スマホのカーナビアプリを本格的に使い倒す

スマートフォンにおいて地図の表示や道案内はポピュラーな利用法といえます。最近ではアプリの機能が豊富になり、カーナビに特化したアプリも登場してきています。スマホのカーナビアプリが機能豊富になれば、自動車に搭載される専用カーナビの存在意義が危うくなってきます。特に車に装備されているカーナビが古くなっている場合、カーナビを買い換える替わりに手元のスマホで済ませてしまいたいという思いがわいてきます。

そこで、今回の連載「スマホのちょっと深いとこ」では、無料で利用できるカーナビ専用アプリとして話題となった「Yahoo!カーナビ」を、高速道路を含む往復4時間の経路で実際に使用して、専用カーナビに対する利点や欠点を探りました。

【今回の検証条件】

今回の検証に使用する車は筆者の自車であるレガシィツーリングワゴン(2004年購入)。メーカーオプションのカーナビが装着されていますが、10年以上前のカーナビはそれ自身も内蔵する地図データも古さが否めません。

navi_001
今回の検証に使用するレガシィツーリングワゴン

今回使用するスマホのカーナビアプリは「Yahoo!カーナビ」です。このアプリをXperia Z(SO-02E、Android 4.4.2)にインストールして、市販のホルダーでダッシュボードに固定して使用します。電源不足を補うため、今回はモバイルバッテリー(NTTドコモ ポケットチャージャー02、5000mAh)を接続します。

navi_002
専用カーナビの画面の上にスマホを設置して2画面になった様子
navi_003
電源を補うモバイルバッテリー

経路は札幌~洞爺、一般道と高速道を取り混ぜた片道2時間、往復で4時間程度の経路です。

navi_004
今回の経路(写真は帰路の洞爺→札幌)

なお今回訪れたのは洞爺湖温泉の「ザ レイクビュー TOYA 乃の風リゾート」。洞爺湖の絶景、温泉や料理などが売りで、2012年10月にオープンした比較的新しいリゾートホテルです。人気の高いホテルなので、ご予約はお早めに。

navi_005
落ち着いた雰囲気のロビー
navi_006
ホテルの建物内から洞爺湖を一望できる

【スマホカーナビの最大の利点は「新しさ」】

今回は札幌市内の自宅と洞爺湖温泉の間をYahoo!カーナビの指示どおりに走行しました。ナビは適切に行われ、往復とも道に迷うことなく運転することが可能でした。大まかな使い勝手としては十分な実用性を備えているといえます。

特に専用カーナビと比較して以下のような利点を感じました。

利点1:データが新しい

スマホのカーナビアプリは、ネットワークから常に最新のデータを取得することができます。今回訪れたホテルは2012年オープンのため、2004年に購入したカーナビでは検索することができず、位置を手動で設定することになります。それに対してYahoo!カーナビではホテル名で直接目的地を設定することができました。

navi_007
常に最新情報で目的地を検索できる(写真=左)。ホテルの情報まで確認できる(写真=右)

またホテルに近い高速道路のインターチェンジ(虻田洞爺湖IC)は2007年に位置が変更されているため、2004年より新しいデータがない専用カーナビでは古い位置が案内される一方で、Yahoo!カーナビでは最新情報にもとづいてナビが行われました。古いカーナビを使っている人にとって古い地図データによる現状との食い違いは常に経験するところで、常に最新情報が反映されるスマホのカーナビアプリがうらやましいところでしょう。

navi_008
スマホカーナビは地図の更新に素早く対応(写真は2007年に行われた虻田洞爺湖IC移設の様子

利点2:画面がきれい、動作が速い

今回使用したSO-02Eは2年前の機種ですが、それでも2004年の専用カーナビよりはるかに新型と言えます。そのため画面の美しさは専用カーナビを凌駕し、操作感もなめらかです。ちなみに専用カーナビにもタッチ機能がついていますが、スマホのようにフリックやピンチの操作は行えず、操作感の古さは否めません。

navi_009
スマホカーナビ(写真=上)と古い専用カーナビ(写真=下)の画面。専用カーナビは文字フォントやアイコンの粗さに時代を感じる

もちろん専用カーナビも新製品であれば、スマホカーナビに負けない画面や使い勝手が得られるかもしれません。しかし一般にスマホの機種変更サイクルがカーナビの買い替えサイクルよりはるかに短いことを考えれば、スマホカーナビのほうがより最新の状態を維持しやすいといえます。

【スマホカーナビが専用機に及ばない点も】

一方で以下のような欠点も感じました。

欠点1:位置情報が頼りない

スマホのカーナビアプリはスマホが持っているGPSなどの位置情報機能が利用できることが動作の前提となるため、GPSの精度が悪い環境では使い勝手が低下します。専用カーナビは現在速度などの情報を車から受け取ることで、GPSが使えない環境でも大まかな位置情報を割り出して動作します。

今回の場合、(GPSが機能しない)トンネルから出てすぐに交差点やインターチェンジが存在する場合に、カーナビアプリの道案内が遅れてしまう事象が観測されました。今回でいえば虻田洞爺湖ICの出口がトンネルから300mほどしかなく、うっかり高速を降りそこなう可能性がありました。不便を通り越して危険ですらあるので、このような状況の場合は例えばトンネルに入る前の段階で警告するなど、アプリの機能として工夫を検討してほしいところです。

navi_010
虻田洞爺湖ICはトンネルを出てから300mくらいしかないためYahoo!カーナビの案内がギリギリのタイミングに

今回はトンネル以外で問題になりませんでしたが、たとえば都市部で空が開けていない環境でも、スマホのカーナビアプリは問題を起こす可能性があるでしょう。

欠点2:交通情報の反映が遅れる場合も

Yahoo!カーナビではYahoo JAPAN IDでログインすることにより道路交通情報(VICS)を利用することができますが、今回の検証では高速道路において突発的に発生した故障車発生の情報がYahoo! カーナビに反映しきらないまま現場を通過するということがありました。(車の専用カーナビには現場通過前に情報通知されていました)。

専用カーナビでは高速道路上に設置されたビーコンから発信されている情報を受信することでリアルタイム性の高い情報提供を実現しています。このあたりはスマホのカーナビアプリがまだまだ及ばないところといえるでしょう。

navi_011
専用カーナビは道路上のビーコンから情報を受信できる(写真は車に設置するビーコンアンテナ)

【スマホのカーナビアプリの利点・欠点、限界をよく知って使おう】

今回スマホのカーナビアプリを使用してみて、予想以上に実用的に使えると感じました。特にインターネット上の最新情報を常に使えることは非常に心強いです。しかしながら位置精度や交通情報提供において専用カーナビに及ばない面も確実に存在します。利用者がスマホカーナビの利点や欠点、限界を知って正しく使えば、スマホカーナビはあなたのよきドライブパートナーになることでしょう。

なおスマホをカーナビとして使うときには、器具を使ってきちんとダッシュボードに固定することと、電源をしっかり確保することを忘れずに。今回は汎用のスマホホルダーとモバイルバッテリーを使いましたが、長時間のドライブではシガーライターソケットから給電するUSB充電器を検討したほうがよいかもしれません。


■関連リンク
エスマックス(S-MAX)
エスマックス(S-MAX) smaxjp on Twitter
S-MAX - Facebookページ
ヤフー、VICS対応のスマホ向け無料カーナビアプリ「Yahoo!カーナビ」を提供開始!AndroidおよびiOS搭載機種で利用可能 - S-MAX
連載『吉川英一の「スマホのちょっと深いとこ」』記事一覧 - S-MAX
今日の気分はバリいくつ?