ヤフーの親会社であるZホールディングスとLINEが経営統合!

既報通り、ヤフー(以下、Yahoo! JAPAN)を傘下に持つZホールディングスとLINEは18日、経営統合に向けた基本合意を締結し、法的拘束力のある最終契約を2019年12月をめどに締結することをめざして協議および検討を進めていくと発表した。

また両社は同日17時から都内にて「共同記者会見」を開催し、経営統合に至った経緯や統合後のシナジーなどを説明し、アメリカと中国のITテック巨大企業に対抗しうる第3の選択肢になれるような日本・アジアから世界をリードするITテックカンパニーをめざすことを明かした。

02
Yahoo! JAPANの親会社であるZホールディングスとLINEが経営統合に向けて基本合意


03
Zホールディングス 代表取締役社長兼CEOの川邊健太郎氏(左)とLINE 代表取締役社長兼CEOの出澤剛氏(右)

経営統合のきっかけとなったのは、毎年開催されているという新年会という形で会っており、そこで川邊氏が副社長時代を含めた数年前から「LINEと大きなことをやりたい」と声をかけていたが、これまでは笑ってごまかされたりと反応が鈍かったという。

そうした中で今年は双方忙しく開催が春頃と遅くなったが、川邊氏曰く「はじめていい反応が返ってきた」ので、両氏ともに「じゃー、お酒のないまじめに話をする機会を作ろう」ということではじめは経営統合ということではなかったが、いろいろと検討しているうちに話が出てきたとのこと。

その後、6月頃に両社の親会社であるソフトバンク 代表取締役社長の宮内謙氏やNAVERの幹部に相談し、夏頃までに経営統合に向けた大枠が決まってきたということだ。中でも親会社も含めた4社で共通して大きな流れとしてアメリカや中国のIT巨大企業による独占に危機感を抱いたというものだあるようだ。

出澤氏は「この1年で何が変わっていい返事をしたのか?LINE Payにおけるキャンペーンによって赤字に転落したことが影響したのか?」と問われ、競争が激化していることは要因の1つだとしつつも「この業界は1年でこの変わるので、常にいろんな選択肢を考えているが、総合的に見て良いタイミングで良い形で組めると判断した。まずスタートラインに立った段階だが、フランクな会話からはじまったので感慨深い」と回答した。

なお、ソフトバンクの取締役でソフトバンクグループの代表取締役会長兼社長の孫正義氏には川邊氏が9月に経営統合の検討をしているとプレゼンテーションを行ったところ「100%賛成だ。日本やアジアのインターネットのためにスピーディーにやるべき」といった言葉をもらったとし、ソフトバンクグループや孫正義氏が主導したといった一部報道があったが、これを否定して関与していないことが明かされた。

04
これまでは切磋琢磨する関係だったが、これは最終的に経営統合するまで続けるという。両氏ともに同日に社員に向かって「(相手よりも)良いサービスを作るように」といった言葉をかけたとのこと


05
経営統合後はソフトバンクとNAVERが50%ずつ出資する現在のLINEがジョイント・ベンチャー企業となり、そのLINEがZホールディングスを傘下に収め、Zホールディングスの完全小会社としてYahoo! JAPANとLINE(承継会社)が兄弟会社として事業を行う形となる。なお、Zホールディングスは一般株主も残して一部上場を継続する


06
また統合後の新生Zホールディングスは社内取締役として現在のZホールディングスから3名、現在のLINEから3名、3分の1以上となる社外取締役を4名とする計画


07
さらに新生Zホールディングスでは川邊氏と出澤氏がともに代表取締役兼共同CEOとなって経営統合を進める。共同CEOにすることで大きな企業同士の経営統合となるため、審査なども含めて統合するまでに1年弱かかり、さらに自走するまでも時間がかかることを考えると、まったく同じコミット力で達成しないと無理だと判断したという。なお、川邊氏は社長も兼任する


08
プレゼンテーションではGAFAなどの北米企業とテンセントなどの中国企業を「グローバルテックジャイアント」と総称


09
米中のグローバルテックジャイアントと比べると、現時点でのZホールディングスとLINEを合わせても足元にも及ばない

最終的に経営統合という判断になった理由として終始語られたのは、世界がGAFAと呼ばれるGoogleやApple、Facebook、Amazonといったアメリカを中心とした北米企業、そしてアリババやテンセントなどの中国企業の二極化となっており、さらに現在は米中関係が悪化していることからさらにこの両極が完全に分断しつつあることが指摘された。

このような状況から両氏から経営統合によって「北米と中国に続く第3の選択肢としてAIを軸としたITテックカンパニーをめざす」ことが明らかにされた。一方で現状ではZホールディングスとLINEの事業を単純に足し算しても時価総額3兆円、営業利益1,600億円、研究開発費200億円、従業員数1.9万人とグローバルテックジャイアントと比べて圧倒的な差があることが指摘された。

