QWERTYキーボード搭載の個性派スマホがお得になって再登場!魅惑のキーボード端末を使ってみませんか?

リンクスインターナショナルがQWERTYキーボードを搭載したクラムシェル型Androidコミュニケーター「Cosmo Communicator」(Planet Computers製)に画面外部出力用の専用HDMIケーブルをセットにした「Cosmo Communicator with HDMI」を6月27日に販売開始しました。価格は据え置きの市場想定価格88,000円(税別)。

Cosmo Communicatorは日本市場でも昨年12月に発売され、折りたたんだ状態では携帯電話として利用でき、開くと文字入力がしやすくハンドヘルドコンピューターのように使える製品で、新たにこれまでは別売りで販売していたHDMIケーブルがセットになりました。

このHDMIケーブルを利用することで、手軽にプロジェクターやモニターなどに接続して大画面でコンテンツを楽しんだり、画像や資料を表示させることができるのが特徴です。今回、リンクスインターナショナルよりレビュー用に同製品を用意していただいたので、さっそく実際に使ってみた感想などを紹介します。

【Cosmo Communicatorのおさらい】


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「Cosmo Communicator with HDMI」と同梱品

Cosmo CommunicatorはイギリスのベンチャーメーカーであるPlanet Computersが開発したSIMフリーのAndroid搭載製品です。通話可能なのでスマートフォン(スマホ)ではありますが、メーカーとしてはあくまでも“コミュニケーター”(コミュニケーションデバイス)という扱いとしています。

ノートパソコンに近い形状のクラムシェル(折りたたみ)型で、開くとパソコン(PC)のようなQWERTY配列の物理キーボードを搭載していることが最大の特徴となっており、閉じた状態でも各種情報確認や通話などが行えます。

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今回の「with HDMI」には専用HDMIケーブルが同梱されていることを示すシールが箱に貼られている


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一般的なノートPCのキーボードと比べると若干狭めのキーピッチだが、タイピングの感覚に慣れるのにさほど時間はかからないはず。むしろハイフンやアンダーバーなどの記号の配置に慣れるのに時間が少々かかるかも

Cosmo Communicatorの基本仕様については過去に以前に掲載している『リンクスインターナショナル、QWERTYキーボード搭載クラムシェル型コミュニケーター「Cosmo Communicator」(Planet Computers製)を9月末に発売!価格はおよそ10万円に - S-MAX』でも紹介していますが、おさらいとしておおまかに紹介します。

基本的なスペックとしてはチップセット(SoC)にMediaTek製ミドルレンジ向け「Helio P70」(オクタコアCPU「ARM Cortex-A53×3+ARM Cortex-A73×4」)、内蔵メモリー(RAM)が6GB、内蔵ストレージが128GB、外部ストレージがmicroSDXCカードスロット、バッテリー容量が4220mAhなどとなっています。

また画面は開いたときに利用する内側にある約5.99インチFHD+(2160×1080ドット)TFT液晶のメインディスプレイと外側にある約1.91インチのサブディスプレイを搭載しています。どちらもタッチパネルでタッチ操作が可能で、音声通話を行う際には本体を広げることなく、閉じたままでの音声通話の発着信の操作が可能なほか、サブディスプレイにメールの通知などを表示することができます。

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本体を閉じた状態の天面(左側)と底面(右側)

サイズは約171.4×79.3×17.3mm(閉じた状態)、質量は約326g、本体カラーはブラックの1色のみで、スマホとしてはやや重量級ですが、キーボードを搭載したコミュニケーターと考えれば十分に許容できるレベルではないでしょうか。

また2つあるnanoSIM(4FF)カードスロットのうち、片方はmicroSDXCカードと排他になっており、SIM2スロットにSIMカードをセットしていない状態であれば、eSIMが登録可能となっており、国内ではまだ数少ないeSIM対応製品でもあります。ワイヤレス機能やセンサー類については表の通り。

携帯電話ネットワーク4G(LTE)Band 1、2、3、4、5、7、8、11、17、18、19、26、28A、28B、41、71
3G(W-CDMA)Band 1、8
3G(CDMA 1X 2000 EV-DO)BC0、BC1
2G(GSM)850、900、1800、1900MHz
無線LAN(Wi-Fi)IEEE802.11a/b/g/n/ac準拠(2.4および5.xGHz)
BluetoothVersion 5.0
センサー類指紋センサー、AGPS、加速度センサー、コンパス、光センサー、ジャイロセンサー、磁気センサー


