災害による停電時に便利なモバイルグッズとお役立ちTIPSを紹介!

6日午前3時6分頃、北海道胆振地方付近を震源とする地震が発生しました。震度は厚真町で震度7、むかわ町と安平町で震度6強を観測するなど非常に激しい揺れに見舞われ、各地で壊滅的な被害が発生しました。この地震の影響で道内の電力供給がストップし一時的に道内全域で停電状態に陥るなどライフラインの致命的な途絶が発生しましたが現在は徐々に回復傾向にあり、最悪の状況だけは回避した様相です。

通信関連においても電源の途絶や土砂崩れおよび地面の液状化現象による通信基地局の故障と停止が相次ぎ、かろうじて非常用電源で可動していた基地局においてもバッテリー切れによる機能停止に追い込まれました。NTTドコモでは大ゾーン基地局が史上初めて稼働するなど一時は非常に厳しい通信環境へ陥りましたが、こちらも電力の回復とともに徐々に復旧が進み始めています。

今年は地震や台風による大災害が日本全国で立て続けに発生し、改めて日本が天災の多い国であることを痛感させられた気分です。このような大災害に見舞われた時、人は改めて「連絡が取れる」ことのありがたさを思い出し、そして平時に当たり前のように通信ができていることの素晴らしさを実感します。

通信会社各社が地道な努力によって通信というライフラインを保つ中、私たち一般人は災害時の連絡手段に対してどのような対策と備えができるでしょうか。感性の原点からテクノロジーの特異点を俯瞰する「Arcaic Singularity」。今回は災害などで電力供給や通信回線が途絶する事態に備え、私たちにできることや用意しておくと便利なグッズなどをTIPSとしていくつかご紹介します。

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NTTドコモの大ゾーン基地局は全国に106箇所あり、巨大災害などで基地局の多くが被害を受け通信環境の維持が困難になった際に発動される


■スマホの省電力設定は平時から確認しておこう!
停電になった際、私たちがフィーチャーフォンやスマートフォン(スマホ)でまずすべきことは省電力設定です。細かな設定は機種やOSのバージョンごとに若干異なりますが、iOS 9以降のiPhoneやiPadであれば「低電力モード」が追加されており、設定からこのモードをONにするだけでメールの取得やSiriの音声起動、アプリのバックグラウンド更新や自動ダウンロードなどが停止されます。

Android OSでは「Android 5.0 Lollipop」よりバッテリーセーバーが搭載されており、設定内の「バッテリー」もしくは「電池」より設定が可能です。バッテリーセーバーはバッテリー残量が20%以下になるとバッテリーセーバーを利用するかどうかのダイアログが表示されるほか、手動で強制的にONにしたり、バッテリー残量が一定値(15%など)以下になった場合に自動的にONになるように設定しておくことも可能で、CPUクロックの低減、バイブレーション機能の抑制、位置情報サービスの停止、大半のバックグラウンド通信の停止などが行われます。またメールやSNSアプリなど同期が必要なアプリは利用時であっても自動同期されなくなります。

Androidスマホの場合、ベンダー各社が独自の省電力モードを搭載している場合があります。こちらも大抵は設定内の「バッテリー」もしくは「電池」の項目にあります。またフィーチャーフォンでも同様の省電力モードもしくは低電力モードが搭載されている機種がほとんどです。いざという時にすぐに設定を変更できるよう、平時からこれらの設定の場所や設定方法を確認しておくようにしましょう。

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iOSの低電力モードをONにするとステータスバーのバッテリーアイコンが黄色になる


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AndroidのバッテリーセーバーをONにするとステータスバー全体がオレンジ色になる


このほか効果的な省電力設定としては、画面(ディスプレイ)の輝度を最低まで下げて利用するのが有効です。液晶ディスプレイの場合バックライトが消費する電力は非常に大きいため、画面輝度を手動で下げるだけでもかなりの効果があります。

