専用スタイラスペンの機能が大幅に向上した「GALAXY Note 3」――各社がペン対応大画面スマホを投入へ

Samsungのペン入力に対応した大画面スマートフォン「GALAXY Note 3」が日本でも昨日10月17日(木)に発売された。同社の「GALAXY Noteシリーズ」はこれまで国内では、NTTドコモからのみ販売されていたが、今回は、au by KDDIを加えた2キャリアが取り扱うことになり、大画面スマートフォン=ファブレットが日本でも今後メジャーな製品の仲間入りを果たすかもしれない。

今回は、世界市場でこのGALAXY Noteシリーズを追いかけ、追い抜こうとして韓国や中国のメーカーを中心として続々と投入されているペン対応ファブレット(スマートフォンとタブレットの中間サイズで大きなスマートフォンとも言える製品)について紹介していく。

GALAXY Note 3は、5.7インチフルHD(1080×1920ドット)という大きなディスプレイを搭載した製品だが、最大の特徴は本体に収納できる専用のスタイラスペン「Sペン」を利用できることである。

日本ではスマートフォンを片手持ちし快適に片手入力できる「フリック入力」が普及しているため、ペンによる手書き入力の需要は多くないと考えられるかもしれない。だが、GALAXY Note 3のペンは入力だけではなく、特定のアプリを呼び出したり画面のスクリーンショットを手軽に撮れるなど、ペンを越えた機能を備えている。

また、走り書きしたメモの手書き入力を即座に文字認識して電話をかけたり検索を行える「Action Memo(アクションメモ)」など、ペン利用ならではのアプリも多数搭載している。

初代GALAXY Noteが登場した2012年前半はまだスマートフォンの画面は5インチ以下が主流だったが、2013年後半を迎えた最近では5インチが各社のフラッグシップモデルの標準サイズとなり、6インチ台の製品も増えている。

日本ではまだ6インチを超えるモデルは出てきていないが、グローバル市場では6インチ前後の製品が今年になってから立て続けに登場している。しかもGALAXY Note同様にペン利用を可能にしたモデルも増えているのだ。
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Pantechが韓国で発表した「Vega Secret Note」はGALAXY Note 3への対抗製品だ

例えば、Pantech(パンテック)が韓国で10月10日に発表したばかりの「Vega Secret Note」は、5.9インチフルHDディスプレイ、Snapdragon 800を搭載しCPUは2.26GHzクアッドコア、3GBのRAM、1300万画素カメラ、3200mAhバッテリー搭載とスペック面で真っ向からGALAXY Note 3と対抗する製品。

本体には「Vペン」と呼ばれるスタイラスペンを内蔵可能。このVペンを利用して画面キャプチャを取ったり手書きメモを書いたり、また、コンサートなどで利用できるネオンサインを簡単に作れるアプリも内蔵しているとのこと。

さらにはVペンの頭の部分を折り曲げることでVega Secret Note本体のスタンドとして使うこともできる工夫がされている。Pantechは、2013年2月に業界初の5.9インチモデル「Vega No.6」を発売している。この冬にはより大画面の後継モデルが出ると見られていたが、画面の大型化ではなくペン対応させたモデルを出してきたということはファブレットでのペン利用需要がそれだけ多いということなのだろう。

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Sonyの「Xperia Z Ultra」はスタイリッシュなデザインの6.4インチモデル。鉛筆を使うことができる

また、Sony(ソニー)がこの冬最も注力する製品は国内でもドコモとauから発売予定の2070万画素カメラを搭載したフラッグシップモデル「Xperia Z1」だが、8月から発売をはじめている「Xperia Z Ultra」にも海外では人気が集まっている。

