ソニーモバイルの最新フラッグシップスマホ「Xperia 1」の国内向けモデルを写真と動画でチェック!

ソニーモバイルコミュニケーションズ(以下、ソニーモバイル)が今夏の最新フラッグシップスマートフォン(スマホ)としてラインナップしている「Xperia 1」が日本でもNTTドコモおよびKDDI(au)、ソフトバンク(SoftBank)の移動体通信事業者(MNO)の大手3社から発表されました。

発売時期と本体価格は、NTTドコモ向け「Xperia 1 SO-03L」が2019年6月上旬の発売予定で価格は103,032円(以下、すべて税込)、au向け「Xperia 1 SOV40」が6月中旬以降の発売予定で価格は112,320円の実質負担額63,936円から、SoftBank向け「Xperia 1」が2019年6月中旬以降の発売予定で価格は136,320円です。

各MNOから発売されるXperia 1は今年2月にスペイン・バルセロナにて開催された「MWC Barcelona 2019」で発表されたグローバルモデルを国内向けにおサイフケータイ(FeliCa)やワンセグ・フルセグに対応するなどのカスタマイズされたもので、基本的な性能と仕様はほぼ変わらないものの、キャリアアプリなどのソフトウェアの差異のほか、内蔵ストレージ容量などで違いがあります。

すでに各MNOの発表に先駆けて4月にソニーモバイルが主催した体験会のレポートをお伝えしており、外観や基本機能については紹介していますが、今回は各MNOの発表会場に併設されたタッチ&トライにて実機に触れる機会がありましたので改めて各社の違いなどを含めて写真や動画を中心にご紹介します。

なお、発売に先立ってすでに各社ともにキャリアショップや量販店などの店頭および公式Webストア「ドコモオンラインショップ」や「au Online Shop」、「ソフトバンクオンラインショップ」にて事前予約受付が実施されています。

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Xperia 1、あなたはどのキャリアで購入する?


■各社で異なるカラーバリエーション
各社のモデルを比較するにあたり、最初に気がつくのはカラーバリエーションの違いです。NTTドコモ向けモデルはブラック・パープルの2色、au向けモデルはブラック・パープル・グレー・ホワイトの4色、SoftBank向けモデルはブラック・パープル・ホワイトの3色展開となります。

グローバルモデルでは4色がラインナップされており、すべてのカラーを発売するのはau向けモデルのみで、NTTドコモ向けモデルに至っては2色しかないという点に注意が必要です。例えば、グレーを希望する場合はauしか販売がありません。

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グレーやホワイトのモデルが欲しい場合はかなり悩ましい(画像はグローバルモデル)


NTTドコモ向けモデルのXperia 1が2色展開となった点について、NTTドコモの担当者は「下位モデルとしてラインナップしているXperia Aceが3色展開となっており、合わせて5色の中から選んでいただければ」と語っていましたが、Xperia Aceはブラック・パープル・ホワイトの3色であり、ブラックとパープルが被っており、グレーがない点は訴求力として他2社に見劣りする部分があります。

またau向けモデルやSoftBank向けモデルにはキャリアロゴが入っていない点も違いの1つです。NTTドコモ向けモデルのみ本体背面下部の「Xperia」のブランドロゴのすぐ上に「docomo」のキャリアロゴが印字されます。

前述のようにNTTドコモ向けモデルはau向けモデルやSoftBank向けモデルよりもかなり安く、特にSoftBank向けモデルとは3万円以上も価格差があるなど価格面では魅力の高いモデルとなっていますが、カラーバリエーションの少なさやキャリアロゴが入る点などをどこまで許容できるのかが重要な選択理由となりそうです。

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NTTドコモ向けモデルは3社の中で最も安いがカラーの少なさがネック


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NTTドコモ向けモデルはこの位置にキャリアロゴが入る


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SoftBank向けモデル。キャリアロゴがないためSIMロック解除して運用したい層に人気が出そうだ