有機EL(OLED)ディスプレイの場合、画面輝度を下げるのと同時に効果的なのは黒い背景の壁紙などを設定することです。OLEDは黒の発色時は電力を使わない(もしくは非常に少ない電力で輝度を下げている)ため、バッテリー消費を抑えることが出来ます。白系の明るい壁紙から黒系に変えるだけでもそれなりに効果はあります。

※液晶ディスプレイにも画面が黒の場合に電力消費が抑えられるタイプ(ノーマリーブラック)や白の場合に電力消費が抑えられるタイプ(ノーマリーホワイト)などがありますが、こちらは端末の機種やディスプレイの種類によってさまざまで一概にどちらの色の壁紙が良いと言えないため、ここでの言及は控えさせていただきます。


大規模停電によって通信基地局も停止している場合、端末の「機内モード」をONにしておくのも効果的です。フィーチャーフォンやスマホは電波が掴めない状態(圏外)になると基地局を探すためにより強い電波を頻繁に送信し無駄に電力を消費します。外部の情報などで基地局の復旧状況が分かるようであれば機内モードを利用してみましょう。

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iOSであればコントロールセンターから、Android OSであれば電源ボタンの長押しなどで簡単に機内モードのON/OFFができる


■外部電源の用意も重要!
有事の際には上記のような端末側による省電力設定が有効ですが、もっと重要なことは「有事に備える」ことです。災害はいつやってくるか分からないため過剰な準備や備えはなかなかできませんが、筆者がオススメしたいのはジャンプスターター機能付きモバイルバッテリーの常備です。

フィーチャーフォンやスマホを充電するためのモバイルバッテリーは小型のものを中心に今や誰もが持ち歩くアイテムとなりつつありますが、もっとバッテリー容量が大きく自動車のエンジンも始動できるジャンプスタータータイプを自宅の自動車などに常備しておくと、いざという時に非常に役立ちます。

容量は1万~2万mAhの物が多いですが、車載するものなので敢えて少ない容量を選ぶ意味はあまりありません。自宅の自動車のバッテリー規格などを確認し、エンジンの始動ができる規格のものを購入しましょう。3~4年前までは種類も少なく価格も1万円以上と高額なものが主流でしたが、現在は3,000円~8,000円程度とかなりリーズナブルになってきています。

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Amazonなどで「ジャンプスターター モバイルバッテリー」で商品検索すれば数え切れないほどヒットする


ジャンプスターター機能付きモバイルバッテリーを購入する際のポイントは出力とライト機能です。ほとんど製品は5V/2.1Aといった高出力に対応していますが、安い製品などではこの出力がないためにタブレット端末を充電できない場合があるため必ずチェックしておきたいところです。

またライト機能もほぼすべての製品が備えていますが、ライトが複数付いていたり、点灯だけではなく点滅やSOS点滅などを備えている機種もあるため、有事の際にどのような機能が必要か考慮して購入したいところです。

このほか、モバイルバッテリーに自動車のシガーソケットから充電できる充電ケーブルの付属の有無や、まとめて持ち運びやすいキャリングケースの付属の有無、各種端末の充電に必要な充電ケーブルの有無や外部ケーブルを収納するスペースがあるかどうかも重要です。付属品は豊富でも持ち運びづらかったり充電ケーブルが付属していなければ意味がありません。購入前に必ず確認しておきましょう。

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筆者が常備しているのはAUKEYのモデル。12V車用で不意なバッテリー上がりの際にもとても重宝した。付属のUSBケーブルがmicro USBタイプのみなので、別途Lightning端子対応のUSBケーブルを購入し付属のキャリングケースに入れている


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USBポートの数や利用可能容量、バッテリー残量表示の有無などを購入前に確認しておきたい


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停電時は昼夜を問わず明かりの確保がとても大切。点滅モードなどがあれば自分の居場所を知らせる重要な道具にもなる


地震や台風、洪水などの天災はいつやってくるかわかりません。「その時」が来てから慌てても情報は手に入らず、闇雲にスマホをいじってバッテリーが切れてしまい肝心の連絡手段を失いかねません。できる範囲での準備と設定の確認などを今のうちに行っておきましょう。

記事執筆:秋吉 健


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