フレームレスデザインで大画面をコンパクトに!

既報の通り、ソフトバンクモバイルは18日、ソフトバンクグループとして戦略的な製品や新サービスを披露する「新商品発表会」を都内で開催し、Android 4.4(開発コード名:KitKat)を搭載したスマートフォン「AQUOS CRYSTAL 305SH」(シャープ製)を発表しました。発売日は2014年8月29日(金)を予定しており、本日8月19日(火)より事前予約開始となっています。

スマートフォンの高性能化や高機能化に伴い、すでに一般利用においてはエントリーモデルであっても不満を感じないレベルとなって久しいですが、一方で製品の差別化に苦しんでいるのがメーカーです。

ここ数年でケータイ(フィーチャーフォン)やスマートフォンのメーカーや機種数は激減の一途を辿っており、その流れを受けるようにして今年5月、ソフトバンクグループ代表の孫正義氏は今後は従来のような携帯電話を一斉に披露するような"新製品発表会"を行わないという趣旨の発言を行っていました。

しかしながら、その発言から3ヶ月あまりで発表会を開催することとなり、業界内外からもどのような端末が発表されるのか注目が集まっていました。

今回、その注目の発表会にて投入された新機種を発表会後のタッチ&トライコーナーで触れることができましたので、写真とともに紹介したいと思います。

AQUOS CRYSTAL 305SHは日本におけるソフトバンクモバイルと米国(アメリカ)におけるスプリントによる共同開発・調達という形で生まれたスマートフォンです。実際に開発を行ったシャープによれば、海外市場と開発ラインや部品などを共有することによるコストダウンや市場競争力の向上を謳っており、グローバルメリットに重点を置いた製品となります。

そのため、製品仕様も海外市場を意識したものとなっており、HD解像度(720×1280ドット)の液晶ディスプレイや800万画素のカメラ、クアッドコアですが駆動周波数が1.2GHzと低めのCPU(Qualcomm製Snapdragon 400内蔵「MSM8926」)を採用するなど、性能面でハイエンドを求める傾向が強い日本国内向けよりも控えめで、より低コストで大量生産に向いた仕様となっています。

AQUOS CRYSTAL 305SH-002
性能よりもコストパフォーマンスに重点を置いた本機


AQUOS CRYSTAL 305SH-003
本体カラーはホワイト、ブラック、ピンク、ブルーの4色


AQUOS CRYSTAL 305SH最大の特徴は3辺狭額縁構造の液晶ディスプレイ「クリスタルディスプレイ」です。シャープが「フレームレス構造」と呼んでいるもので、その名の通りまるで液晶ディスプレイ周辺のフレーム(ベゼル)部分が存在しないかのような薄さです。

シャープはこれまでにもスマートフォンのAQUOSブランドで「EDGEST(エッジスト)」という3辺狭額縁デザインを採用しており、画面を大型化しつつスマートフォン本体の大型化を抑える工夫をしてきました。AQUOS CRYSTAL 305SHのクリスタルディスプレイはその流れを発展させたものと言えます。

AQUOS CRYSTAL 305SH-004
もはや手に液晶ディスプレイだけを持っているような感覚


このフレームレスデザインにより、ディスプレイサイズは大型の5インチを確保しつつ、本体横幅を67mmに抑えることに成功しています。このサイズ感は実際に手に持ってみると衝撃的でもあり、横幅70mmを超える大型端末よりも一回り以上小さい印象を受けます。

ディスプレイガラスにも液晶ディスプレイ周辺のフレームを更に薄く見せる工夫が施されています。

ディスプレイガラスはフレームよりも盛り上がった形をしており、エッジ部分が斜めにカットされています。このデザインによりディスプレイが実際の実装位置よりも浮き上がって見え、またエッジ部分で映像が屈折することでフレームの厚みが隠され、よりフレーム部が薄く見えるようになっています。

AQUOS CRYSTAL 305SH-005
光の屈折までも利用したフレームレスデザイン


本体サイズは約131(H)×67(W)×10(D)mm、重さは約140g。3辺がフレームレスデザインであることからこれまでのEDGESTデザインのAQUOSと同じようにインカメラが液晶下部に配置される特殊な仕様です。

