葛野川ダムにおける地震発生後の1次点検では作業員が必ず現場へ出向く必要があり、管轄事務所からダムへの移動経路は道路の陥没や落石などにより安全状況が不明で人命に関わるリスクが非常に高いことに加え、ダムでも一定時間内に全ての点検箇所を目視確認して報告をしなければならないなど、有事においてダムの健全性を迅速に把握することが困難となっています。

また迅速な状況把握のためにドローンなどの活用が期待されていましたが、ダム外部からの通信回線の新規引込みが困難など多くの課題があり、通信環境の改善がなかなか進んでいませんでした。一方、KDDIは通信不感エリアに「Satellite Mobile Link」を設置することによって携帯電話による音声通話やデータ通信の利用、現場の作業員への遠隔支援や緊急時の連絡などに加え、ドローンやロボットを活用した遠隔でのインフラ点検やメンテナンスなどを実現可能にする取り組みを行っています。


今回、KDDIが葛野川ダムの水門上部にStarlinkと4G LTEアンテナを一体にした架台型のSatellite Mobile Linkを設置したことによって最小限の設備でダムの堤体から調整池上流部約2Kmの範囲まで通信環境を構築し、緊急通報を含めた音声電話やデータ通信が可能となりました。これにより、現場の状況を遠隔で確認することに加え、作業支援や緊急対応時の関係者との迅速な連絡などのICT活用を進めることが可能となったということです。

またSatellite Mobile Linkの4G LTE活用によってさらに自律飛行型ドローンがダム堤体から半径約2Km圏内の状況確認を遠隔かつ自動で行うことが可能になったとのこと。これにより、ダムにおける点検業務の省人化・効率化が進むとともに現場へ向かう道路の陥没・落石などによる人身災害のリスクを低減することが可能となります。




実証実験ではAI搭載自律飛行ドローンのSkydio X10と自動充電ポート付ドローンのG6.0 & NESTという2種類の機体を使用し、G6.0 & NESTは飛行から充電までを全て自動で行い、4G LTE通信回線によるインターネット接続を実現することによって遠隔地から飛行実行や現地の映像をリアルタイムに確認できるほか、ドローンで撮影された映像・写真をクラウドに格納することによってドローンを操作することなくデータを取得します。









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