既報通り、ケイ・オプティコムは31日、都内にて発表会を開催し、同社がNTTドコモやauから回線を借り入れて仮想移動体通信事業者(MVNO)として提供している携帯電話サービス「mineo(マイネオ)」( https://mineo.jp )においてサービス2周年を記念したキャンペーンや新サービスを発表しました。
NTTドコモなどの大手携帯電話会社(以下、キャリア)の料金施策が各社横並びとなり、事実上市場競争が停滞化したことや他社から乗り換え(MNP)に絡むキャッシュバックなどの不透明性から、総務省より通話・通信料金の引き下げを要請されるなど、キャリアへの風当たりは強くなる一方ですが、その反動として料金の安いMVNOの利用が消費者の間に広がっています。
ケイ・オプティコムが行っているmineoもMVNOサービスの1つ。KDDI回線を用いた事業から始まり、現在ではNTTドコモ回線でもサービスを展開しています。サービス開始以来非常に好調に加入者数を伸ばしている同社の魅力とは一体何でしょうか。今回は発表会の内容とともに解説してみたいと思います。
なお、新サービスやキャンペーンの詳細、取扱店舗の状況などについてはすでに公開されているこちらの記事もご参照ください。
「新たなライバルの登場が追い風になる」。ケイ・オプティコムのモバイル事業戦略グループのグループマネージャーを務める津田氏は登壇直後にそう切り出しました。
前述したようにキャリアの寡占状態から始まる料金施策の停滞は消費者のMVNOによるサービス利用を促す形となり、それに伴ってMVNOも増えつつあります。ここで津田氏が挙げたライバルとはSNSで有名なLINEであり、同社は今年3月に今夏にもMVNOへ参入することを発表しています。
「LINEのようなブランド力を持つ企業がMVNOに参入したことで、MVNOの認知度が一気に上がった。一般消費者の方々にMVNOを知ってもらう良いきっかけになる。」と説明した同氏。強力なブランド力と認知度を持つライバルの出現に危機感を持つどころかチャンスとばかりに語気を強めます。
その自信を裏付けるようにmineoの契約者は順調に増加しており、2015年5月時点で7万件であった契約数は2016年5月には30万件に達しています。また今年度の目標契約件数も20万増から30万増に上方修正するなど、市場の状況が追い風になっている様子が伺えます。
mineoの強みの1つがマルチキャリア対応です。多くのMVNOがNTTドコモ回線もしくはau回線のみのMVNOであるのに対し、mineoでは2015年9月よりNTTドコモ回線でのMVNOも開始。auとNTTドコモの回線を選べるようになったことで、エリア(繋がりやすさ)の問題やSIMロック解除の煩わしさなどから消費者が解放され、より気軽にMVNOを選択できるようになりました。
契約数の増加とともに見逃せないのはユーザー層の拡がりです。女性ユーザーの割合や音声サービス付きプランの契約割合などをグラフで示し、その増加傾向を解説。より一般的なサービス品質や利用用途を求める傾向が強まり、新しいサービスや技術に真っ先に飛びつくいわゆるイノベーター層やアーリーアダプター層から、徐々に流行に敏感なアーリーマジョリティー層へと顧客層が変遷しつつあるのが分かります。
これらの契約数の増加や一般層への浸透を支えているのは料金プランやマルチキャリア施策だけではありません。mineoでは「Fun with Fans!」を合言葉にユーザーコミュニティーの醸成に注力しています。
ユーザーを単なるmineoの契約者として扱うのではなく、1つのコミュニティーの「仲間」として考え、MVNOとともにより良いモバイルシーンを創っていくことがmineoの考えるMVNOの在り方であり、そのためのコミュニティーサイト「マイネ王」の開設やスマホ相談会などのリアルイベントを定期的に開催することによって「ユーザーと共にキャリアを育てていく」ことを強調しています。
「MVNOとしてもユーザーコミュニティーによって助けられている部分は多い」と津田氏は語ります。
例えば、iPhoneなどのSIMカードの対応状況などはOSバージョンの細かな差異や製品バリエーションの増加に伴い、比較的規模の小さなMVNOではすべてを社内で確認することが難しくなっています。
こういった細かな情報をマイネ王でユーザーから募り、集約することでデータベースを作成。情報の不確定さといった懸念材料もあるものの、MVNOを検討する上で最も気になる「自分のスマホはそのまま使えるのか」といった消費者の不安の払拭に一役買っています。
ユーザーコミュニティーを最も活用しているサービスと言えば他に類を見ない「フリータンク」があります。mineoではユーザー同士でパケットをシェアし、その月のパケットが余った人がタンクに「補充」し、足りない人が「引き出す」というサービスです。
「サービス開始前や開始当初は引き出しが多くサービスが機能しないのではないかと不安なことも多かった」と津田氏は説明。しかし、実際に運用してみると「『助け合いの精神』がコミュニティーに生まれ、現在までは非常に順調にサービスが運用できている」と語ります。
今回発表された高品質で安定した通信帯域を確保できる「プレミアムコース」についても実際のサービス開始に先駆け、マイネ王で2回に渡ってトライアルユーザーを募集し意見や要望を集約する予定です。なお、すでに第1回については6月13日まで募集中となっています。
ユーザーによる携帯電話サービスの評価を敢えて公開していこうという試みもmineoらしいチャレンジ精神です。「当初はどんなひどい評価をもらうか分からなかったが、ユーザーの正直な声こそが大事」だと津田氏は語り、そこで得られた評価に対しても「これに満足せずさらに上をめざしたい」と意気込みを見せていました。
MVNOが追い風を感じ、上昇気運の中で着々と事業を拡大していく中、敢えて一足飛びなサービスではなく地道なコミュニティー形成やユーザーエクスペリエンスに注力するmineo。今回発表されたプレミアコースや通話パックプランの導入などは、まさにコミュニティーからの要望によって生まれたものと言っても過言ではないでしょう。
発表会後の会見ではスマートフォンなどの取り扱い製品の種類の少なさなどにも言及し、「大手キャリアが発表した新製品の人気が高く解約されることもある。端末の魅力がまだまだ薄いので今後力を入れたいところ」とし、ひとまずは「新端末については秋ごろをめどに投入を調整している」と語っていました。
また直営店の少なさなどについてもこれまでの大阪に加えて新たに東京・渋谷に出展することを発表した上で「現状より直営店を増やしても採算は取れるが当然コストは掛かるので状況を見ながら」と語るなど、今後契約数を伸ばしていく上での課題を挙げる場面も。
まだまだ「安かろう悪かろう」の代名詞的な存在として認知されているMVNOですが、mineoが目指すのは「Fun with Fans!」の合言葉の通り、ファンとともに楽しみながら創り育てていくサービスであり、キャリアにはできないサービスやコミュニティーの提供です。
MVNOがどこまで充実したサービスと品質を提供できるのか。その限界に挑む姿が印象的な発表会でした。
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