これまでのEDGESTデザインの機種では上部に受話用スピーカーを配置する必要があったためにわずかに厚みがありましたが、AQUOS CRYSTAL 305SHではディスプレイガラス全体を振動させて音を伝える「ダイレクトウェーブレシーバー」を採用しており、デザイン面の向上と騒音の多い場所でもクリアに音声が聞き取れる利便性の向上を両立させています。

AQUOS CRYSTAL 305SH-006
正面。ディスプレイ下部には左からインカメラ、明度センサー、充電・着信ランプが並ぶ


AQUOS CRYSTAL 305SH-014
ディスプレイ画面全体が受話用スピーカーとして機能するため、上辺のフレームも非常に薄い


AQUOS CRYSTAL 305SH-007
背面。カメラやモバイルライト、撮影用マイク、スピーカーがある


AQUOS CRYSTAL 305SH-013
背面カバーを開けるとmicroSDスロットやUSIMスロットがある


AQUOS CRYSTAL 305SH-008
上面。電源ボタンとイヤホンジャックが並ぶ


AQUOS CRYSTAL 305SH-009
下面。受話用マイクとmicroUSB端子がある


AQUOS CRYSTAL 305SH-010
左側面。音量ボタンがある


AQUOS CRYSTAL 305SH-011
右側面。とくに機能はない


AQUOS CRYSTAL 305SH-012
206SHとの比較。同じ5インチディスプレイでもこれだけの大きさの違いがある


AQUOS CRYSTAL 305SHのもう1つの大きな特徴は音楽再生能力の高さです。

音楽などの音質向上機能として、大手オーディオ機器メーカーであるハーマン・カードン社の音楽復元技術「Clari-Fi(クラリ・ファイ)」を採用。MP3やAACといった圧縮音源で削除されてしまう低音域や高音域の音を楽曲データから類推して復元を行うことで、原音に近い音の臨場感を再現しています。

実際にClari-Fi機能をオン・オフしながら音楽を聴き比べてみるとその差は歴然としており、ドラムやヴォーカルの音声、パーカッションなどが程良い余韻を感じる厚みのある音になるということです。一度、Clari-Fiでの音を聴くと、圧縮音源そのままの音は抑揚のない乾いた印象を受けました。

また、音1つ1つに深みが出るためか、特別なステレオ強調などを施していないにもかかわらずステレオ感が増していたことも特筆すべきポイントです。

AQUOS CRYSTAL 305SH-015
Clari-Fiの操作画面。左側の薄いブルーの波形部分が音源に収録されている周波数成分、右側の濃いブルーの波形部分がClari-Fiによって復元補完された周波数成分


この高い音楽再生機能を最大限に生かすため、AQUOS CRYSTAL 305SHには標準でハーマン・カードン社製のモバイルスピーカー「ONYX STUDIO」が付属。AQUOS CRYSTAL 305SHとはBluetoothによるワイヤレス接続が可能で、スマートフォン購入と同時に追加費用無しで高音質の音楽が楽しめるようになっています。

AQUOS CRYSTAL 305SH-016
AC電源のほか、内蔵の充電式バッテリーでも5時間駆動できる


AQUOS CRYSTAL 305SH-017
AQUOS CRYSTAL 305SHのパッケージ。スピーカーが標準で付属するために巨大だ


AQUOS CRYSTAL 305SH-020
海外で発売される同機種にはスピーカーは付属しない


AQUOS CRYSTAL 305SH-018
ユニット構成はウーファー×2基、ツイーター×2基、パッシブラジエーター×2基(うちパッシブラジエーター1基は背面)




AQUOS CRYSTAL 305SH-021
モバイルスピーカーとしてコンパクトにまとめながらも分解能の高い切れのある音を出す印象


AQUOS CRYSTAL 305SH-019
電源ボタンや音量ボタンなどはラバー製のベゼル部にある。Bluetooth接続にはSBC以外にもAACを採用している


一方、グローバルモデルとして開発されたデメリットも存在します。

前述したようにスペックが抑え目になっていることや日本ほど重視されないのか防水仕様などもオミットされています。

また、ワンセグやおサイフケータイ(Felica)といった日本独自の機能も搭載されていないため、現在別のスマートフォンやケータイでこれらの機能を愛用している場合、機種変更などで注意する必要があります。

