投資ファンドのポラリス・キャピタル・グループが富士通コネクテッドテクノロジーズなどを買収!

富士通およびポラリス・キャピタル・グループ(以下、ポラリス)は31日、富士通の連結子会社でスマートフォン(スマホ)などの携帯端末事業を担う富士通コネクテッドテクノロジーズ(以下、FCNT)の株式および富士通周辺機(以下、FPE)の携帯端末製造事業(社工場)を承継する新会社の株式をポラリスが新たに設立する会社(以下、株式譲受会社)へ譲渡することで合意し、契約を2018年1月31日(水)に締結したと発表しています。

譲渡後も新体制となったFCNTでは引き続き、NTTドコモ向けの「らくらく」シリーズや「arrows」シリーズ、そして富士通ブランドのarrowsシリーズの商品を提供していく予定で、富士通では新体制のFCNTの株式を30%保有するとのこと。また富士通はシニア向けSNS「らくらくコミュニティ」を新体制のFCNTへ承継します。

さらに富士通では新たにジャパン・イーエム・ソリューションズ(以下、JEMS)を新たに設立(2018年3月30日予定)し、FPEの携帯端末製造事業をJEMSへ承継し、このJEMSの株式をポラリスの設立する株式譲受会社が引き受け、富士通はJEMSの株式を19%保有します。なお、FPEは引き続き富士通の100%子会社としてプリンタの開発・製造および各種製造設備等のODMビジネスを行なうとのこと。

今後、両社は2018年3月末をめどに株式の譲渡をめざし、FCNTおよびFPEの社工場についてもJEMSとしてそれぞれ独立性を持った経営が行われるようにしていくとしています。

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携帯端末事業はコモディティー化が進むとともに、海外だけでなく日本国内でも海外メーカーとの競争が激化しており、これまでに富士通では2016年2月に携帯端末事業を行う100%子会社としてFCNTを分社化し、経営責任を明確にするとともに経営判断の迅速化と徹底した効率化を追求する体制を構築してきました。

さらに富士通は5GやIoTなどの時代に向けた次世代端末の開発や新たなサービスビジネスへの展開を加速させるため、FCNTの株式をポラリスへ譲渡し、FCNTの独立性を一層高めるという経営判断を行ったとのこと。

これに伴い、FCNTが有するNTTドコモなどの携帯電話会社との長年の信頼関係、シニア向け製品で培ってきたブランド力および幅広い技術力(無線、生体認証、セキュリティーなどの基盤技術や省電力、熱制御技術など)を最大限に活用した事業展開が可能になるとしています。

同時に携帯端末を始めとしたユビキタス製品の開発・製造・修理を行うFPEの社工場についても独立した事業体としてODM・EMSビジネスを拡大するために分社化し、その株式をポラリスへ譲渡することにしたということです。

一方、ポラリスではこれらの携帯端末事業におけるシニア世代に圧倒的な支持を得ているらくらくシリーズや根強い人気のあるarrowsシリーズのブランド力、そしてこれらの商品開発を支える高い技術力を高く評価しており、日本有数規模のシニア向けSNSであるらくらくコミュニティを活用した新規事業の展開などによってさらなる成長のポテンシャルを有していると考えているそうです。

ポラリスはこれまで複数の製造業やIT・モバイル関連事業案件および大企業カーブアウト型案件に携わっており、これらを通じて培った知識と経験を武器に、今後、携帯端末事業の強みや特徴を確実に受け継ぎながら、独立企業体として必要な体制をスムーズかつ迅速に構築していく予定です。

具体的には5GやIoT時代に向けた技術開発投資、さまざまなアライアンス・M&A戦略による収益基盤の拡充、次世代に向けた新製品や新サービスの提供ならびにEMS事業の拡充などを成長戦略の柱とし、これらを着実に後押しすることで、本事業の企業価値最大化を図っていくとしています。

株式の売却額などについての詳細は明らかにされていませんが、事前に日本経済新聞などで報道されていた内容では売却額は400〜500億円になる模様だと伝えていました。この報道ではポラリスでは新体制のFCNTやJEMSの企業価値を高めた上で保有分の新規上場(IPO)や売却といった選択をすると見られているとのことでした。

最終的にIPOや売却をめざしており、富士通のブランド色が弱まっていくのであれば、今後、ソニーのパソコン(PC)事業を切り離したVAIO(バイオ)のような形になっていく方向もありそうですが、そこまでarrowsブランドに力があるのか微妙ですし、しばらくは現状を維持していくと見られます。



記事執筆:memn0ck


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