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ロンドンで開催されたGALAXY S IIIの発表会!

サムスン電子の最新スマートフォン「GALAXY S III」が発表された。ロンドンで行われた新製品発表会「Samsung Mobile Unpacked 2012」では世界中のメディア数百人を前に、同社のモバイル部門プレジデント兼ヘッドのJK Shin氏がGALAXY S IIIのセールスポイントを熱弁した。その内容はこれまでのGALAXYシリーズの発表会とは大きく異なるものだった。

サムスン電子のスマートフォンにおけるフラッグシップモデルは、高速なCPU、大型で明るい有機ELディスプレイ、高画質なカメラなど、業界でも最高スペックの機能を搭載して登場し、新製品発表会では常にそれらのハードウェア性能が大きくアピールされてきた。

今回のGALAXY S IIIも4.8インチの大型ディスプレイや2100mAhの長時間駆動可能な大容量バッテリー、1.4GHzクアッドコアCPU搭載など、ハードウェア面での注目すべき点は多い。

しかし、今回の発表会でJK Shin氏がポイントとして語ったのはハードウェアの優位性ではなかった。

■ プレゼンではコンセプトとソフトウェアの魅力を強調
冒頭でこそディスプレイやカメラ画質のスペックに触れたものの、それはあくまでも製品の特徴の一部に過ぎない。GALAXY S IIIのセールスポイントとして同氏が強調したのは「生活を一変させるほど、使いやすく便利なスマートフォン」というコンセプトとソフトウェアだ。

GALAXY S IIIは、利用者が何をしたいのかを確認し(See You)、何を求めているかを把握し(Listen You)、そして何を考えているかを理解する(Understand You)製品であるという。

GALAXY S IIIには、そのための新しいソフトウェアが多数搭載されており、発表会ではこのソフトの説明に大きな時間が割かれたのだ。

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GALAXY S IIIの3つのポイントを説明するJK Shinプレジデント


例えば、「Smart Stay」機能は利用者がディスプレイを見ているかどうかをフロントカメラが確認して、目をそらしている時間が設定時間以上になると自動的にディスプレイをスリープモードに切り替える。GALAXY S IIIのフロントカメラは、1.9メガピクセルで720pのHD動画が撮れるほどの高画質だが、画質の高さを利用者の視線認識に利用しているわけだ。

また、カメラで撮影した人物が端末内のコンタクトリストに保存されている人と同一である場合に、写真上に電話番号やFacebookなどのSNS(ソーシャルネットワークサービス)のアカウントも表示される。この「Social Tab」機能は8メガピクセルの高画質カメラと高速なCPUの組み合わせによって実現されたものだ。

この他にも、SMSなどのメッセージを表示している状態から端末を耳に当てるとそのまま電話番号に発信する「Direct Call」には、距離センサーやモーションセンサーが活用されている。同様にモーションセンサーを使った「Smart Alert」は端末をポケットに入れた状態で通話やメール着信があった場合、端末を手に取った瞬間にバイブレーションで知らせてくれる。

このようにGALAXY S IIIは、一歩進んだユーザビリティを実現するために搭載されているハードウェアを最大限に活用するソフトウェアを多数搭載することで、より使いやすいスマートフォンとして大きく進化しているのである。


■ 自然をイメージすることで大きさを感じさせないデザインを採用
ソフトウェアによるユーザービリティを大幅に向上した一方で、4.8インチとスマートフォンとしては最大級のサイズのディスプレイを搭載したGALAXY S IIIの本体サイズは大型化している。

しかしながら、実際に手に持ってみるとスペックほどの大きさは感じられなかった。JK Shin氏によるとGALAXY S IIIは本体やUIデザインに自然のイメージを取り込んでおり、形状や色合いが人間の使う道具として馴染むように設計されているのだという。

GALAXY S IIIの丸みを帯びた本体の外周や、側面からゆるやかに背面へとつながるエッジ部分は確かに持ちやすく、十分にスリムな8.6mmという厚みをさらに薄く感じさせてくれるようだ。「大きいディスプレイの搭載」と「本体のスリム化」という相反する要求を解決するために、その答えを大胆にも自然界に求めたのは実は理に適った結果なのかもしれない。

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実際に手に持ってみると思ったほど大きさを感じさせない



■ スマホのスペックは格段に向上!日本でも夏以降に発売予定
今年に入って各社のスマートフォンのフラッグシップモデルはハードウェアスペックが格段に向上しており、一昔前のPCと並ぶほどの性能を持つほどになっている。

だがWebで情報を調べ、FacebookやTwitterでコミュニケーションを取るような一般的な消費者がハイスペックで高価格な製品に飛びつくとは限らない。今後は、むしろ普通に使えて、購入しやすい価格の製品に人気は集まるだろう。スペックの数値で製品の魅力を消費者に伝えるのは難しくなりつつあるのだ。

GALAXY S IIIは、これまでの高性能なハードウェアを表に出すのではなく、総合的な使い勝手に注目してユーザーの操作支援という新しい価値感を最大の特徴としてアピールしている。発表会では「Designed for Humans」という言葉も使われていた通り、GALAXY S IIIは、まさしく「消費者が使うこと」を第一に考え、ハードの進化とソフトの進化を最大限に融合させた新しい製品と言えるだろう。

海外では5月末から、そして日本でも夏以降に発売される予定とのことで、大いに期待して待ちたいものだ。

記事執筆:山根康宏


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