■コストダウンをどう見るか
もう1つ、グローバルモデルから変更された点として内蔵ストレージ容量の半減があります。グローバルモデルでは内蔵ストレージは128GB搭載されていましたが、日本国内向けモデルではMNO各社のモデルすべてで64GBに削減されています。

この点についてソニーモバイルの担当者は「価格的な市場の要求や実運用で問題はないとの判断から」と語っていますが、利益率を優先する普及価格帯モデルであるXperia Aceのような製品であるならともかく、メーカーブランドを象徴すべきフラッグシップモデルで内蔵ストレージ容量を半減するのは、ハイブランド戦略としてどうなのだろうかと感じるところではあります。

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基本的にブランドに魅力を感じて購入する層が多い10万円超の端末でコストを優先しなければいけない理由とはなんだろうか


■新たな使い方を提案するシネマワイドディスプレイ
その他のスペックなどはほぼグローバルモデルと同じです。画面にはアスペクト比21:9の4K(3840×1644ドット)/HDR・有機EL「シネマワイドディスプレイ」を搭載し、プロ用撮影機材との連携にも耐え得る超高画質を実現しています。

またXpreia 1で撮影した4K/HDR動画や動画配信サイトの4K/HDR動画の再生に対応するだけでなく、YouTubeやNetflix、Amazonプライム・ビデオといった動画配信サイトではHDRリマスターによるアップコンバートに対応し、SDR動画でもHDR相当の美しい再生を可能としています。

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Xperia XZ1(左)との比較。Xperia XZ1では21:9サイズの映画を視聴する際上下に黒い帯が入って小さな画面になってしまうが、Xperia 1であれば全画面で大きく視聴できる


ただし、画面比率が21:9である弊害もあります。

一般的に4Kと言うと、4K UHDTV規格の「3840×2160ドット」を指しますが(DCI 4K規格の「4096×2160ドット」も存在する)、Xperia 1の画面は「3840×1644ドット」であり、ランドスケープモード(横画面)にした場合、縦方向に516ドット短くなります。

そのため、動画配信サイトなどの4K動画を再生すると縦方向が切れてしまう、もしくは縦方向にアジャストさせて画面横に黒い帯が入ることになります。これは画面のアスペクト比が16:9であるFHD(1920×1080ドット)の動画などでも同様です。

フルスクリーン映画の再生では大きなメリットであるシネマワイドディスプレイですが、用途によっては不便になることもあるため、購入を検討する際は自分の用途に合っているか確認したほうが良いでしょう。

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一般的な4K動画やFHD動画を画面アジャストで再生すると、画面左右に大きな黒い帯(無表示帯)が入ってしまう


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画面の左右いっぱいに表示させれば今度は上下が切れてしまう。実に悩ましい


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シネマワイドディスプレイに対応したゲームなども展示された(画像はEpic Gamesの「FORTNITE」)


シネマワイドディスプレイのもう1つの便利な使い方がマルチウィンドウ機能です。

AndroidにはOS標準機能として画面を2分割して別々のアプリを動かすマルチウィンドウ機能が実装されていますが、Xperia 1ではその機能を使いやすくアプリとして提供しています。

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マルチウィンドウアプリ


アプリを起動すると画面の上下に表示するアプリを順番に選択するダイアログが表示され、操作説明どおりに2ステップ操作するだけで簡単にマルチウィンドウ環境を利用できます。

上の画面で動画を見ながら下の画面でSNSをしたり、上の画面でレストランのWebサイトを表示しながら下の画面に地図アプリを表示してお店の場所を探すなど、工夫次第でさまざまな使い方が考えられます。

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ハイスペックを十二分に活かせるマルチウィンドウ機能


2つの画面はサイズを3種類から選べるようになっており、小さくした画面のアスペクト比がちょうど16:9となるため、上の画面で動画をコンパクトに表示しながら下の画面では従来のスマホと同等の広さで別の作業をするといったことが可能です。

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上の画面を16:9にすると、実は下の画面もほぼ16:9の比率になる