Xperia Z Ultraのディスプレイサイズは6.4インチと他社のファブレットよりワンランク以上も大きい。ところが本体の厚みはわずか6.5ミリ、ディスプレイサイズアップによる本体サイズの大型化を意識させないスリムな形状に仕上げられている。そしてXperia Z Ultraにはペンは付属しないものの、市販されている一般的な鉛筆やペンを使っての手書きや操作が可能だ。ペンは使いたいものの専用品ではなくしてしまったときに困ってしまう、あるいは普段使っている筆記具をそのまま使いたい、などと考えている消費者の声をうまく拾い上げた機能なのだろう。

これら最近のファブレットが相次いでペン利用を可能にしている理由はどこにあるのだろうか?SamsungのGALAXY Note III開発関係者に話を聞いたところ、2012年秋に発売したGALAXY Note II購入者が製品を選んだ理由として「画面サイズが大きい」という回答が約半数だったとのこと。一方「ペンが使えるから」と答えた購入者の割合は20%であったという。

この結果を聞くとまだまだファブレットにペンを求める消費者の声は少ないように感じられるかもしれない。だが、GALAXY Note IIの購入者が購入後に最もよく使う固有機能はSノート、すなわち付属のSペンで自在に書き込めるノートアプリで、実に7割もの利用者が使用しているとのことだ。これはGALAXY Note IIの機能の中で最も利用されているという。

また、Sペンを本体から抜いてすぐにメモ書きできるPopUPノートも6割以上の購入者が使っているとのこと。すなわちペン利用できるファブレットの利用者の多くがペンを日常的に使うようになっており、今後、ペンの利便性が広まればファブレットの選択理由に「ペンの存在」を挙げる消費者の数が増えていくと考えられる。

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Samsungのペンのない大画面モデル「GALAXY Megaシリーズ」

SamsungはGALAXY Note 3のハードウェアスペックをフラッグシップモデルクラスまで高めたが、これはハイパフォーマンスなファブレットをめざしたのではなく、ペンに複合機能を持たせそれら機能をストレス無く使えるようにするため、高速なCPUや大容量メモリを搭載させている。GALAXY Note 3は「ペン利用に特化した」と思えるほど、付属のSペンに多数の機能を割り当て操作性を高めたり便利な使い方を提供しているのである。もちろん大画面だけが欲しい、ペンは不要、と考える消費者も多いだろう。Samsungはそれら消費者には6.3インチと5.8インチの「GALAXY Megaシリーズ」を提供しており、GALAXY Noteシリーズと差別化を図っている。

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ASUSの「Fonepad Note FHD6」

さらには、スマートフォン市場で苦戦するPCメーカーや中手メーカーが他社と差別化するためにペン対応ファブレットを相次いで投入している。ASUSは7インチ以上のタブレットではGoogle向けの「Nexusシリーズ」などで一定の成功を収めているが、スマートフォンはぱっとしない。

とはいえ、特徴のないファブレットではSamsungや中国の中小メーカーにもスマートフォン同様負けてしまうだろう。ということで、6月に台湾で開催されたイベント「COMPUTEX 2013」で6インチのペン利用可能な「Fonepad Note FHD6」を発表。

まだ対抗製品が少なくこれから伸びが期待できる「ペンファブレット」で勝負をかけようとしている。他には低価格スマートフォンの投入でシェアをここ数年一気に拡大しているAlcatel/TCLも、6インチでペンが利用できる「OneTouch Scribe Pro」をこの夏発表したばかりだ。

スマートフォンとタブレットの合計販売数の中に占める、ペン利用可能なファブレットの数はまだまだ少数だろう。だがメーカーの参入が相次ぎ新製品が続々と登場している状況を見ると、将来はファブレットとは別の「ペンファブレット」というカテゴリを形成するくらいの大きな勢力になるだろう。

もしかするとスマートフォンと連携できる、ノートに徹したペン利用可能なアクセサリといったものも登場してくるかもしれない。いずれにせよペンファブレットが市場で一定の地位を得るためには、ペンそのものがより使いやすくなっていくことが必要だ。今後各社から出てくるペンファブレットが、どのようなペン機能やUIを搭載してくるか楽しみにしたい。

記事執筆:山根康宏


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