【QWERTYキーボードでメッセージ・オフィスアプリなどに快適な長文入力を活かす】

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実際、プリインストールアプリにテキストツールやメーラー、ToDo(タスク管理)といったビジネス用途にも有用なアプリが用意されているほか、MicrosoftのOffice系アプリをすぐにインストールするためのショートカットが用意済み

Cosmo Communicatorの名前の通り、コミュニケーション用製品としての魅力と完成度は高く、スマホとしては破格の打鍵感を持つキーボードを活かして出先での長文入力はもちろん、SNSなどのチャットツールにも活躍できます。個人的には取材などでテキストエディターアプリを使ってメモ・文章入力を行うといったビジネス用途にも便利ではないかと思います。

また本機はQWERTYキーボードを搭載したAndroidスマホであり、ノートPCほど万能なマシンではないものの、必要なアプリのインストールや設定を行うことでビジネス用途にもそこそこにイケるポテンシャルを持った製品となっています。

ビジネスに使うならどう使うと便利か?プレゼンテーションに使うというのはどうでしょう。そう、外部モニターやプロジェクターへ接続しての外部画像出力機能を活用するのです。そこで、今回の「with HDMI」が出てくるのです!

【外部画面出力機能あれこれ】

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付属のUSB Type-C・HDMI接続ケーブル

Cosmo Communicatorのシェルオープン時の右側のUSB Type-C端子(シェル閉じ時で言うと上側)に付属のUSB Type-C・HDMIケーブルを挿して外部モニターのHDMI端子接続へ接続することで、Cosmo Communicatorの画面をそのまま表示させることができます(音も鳴ります)。

注意点としては付属のHDMIケーブルは専用ケーブルとなっており、他機種向けのUSB Type-C接続のHDMIケーブルを接続しても利用でないので、なくさないように注意してください。

この機能を使うことで、写真や画像、オフィスファイルなどの資料(グラフ・パワーポイントなど)や動画を大きな画面に出すことでプレゼンテーションなどの多くの人に見てもらう用途に使うことが可能です。

ちょっと横道に逸れますが、個人的に推したい特徴でも触れておくと、Cosmo CommunicatorにはUSB Type-C端子が2つ搭載されているおり、どちらも充電とホスト(OTG)機能に対応しています。

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一般的なスマホではまずお目にかかれない2基も用意されたUSB端子

どちらもUSBメモリーやマウス、ゲームパッドなどの外部機器との接続が可能で、HDMI接続で大画面表示をさせたまま、残った方のUSB端子に電源を接続ができるので、さすがに本格的なPCっぽい作業はできませんが……ちょっとしたPCっぽい使い方はできます。

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マルチウィンドウでも利用可能なので、大画面で並行作業なんてのもありかも?

動作もSoCはミドルレンジ向けながら6GB RAMと余裕があるため、負荷の大きい本格的なゲームなどをやらない限りは操作感も思った以上に快適です。キーボードがある関係でそもそもスマホ向けのゲームアプリは相性の悪いのも少なくはないのですが……。

【実際に使ってみて感じたあれこれ】

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レスポンスに改善の余地ありだが、タッチ操作可能なサブディスプレイの発想はすごくいい

最後にCosmo Communicato(with HDMI)をセットアップから実際に使ってみたところまでに感じた良いと思った点と気になった点を挙げておこうと思います。

〇Cosmo Communicator(with HDMI)の良かった点
・この手のQWERTYキーボード搭載製品としてはトップクラスに押しやすいキーボード
先代モデルの「Gemini PDA」から引き続き、QWERTYキーボード搭載を搭載している本機ですが、拘りの感じられる打鍵感のしっかりとしたキーボードに仕上がっています。前述していますが、ややキーピッチは狭いものの、使っていれば慣れるレベルで、しっかりと力が入っているのがわかるのが最大の特徴でしょう。

・しっかりと電話でもある
シェル外側のサブディスプレイをタッチ操作することで、閉じた状態でも音声通話発信ができます。電話がかかってきた際やメールの通知もサブディスプレイに表示されるのもポイント。ただし、サブディスプレイのタッチパネル操作は明らかにモタつきがあるのは要改善点かもしれません。

・HDMI接続による外部画面出力は便利
Android搭載製品ではハイエンドモデルやゲーミングモデルを中心にUSB Type-C端子からHDMI接続でディスプレイなどに接続する機能を有しているものは少なくありませんが、ケーブルが付属しているのは「気軽に試せる」強みがあっていいです。後からオプションでケーブルを買ってもらうよりも導入のハードルはグっと低くなります。

○Cosmo Communicator(with HDMI)の気になった点
・快適な日本語文章入力のために設定が必要
日本語キーボードを搭載している本機ですが、初期状態でのIME(文字入力アプリ)は「Planetキーボード」と呼ばれるメーカーオリジナルのものがプリセットされています。