10
テクノロジーで解決できる社会課題はまだたくさんある


11
Yahoo! JAPANとLINEが一緒になることで日本に住む人々に最高のユーザー体験(UX)を提供して社会課題を解決していくという

特に研究開発費の差は大きく、実際に大地震や大雨などの災害が起きる度にテクノロジーで解決できる社会の課題がまだまだあるとし、今後、日本では人口が減少していく中で労働力や生産性の問題を含めてそれぞれで競争していくよりも一緒になってより大きなことをやったほうが良いと判断したという。

川邊氏は「私もGAFAのサービスは使っていて非常に優れている」としつつも「どうしても北米や中国の企業は日本固有の問題には対応しなかったり、対応が遅かったりする。」とし、これまで通りに日本市場にしっかりと対応したサービスを展開し、さらにアジアを中心に海外でも展開してきたいということだ。

12
Yahoo! JAPANとLINEの現在の月間利用者数とビジネスクライアント数。Yahoo! JAPANが6743万人と300万社超、LINEが8200万人と約350万社


13
LINEのグローバル展開

中でもLINEはグローバル展開しており、タイやインドネシア、台湾などの国・地域でも利用者数が多く、コミュニケーションサービスとしての月間利用者数は1億8500万人、決済サービスのLINE Payのグローバル登録数は5000万人突破とブランド力もある上に主要4カ国では銀行事業を準備中だという。

一方、Yahoo! JAPANは国内での認知度は非常に高いが、ライセンスの問題で海外進出できないという問題もあることから川邊氏は「私自身、LINEというサービスが大好きで毎日使っているヘビーユーザーで、前から一緒にやりたいと思っていた。」と語り、「こんな良いサービスは世界に広めたい。」と海外進出にも意欲的であることを明かした。

14
経営統合することで各カテゴリーでシナジーを得られるとする。ただし、同一カテゴリーで経営統合後にPayPayとLINE Payというように競合するサービスを一本化するかどうかなどの具体的な計画はまったくなく、すべて経営統合を果たしてからそれぞれの事案で検討するという


15
両社の経営統合はそれぞれのグループの資産も連携でき、Zホールディングスなら親会社のソフトバンクの5Gを含めた携帯電話サービス「SoftBank&Y!mobile」やDiDiなど、LINEならNAVERの写真編集アプリ「SNOW」や検索サービス「NAVER Search」など


16
シナジーとして開発者やデザイナーなどの人材が合わせて約2万人になることも挙げられていた


17
両社合わせると年間投資額が約1,000億円となる

Yahoo! JAPANとLINEだけでもPayPayとLINE PayやYahoo! ニュースとLINE NEWS、livedoorニュースなど、さまざまな競合サービスが存在するが、両社ともに「経営統合するまではライバル」として切磋琢磨を続けることが強調されたほか、経営統合後についてはすべて白紙で統合後に個別に協議するといった回答に終始した。

またそれぞれ親会社もあり、特にLINEはソフトバンク傘下となることから質疑応答では「携帯電話会社の色が付くのではないか」と心配する声もあったが、川邊氏は「Yahoo! JAPANもソフトバンク傘下だが、残りの各社ともにサービスを行っている。」とし、ソフトバンクと連携できるところはするが、これまで通りにLINEもソフトバンク以外でもきっちり使えるようにしていくと語られた。

18
統合後の戦略投資領域として「メディア・コンテンツ」や「広告」、「コマース・O2O」、「Fintech」、「コミュニケーション」が挙げられた


19
それらをAIを軸に結び付け中長期投資を行って新たな価値を創り出すという

なお、利用者基盤が拡大することで利用データの活用拡大も懸念されるが、LINEについてはコミュニケーションサービスにおける会話は現在も通信の秘密によって活用されていないとした上で、プライバシー保護とサイバーセキュリティー強化を行いつつ、それ以外ではまさにこれから協議していく内容であるとし、多くの人にとって「問題を解決するようにつなげられるように活用したい」ということだ。

20
最後にYahoo! JAPANとLINEともにプライバシー保護とサイバーセキュリティー強化の方向性を示し、当たり前ではあるが「サービス利用を通じて生まれたデータは利用者のもの」であり、「すべてのデータは日本国の法令に基づき運用する」ものとし、「サイバーセキュリティーを高め続けてデータを守る」ことが宣言された。両社ともに個人情報の取り扱いなどはかなり緩い印象もあるため、今後の対応に期待したい

統合後の社内環境についても当面は現状を継続すると見られるが、社風なども含めて今後両氏が取り組むべき課題のひとつだとし、働く人々が非常に大事でいかに融合していくか、それぞれ各論で積み上げていくものだが、2人ともかつて率いていた企業が買収された経験もあることからそれらを活かし、2人でリードしながらしっかりと進め、新会社から新しい大きなサービスが生まれるものが大きな旗印になる。

それがどんなサービスかはまだわからないが、一緒になってシナジーを倍にすることで、そうしたサービスを生み出したいとまとめた。なお、統合に当たっては規制当局などによる審査も必要になってくるが、シェアが著しくあがる分野はないので「独占といったことはないだろう」としつつ、あくまで各行政などの判断に従う立場なので進んで協力したいとした。

00




■関連リンク
エスマックス(S-MAX)
エスマックス(S-MAX) smaxjp on Twitter
S-MAX - Facebookページ