ソフトバンクグループがARMを買収!

ソフトバンクグループは18日(現地時間)、イギリスに拠点を置く半導体大手企業「ARM Holdings」の発行済および発行予定の株式すべてを約243億ポンド(約3.3兆円)で買い付けると発表しています。

これにより、ARM Holdingsはソフトバンクグループの100%子会社となり、今後は上場を取りやめて非上場企業として株主に左右されない戦略的な投資と開発を行っていくとし、中でも本拠地であるケンブリッジの開発人員を5年間で2倍に増やすなどの計画を明らかにしました。

株式の買い付けはおよそ3分の2を直近でアリババやスーパーセルの株式を売却した現金で、残りの3分の1を担保なしでソフトバンクを保証としたみずほ銀行からの借入(ブリッジローン)にて行います。

すでにソフトバンクグループの取締役会では承認されており、ARM Holdingsの株主およびイングランドの裁判所の承認を経て、2016年9月30日までに買収を完了する予定。

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ARM Holdingsは現在のスマートフォン(スマホ)などのCPUでは主流の「ARM」コアの開発を行っており、iPhoneの「A」シリーズやSamsung Electronicsの「Exynos」シリーズ、Qualcommの「Snapdragon」シリーズ、Huawei Technologies傘下のHiSilliconの「Kirin」シリーズ、MediaTekなどのほとんどのチップセット(SoC)におけるCPUはARMコアを採用しています。

各社はARM HoldingsからARMコアのIPライセンス(技術)を供与され、各々独自の設計をしたり、さまざまなGPUと組み合わせてそれぞれに統合チップセットとして開発・製造しています。

パソコンではIntelが最大手ですが、スマホなどではARMが圧倒的で2015年には「150億個のチップがARMの設計」とソフトバンクグループ代表取締役社長の孫正義氏は紹介し、今後はIoT(Internet of Things)などでさまざまなものにARMコアを用いたチップセットが搭載されることを考えると企業的価値が高いのは誰が見ても明らかです。

一方でソフトバンクグループとしては過去最高額の約3.3兆円を投資する価値、そして、これまでどちらかというとソフトウェア企業として立ち上がってきたソフトバンクグループがハードウェア、中でもその基礎技術を担う企業を買収する意味に疑問を呈する人もいるようです。

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孫氏は「(ARM Holdingsの)昨年の売上高が1791億円、純利益が578億円だがともに2次曲線で伸び始めた。私に言わせれば、これから爆発的に伸びる入口」とし、「すでに世界No.1で市場のポテンシャルは大きく、さらに成長する分野」であり、長期的なビジョンで投資すべき案件であることを強調。

さらに同氏は「たかが3兆円。と言ったら怒られるかもしれないが、それ以上の現金や資産を持っている」とし、ARM Holdingsの会長に実際に買収の話を持ちかけたのはここ2週間であることを明かし、ARM Holdings側にも株主や利益に左右されずに研究開発に長期ビジョンで向き合えるメリットがあることを示していました。

そのため、基本的にはこれまでの経営陣に任せ、長期的には孫氏が経営や方針に意見やアドバイスをするなどのことはあるかもしれないとし、企業として中立性をこれまで通り保つことを示しました。

恐らくこれまでと基本的には大きく変わらないと見られますが、AppleのTim Cook氏やSamsung ElectronicsのDongjin Koh氏には事前に伝えていたということもあり、よりこれらのメーカーではARMコアを強固に採用していく可能性が高くなりそうです。

もっともライバルのIntelはモバイル向けのAtomプロセッサーの開発を終了しており、そういった意味ではどちらにしてもARMコアの安泰は変わらなそうではありますが。



記事執筆:memn0ck


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ARM買収に係るブリッジローン契約の締結に関するお知らせ(PDF形式) - ソフトバンクグループ
当社によるARM買収の提案に関するお知らせ(PDF形式) - ソフトバンクグループ
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