これが「英文字入力」と「かな文字入力」になっていてローマ字入力での入力を行うためには別途、アプリ配信マーケット「Google Playストア」から「Google日本語入力」を導入して設定する必要があるなどのひと手間が発生します。

設定さえしてしまえば、後は問題にならないのですが、この辺りの設定に詳しくない人が手を出すと躓いてしまいそうに感じました。なお、Google日本語入力を設定したあとは「Ctrlキーを押しながらShiftキーを押す」とアルファベット入力とローマ字入力が切り替え可能です。

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本機でローマ字入力でキーボードを使いたい場合はGoogle日本語入力アプリはほぼ必須と思っていいです。(なぜプリインストールしていないのか)


なお、メジャーな日本語入力アプリの「ATOK」(買い切り版で確認)や「Gboard」では、Cosomo Communicatorにおいては「かな文字入力」と「ローマ入力」の切り替えとなり、アルファベット入力ができず、かなり致命的となるのでオススメできません。

これはAndroidにおけるキーボード切り替えキーである「惑星のマーク(?)」がCosomo Communicatorのキーボードに実装されていないことが原因(タッチパネル入力のみの場合はキーボード切り替えマークが表示されるのですが、ハードウェアキーボード接続時は表示されない)であると考えられます。(Google日本語入力は「Ctrl+Shift」がこのマークのショートカットに設定されているため)
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余談ですが、Unihertz Titanはハードキーボード使用時でも画面内にキーボード切り替えマークが常時表示されています


・日本語化されていないプリインストールアプリや設定項目が多数存在する
プリインストールアプリや本機独自の設定項目を中心に日本語化されていないものがいくつか見受けられました。それほど難しい単語などは出てきませんし、アプリの利用については日本語での入力なども問題なく動作できるのですが、プリインストールのアプリやAndroidの設定などについては「海外モデルのスマホの表示設定で日本語を選んだ状態」くらいの認識でいた方がいいかもしれません。

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プリインストールされているアプリや本体設定には完全に英語なものも

これらの気になった点については、ソフトウェア面でのものなので、今後のアップデートなどで解消される可能性もあるので、この辺りは要望などをメーカーやサポートに発信していてもいいかもしれません。

【こんな使い方を提案してみる】

Blackberry系のストレート型スマホとは異なり、かなり本格的なキーボードを搭載している本機ですが、このキーボードを活用できそうな用途をちょっと提案してみたいと思います。

・ブログマシンとして
短いメッセージでなく、長文の入力することが多いブログの更新・投稿用に本機を使うのは個人的にいち押ししたい使い方です。ブログの記事内で使いたいと思ったシーンの写真を撮ったその場で利用できるのは便利かと思います。

・メモ的なテキスト入力マシンとして
キングジムのデジタルメモ製品「ポメラ」シリーズのようなメモを取る用途にも使うというのはどうでしょう。キーピッチや配列などの面では及ばない部分もあるものの、Android端末であることを活かし、使い慣れたプリインストールのメモ入力アプリ「Notes」以外にもGoogleのメモ入力アプリ「Google Keep」や 「Microsoft OneNote」、「Evernote」など使い慣れたアプリを選んで使えるというのはアドバンテージになりうると思います。

【まとめ】

およそ半年前に発売された製品が手軽に持ち歩けるキーボード搭載のネットワークデバイスとしては十分に期待に応えられるマシンであり、一般的なスマホと違ってどっしりと腰を据えてキーボードでの長文作成などを行うにはもってこいだと思います。

今回のHDMIケーブル同梱での再発売も活用と利用シーンの幅を広げるという点で見れば個人的にはアリだと思います。もちろん、筆者はキーボード搭載製品が個人的に好きという贔屓目もありますが……。

どちらかと言えば「誰にでも勧められる」ものではなく、文章入力も立ったままというよりは座ってじっくりと使うというタイプの製品であり、「使い方と利用シーンが合う人には思いっきり刺さる」というものではないかと思います。

一方で、前述の日本語の文字入力の設定が済んでしまえば、ビジネス用途にも活用可能な「PCとスマホの間を埋める絶妙な立ち位置の製品」として活躍できる可能性も秘めていると思います。

こういったQWERTYキーボード搭載の変わり種の端末はガジェット好きな人たちはすでに(クラウドファンディングに登場した際の出資とそのリワードなどで)押さえていると思いますが、コミュニケーションツールとして「新しく使ってみたい!」という興味やビジネス用途で是非試してみたいという方面でも魅力のある端末でもあると思います。





記事執筆:河童丸


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