線センシング技術の実証テストなどが行われています。

今回の内覧会では第2回実証実験・フェーズ1の実験結果や室内の様子が公開されましたので、写真や動画とともにご紹介します。

smarthome-201807-002
実証実験の進展とともに参画企業も増加


■IoTを人々の暮らしの向上に役立てる
横浜市が掲げるIoT活用による街づくりプロジェクト「I・TOP横浜」とは「IoT Open Innovation Partners YOKOHAMA」の頭文字を取ったもので、IoTスマートホーム実証実験「未来の家プロジェクト」については2017年6月に発表され、この夏で2年目を迎えます(昨年の発表会の記事はこちら)。

昨年行われた発表会の時点では横浜市のみならず日本が抱える超高齢化社会への対策や新たなビジネスモデルの創出、IoTスマートホームという概念などについての説明が行われ、第1回実証実験についても「IoTで何ができるのか」をまず考えるための実験という立ち位置からスタートしましたが、あれから1年が経ち実験内容はより具体的で明確な目標に変わってきたという印象です。

第1回実証実験ではさまざまなIoT機器からデータを収集する基盤システムの運用と居住者の行動パターンの可視化について重点的に検証が行われましたが、第2回実証実験ではドアの開閉記録や人感センサー値などを解析し、個人の生活パターンを定量的に評価することで居住者に合わせた健康で快適な居住空間の実現を目指すとしています。

smarthome-201807-003
居住者の状況を可視化することがまず第一にあり、そこからそのデータをどう活用するのかがこれからの実験となる


IoTセンサーの制御およびシステム管理にはand factoryによるスマートフォン(スマホ)向けアプリが引き続き利用され、横浜市およびNTTドコモとともに第1回実証実験より参画していた相模鉄道や富士通に加え、新たに参画したグリーンブルー、三和シヤッター、資生堂、凸版印刷、フードットログとともに第2回実証実験は行われる予定です。

smarthome-201807-005
三和シヤッター提供によるIoT制御で自動開閉する雨戸


■生活に「気づき」を与えるスマートホーム
内覧会では実際に実証実験を行った被験者の方のインタビューなども行われました。IoTスマートフホームを利用した感想としては「とても快適でストレスはなかった」、「使い始めからすんなりと使え満足度は高かった」と語り、IoT制御である点の戸惑いや操作の難しさなどを指摘する声はありませんでした。

また「睡眠時間が短いな、という気づきを得られた」とベッドに内蔵された睡眠センサーやその情報を表示する洗面台の大型ミラーディスプレイの便利さや快適さを指摘。これまでの生活のリズムを損なわずに生活の質の向上に繋がるきっかけを得られた様子でした。

smarthome-201807-004
睡眠センサーはベッドの下に設置されている


smarthome-201807-008
ミラーディスプレイには睡眠時間や体重などを時系列で表示することで体調に関する気付きを自然に与える工夫がなされている


smarthome-201807-006
洗面台の足元に体重・体組成計が内蔵されているため意識しなくても自然と体調管理ができる


smarthome-201807-007
ミラーディスプレイには天気予報なども表示。生活の動線を崩すことなく効率的に情報を取得できる


また端的に便利だと感じた点としては照明の調整を挙げており、自動点灯以外にも手元のスマホでの照度・色調整が容易である点などが高評価だったようです。スマートホームというと高度なAI制御による生活アシスタントなどを想像しがちですが、ユーザーが実際に感じる快適さは「スマホが照明リモコンになる」などの手短なところからなのかもしれません。

smarthome-201807-009
各種家電のリモコン操作が全て1つのスマホアプリに集約されているというだけでも十分便利だ


実証実験の概要や第1回実証実験についての報告、および第2回実証実験についての具体的な内容などは以下の動画をご覧ください。


S-MAX:NTTドコモ・IoTスマートホーム内覧会

動画リンク:https://youtu.be/tNSU0BHKTCU

■IoTとAIエージェントの連携が将来の目標
第1回実証実験や第2回実証実験・フェーズ1までに得られた知見として、想定していた居住者の行動の可視化や居住データの定量化とともに位置検出床(圧力センサー)が防犯や居住者外出時のセキュリティに活用できる点などのアイデアを得られるなど、IoT活用の面からも貴重な気づきがあったと担当者は語ります。

今後は第2回実証実験のフェーズ2として7月13日より8月16日までIoT機器連携機能やIoTシャッター制御機能の実証、チャットボットを介した対話および機器制御、食事・美容に関するセンシングなどがテストされ、さらにフェーズ3として8月21日より9月24日まで室内外環境の詳細センシングとチャットボットを介した食事・美容等に関するアドバイスの実証実験が予定されています。

今回のトレーラーハウスによる実証実験で用いられたIoT機器やその制御デバイスなどはそのまま実用化されるものではありませんが、これらの技術的検証が今後のIoT機器の製品化に大きく貢献することは間違いありません。とくにNTTドコモではスマホ向けのAIエージェントサービス「my daiz(マイデイズ)」を開始しており、こういったオンラインサービスとの連携によってスムーズでシームレスなIoT制御を行うことも視野に入れています。

人々の生活支援や社会活動支援に注力するNTTドコモにとって、生活の基盤たる住居全てを制御するスマートホームは1つの目標点と言えます。その実現に向けたフィールドテストである「未来の家プロジェクト」の動向は今後も大きな注目を集めそうです。

smarthome-201807-010
地道な実証実験が未来を創る




記事執筆:秋吉 健


■関連リンク
エスマックス(S-MAX)
エスマックス(S-MAX) smaxjp on Twitter
S-MAX - Facebookページ