GALAXY S5なら866MbpsでWi-Fiを活用できる

より高速化したWi-Fi(無線LAN)の新規格「IEEE802.11ac」(以下、802.11ac)。2014年1月に正式版となってからアクセスポイントと端末の双方で対応が進み、携帯電話各社が発表している2014年夏モデルにおいてもほとんどの機種が対応しています。

802.11acは最大通信速度1.3Gbpsを実現しますが、実際の通信速度は機種によって異なります。現状のスマートフォンでは最大433Mbpsになることが多いですが、NTTドコモとauが提供しているサムスン電子の「GALAXY S5」はこれを上回る866Mbpsというスペックを持っています。今回の連載「スマホのちょっと深いとこ」ではGALAXY S5を例に802.11ac Wi-Fiの速度について紹介します(なお本記事で使用しているGALAXY S5はau版の「GALAXY S5 SCL23」です)。

【Wi-Fiの通信速度を規定する「規格」「周波数幅」「アンテナ数」】

Wi-Fiの理論上の通信速度(*1)は、ざっくり言ってしまえば以下3点により決定されます。

1) 規格
2) 周波数幅
3) アンテナ数

1) の規格は802.11nや802.11acなどが存在し、現状のWi-Fi規格の中では802.11acが最も高速です。また同じ規格においても、通信に使用する周波数幅が大きいほど速度が速くなります(*2)。さらに3) のアンテナ数を増やすことにより、通信速度を増加させることができます。アンテナの数だけ通信経路を確保できることになるため(*3)、理論上アンテナが2本あれば通信速度は2倍になります。

*1: いわゆる「リンク速度」のことを指しています。

*2:一般に用いられる周波数幅は802.11nで20MHzか40MHz、802.11acで20、40、80MHzのいずれかです。

*3:「MIMO」(Multiple Input Multiple Output)と呼ばれる技術を用います。

このあたりの話題は本連載の以下記事でも紹介しておりますのでご参照ください。

300Mbps対応のWi-Fiに300Mbpsではつながらない?意外と知られていないスマートフォンWi-Fi接続の「本当の速度」【吉川英一の「スマホのちょっと深いとこ」】

【スマートフォンの多くはアンテナが1本、GALAXY S5は2本】

本記事では規格:802.11ac、周波数幅:80MHzの条件を考えます。この場合アンテナが1本の場合最大通信速度は433Mbpsですが、2本になると2倍の866Mbps(*4)、3本では3倍の1.3Gbpsとなります。

*4:端数処理の方法により867Mbpsと表記される場合もあります。

sgs5_wifi_001
アンテナが増えると通信速度が増加していく

つまり同じ「802.11ac対応」をうたっていても、アンテナが1本の機種と2本の機種では通信速度に大きな差が発生することになります。従来のスマートフォンやタブレットではアンテナを1本しか備えないため802.11acの最大速度が433Mbpsにとどまる場合が多かったのですが、GALAXY S5はアンテナを2つ備えるため、同じ802.11acでも最大通信速度は866Mbpsになります

sgs5_wifi_002
802.11ac対応のNexus 5において433Mbpsになる条件(写真=右)で、GALAXY S5では866Mbpsと表示される(写真=左)

なお、最大通信速度はWi-Fiアクセスポイントにも影響されます。GALAXY S5であってもWi-Fiアクセスポイントが433Mbpsまでしか対応しない(=アンテナが1本の)場合、最大通信速度は433Mbpsに制限されます。

【「802.11ac対応」の内容もしっかりチェックしよう】

今後登場するスマートフォンやタブレットはほぼ例外なく「802.11ac対応」になることが見込まれますが、実際の通信速度はアンテナの数によって異なります。カタログを読むときには単純に対応/非対応をチェックするだけではなく、アンテナの数や最大速度にも注目するとよいのではないでしょうか。


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