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上下の比率を逆にすることも可能


またマルチウィンドウアプリは画面の端をダブルタップすることで起動できるランチャー機能「サイドセンス」からも起動可能なので、ホーム画面に戻らずに任意のアプリを利用中でもマルチウィンドウ化することができるのも便利です。

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慣れればとても便利なサイドセンス機能


■充実のハイエンドスペック
Xperaブランドのフラッグシップモデルだけあり、その性能もハイエンドです。

SoCにはQualcomm製「Snapdragon 855」を搭載し、メインメモリー(RAM)は6GB。内蔵ストレージは前述の通り64GB。本体重量は178gと、Xperia XZ3やXperia XZ2 Premiumからだいぶ軽量化されました。

カメラにはXperiaシリーズ初となるトリプルカメラを搭載。標準・望遠・超広角の構成で、仕様は以下のとおりです。

・標準:約1220万画素・Dual Photo Diode・26mm相当・F1.6・OIS
・望遠:約1220万画素・52mm相当・F2.4・OIS
・超広角:約1220万画素・16mm相当・F2.4

※OIS……光学式手ぶれ補正


4K/HDR撮影を可能とする画像処理エンジン「BIONZ X for mobile」を搭載し、Xperia XZ3比で約4倍となる高感度化を果たしています。

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手ぶれ補正は光学式と電子式を併用


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スマホのカメラ機能の進化は止まらない


Xperia XZ2やXperia XZ3で背面に配置されていた指紋認証センサーはXperia XZ1のように側面へ再配置されています。ただし電源キーとは別で実装されており、ロックを解除せずにメール通知のみを確認したり、時計のみ見る場合などに便利になっています。

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右側面には、左から電源キー、指紋認証センサー、音量調節キーが並ぶ


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外部接続端子はUSB Type-C


Xperia 1の国内向けモデルについての紹介は、以下の動画からもご覧いただけます(動画はNTTドコモ向けモデルとau向けモデルをそれぞれの発表会にて撮影しています)。

【S-MAX:NTTドコモ向けスマホ「Xperia 1 SO-03L」(ソニーモバイルコミュニケーションズ製)ファーストインプレッション】
動画リンク:https://youtu.be/b9Bv_UtqwfE

【S-MAX:au向け「Xperia 1 SOV40」(ソニーモバイルコミュニケーションズ製)の主な特徴などを聞いてみた】
動画リンク:https://youtu.be/5v79tIYkSCM

■「ソニーらしさ」を主張するXperia 1
MNO各社が今夏を代表するスマホとしてピックアップするだけあり、Xperia 1の完成度はかなり高いと感じます。

ソニーモバイルは過去に「Xperia Z」シリーズや「Xperia XZ」シリーズの戦略について「市場を読み間違えていた」とも語っており、1から作り直したXperiaとして「Xperia 1」という名前を冠したという由来とともに、本機にかける想いの強さも感じ取れます。

ただし、その強い個性がゆえに旧来のコンテンツとの相性の悪さも感じます。シネマワイドディスプレイは16:9サイズのコンテンツを利用するには持て余し気味でもあり、超縦長のボディも横幅こそ72mmに抑えていて持ちやすいものの、ポケットやバッグに入れるにはかなり大きい印象です。

ひと目でXperia 1であると分かる特徴的な超縦長デザインは、ケレン味に溢れたかつてのソニー製品を彷彿とさせ、大多数の人々が満足するものではなく特定のファン層の心を鷲掴みにするようなコアな設計思想であることを強く主張していますが、それだけに国内向けモデルで内蔵ストレージ容量を削減してきた点は若干残念でもあります。

カラーバリエーションやキャリアロゴの有無など、MNO各社のわずかな違いが気になるのも、逆に言えば他の部分でほとんど不満が出てこないという証左でもあります。Xperiaの最上位機種が欲しい、ソニーらしさを感じられるスマホが欲しいと強く思える層にこそ、手にしてもらいたい1台です。

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ソニー製品だからこそ、尖った端末が欲しくなる








記事執筆:秋吉 健


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