AQUOS CRYSTAL 305SH-022
AQUOS CRYSTAL 305SHと同時発売されるジャケットケースなどのアクセサリー


AQUOS CRYSTAL 305SH-023
若い女性を意識した、大粒のジュエリーをあしらったケース


AQUOS CRYSTAL 305SH-024
背面カバーそのものを交換するタイプの着せ替えアクセサリー


AQUOS CRYSTAL 305SH-025
中には背面カバーに直接フリップ式の液晶カバーが付いているアイデア商品もある。液晶カバー部には定期券などが入れられるようになっている


価格についてはすでに紹介しているように新規契約や他者から乗り換え(MNP)での2年契約における実質負担額は発売開始時から0円となっており、さっそくグローバルメリットが価格に現れている様子がうかがえます。

しかしなら、この戦略が日本で評価をもらえるのかどうかは未知数です。これまでシャープも含め、日本の携帯電話メーカーはありとあらゆる日本独自の機能に特化させ、「ガラパゴスケータイ(ガラケー)」などと呼ばれるほど特殊な製品作りに終始してきました。

その傾向はスマートフォンでも変わっておらず、いわゆる「全部入り」と呼ばれるハイエンドモデルが好まれたり、普及価格帯のエントリーモデルでさえワンセグやおサイフケータイ、防水性能などは標準搭載となっています。

今回の発表会におけるプレゼンテーション(プレゼン)や製品の方向性を見る限り、AQUOS CRYSTAL 305SHの本命は海外であるという印象を受けました。それを裏付けるように、12月以降に発売予定の国内専用プレミアムモデルとして5.5インチフルHD液晶やワンセグなどを搭載し、基本性能も引き上げた「AQUOS CRYSTAL X」も同時に発表されました。

メーカーが生き残りを賭けて海外への進出に本腰を入れ、それを携帯電話会社(キャリア)が後押しする形となった今回の新製品発表会。果たしてメーカーや携帯電話会社の戦略は、ガラパゴス製品に慣れ親しんだ日本の消費者に受け入れられるのでしょうか。今後の動向にも注目していきたいと思います。

◯主な対応サービス・機能
Hybrid 4G LTEULTRA SPEEDプラチナバンド
世界対応ケータイテザリング緊急速報メール
S!メール(MMS)NFCおサイフケータイ
GPSWi-FiBluetooth
赤外線通信(IrDA)フルセグワンセグ
防水SoftBank HealthCare子育てサポート

◯主な仕様
通信方式国内W-CDMA方式(900MHz/2.1GHz)
FDD-LTE方式(900MHz/1.7GHz/2.1GHz)
AXGP方式(2.5GHz)
海外W-CDMA方式(900MHz/2.1GHz)
FDD-LTE方式(1.7GHz/2.1GHz)
GSM方式(900MHz/1800MHz/1900MHz)
サイズ(幅×高さ×厚さ)/重さ約67×131×10mm /約140g
連続通話時間/連続待受時間※5W-CDMA網約800分/約620時間(静止状態)
GSM網約510分/約570時間(静止状態)
FDD-LTE網待受時間:約530時間(静止状態)
AXGP網待受時間:約480時間(静止状態)
ディスプレー約5.0インチHD(1280×720ドット)
S-CG Silicon液晶(最大1677万色)
モバイルカメラ(画素数/タイプ)メイン有効画素数約800万画素/CMOS(AF・手ぶれ軽減)
サブ有効画素数約120万画素/CMOS
外部メモリー/推奨容量microSDXCカード(microSDHCカード4GB同梱)/最大128GB
内蔵メモリーROM8GB
RAM1.5GB
CPU(クロック数/チップ)1.2GHzクアッドコア/MSM8926
電池容量2040mAh
Wi-Fi(対応規格、周波数)IEEE 802.11 b/g/n(2.4GHz)
BluetoothVer.4.0
プラットフォームAndroid 4.4.2(開発コード名:KitKat)
カラーバリエーションホワイト、ブラック、ピンク、ブルー


記事執筆:あるかでぃあ


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