KDDIによるスマートグラスへの取り組みを解説!

KDDIが都内にて「xR技術の取り組みに関する説明会」を4月26日に開催しました。説明会には主にBtoB用途のスマートグラスなどを製造・販売するODG(Osterhout Design Group)やモバイル向けチップセット(SoC)の大手メーカーであるQualcommなども招待され、KDDIとODGのパートナーシップの締結が発表されるとともに、xR技術を用いたこれからのデバイスソリューションとその取組について発表が行われました。

xR技術とはVR(仮想現実)やAR(拡張現実)、MR(複合現実)、そしてSR(代替現実)など、CGによる新しい視野表現技術を総称したもので、いずれの技術も現在急ピッチで開発が進められていますがまだまだ発展途上です。携帯電話が数kgもあるショルダータイプから僅か数十gへと小型化されたように、スマートグラスもまたヘルメットのような重いデバイス形状から軽く使いやすいメガネ型へと進化している段階なのです。

KDDIがめざすxR技術とスマートグラスの未来とは一体どのようなものなのでしょうか。説明会の模様とともに解説します。

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KDDIが考えるスマートグラスの未来とは


■5Gを見据えた新たなコンテンツへの足がかり
冒頭、KDDI理事 商品・OC副統括本部長の山田靖久氏は「xR技術をお客様にワクワクを伝えるために必要不可欠な技術にしたい」とし、「時間と空間を超える体験の創造に全力で取り組んでいきたい」と語りました。

KDDIは2020年から開始予定の5Gサービスを前に、コネクティッドカーサービスやIoT災害情報支援システム、そしてテレイグジスタンスを始めとした先進技術の開発や支援に積極的に取り組んでいます。

今回のxR技術への取り組みもまた5Gを活用したサービスへの足がかりであり、単なる通信インフラとしての5Gではなくさまざまなサービスとアイデアの提案から仕掛けていきたいというKDDIの意気込みを感じます。

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KDDI理事 商品・OC副統括本部長 山田靖久氏


今回KDDIが戦略的パートナーシップを締結したODGは、主に北米や欧州でスマートグラスの販売に実績があり、スタンドアローン型で小型・軽量のスマートグラスを販売する大手メーカーです。

登壇したODG COOのピート・ジェイムソン氏は自社製品の歴史を紹介するとともに「デジタル世界と現実を組み合わせたワクワクする世界を」と語り、スマートグラスが作り出す未来についての展望を紹介しました。

また説明会場の横に設置されたタッチ&トライコーナーでは同社のスマートグラス「R-9」および「R-8」が展示され、実際に試用することができました。

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ODG COO ピート・ジェイムソン氏


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ODGは軍用暗視ゴーグルの開発から始まった企業で、ヘッドマウントディスプレイやVRゴーグルなどの技術で高い信頼を得ている


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ODGがラインナップするスマートグラス。R-7系列は危険作業用、R-9が民生用の高性能機、R-8が民生用の普及機


続いて登壇しプレゼンを行ったQualcomm Global Head of XRのヒューゴ・スワート氏は「Qualcommがめざすのは将来のモバイルコンピューティングがスマホからウェアラブルグラスに変わること」とし、さらに「私たちの生活はスマホで変わったようにウェアラブルで変わる」と語り、スマートグラスが切り開く未来への強い期待を表しました。

現在、Qualcomm製「Snapdragon」シリーズのSoCを搭載したスマートグラス製品は各社合わせて20種類以上にのぼり、今後もSoCの性能向上とともにさらに拡充を図るとのこと。その上で「5GはxR体験を実現する必須の技術」であると述べ、KDDIによるインフラ整備にも期待を寄せていました。

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Qualcomm Global Head of XR ヒューゴ・スワート氏


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携帯電話からスマホまで、その進化を支えてきたQualcomm


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xR技術によって災害救助や人的支援活動の現場は劇的に変わるだろう


■スマートグラスの利用方法を模索するKDDI
タッチ&トライコーナーではODGのR-9およびR-8の実機展示が行われたほか、実際にR-9を用いたサービス展開の例として、目の前にバーチャルキャラクターが現れコミュニケーションを取ったりIoT機器を制御できる「Virtual Characters」(バーチャルキャラクターズ)、離れた場所のいる人がスマートグラスを通して目の前に現れる「Terepresence」(テレプレゼンス)、離れた場所にいる熟練者の指示を現場作業員のスマートグラスにARで表示する「VistaFinder Mx」(ビスタファインダーエムエックス)など、さまざまなデモンストレーションが行われました。

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スマートグラス「R-9」


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バーチャルシンガー「初音ミク」を使ったコミュニケーションサービス「Virtual Characters」


R-9やR-8は完全なスタンドアローンでの動作が可能で、外部装置やバッテリーとケーブルで繋がれることなく自由に動ける点が大きな特徴です。サイズ感も少し大きな作業用ゴーゴルといった程度で、重量はR-9で約181g、小型の普及価格品であるR-8では約141gとかなりの軽量化が図られています。

いずれもMRに対応したスマートグラスであり、現実に見ている世界とCGを重ねて表示し、空間上に映像を表示して近寄ったり裏側を見たりすることができるようになっています。

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小型のR-8。このサイズになるとかなり違和感がなくなる


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R-9やR-8は映像投影用のディスプレイが内側にあり、外側にダミーレンズを被せる仕様になっている


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ダミーレンズは屋内や屋外など明るさに応じてレンズの色を変更できる。またスマートグラスの内側には度入りのレンズが装着できるようになっており、メガネ利用者はメガネの代わりにこのレンズを取り付けて利用する


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VistaFinder Mxでは現場の作業者が装着するスマートグラスのカメラで捉えた映像に熟練技術者が指示を書き込み、それを再びスマートグラスへ送り返すことで作業を円滑に進めさせることができる


■スマホの代替ではない「新たな用途」を
今回展示や実演が行われていたものは実際にKDDIがそのままサービス運用を行うといったものではなく、現在実用試験が行われている最中のものを展示したりサービスの一例としてデモンストレーションされたもので、5Gサービスの開始に合わせてどのようなものが実現するのかは明確にされていません。

同社は今夏を目処にJALと提携しスマートグラスを活用した映像体験の実証実験なども開始予定ですが、こちらもラウンジでの映画などの映像視聴が主体となるなど限定的な用途となっており、今後行われる具体的なサービスへの直接のテスト運用などには至っていません。

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まずは人々にスマートグラスに触れてもらうことから始めなければいけない


スマートグラス自体の販売や普及も未だ検討中の域を出ておらず「本格的なスマートグラスの導入は5Gが国内で広まっていく2020年頃からではないか。幅広い利用シーンをお客様にご提案するのに色々な改良が必要。時期も価格もこの場では控えさせて頂きたい」(山田氏)と質疑応答の場でも語っていたように、まずはサービスを考えるための準備を整えた、というところではないでしょうか。

またスマートグラスがスマホを置き換えるのか、といった質問に対しても「直のリプレースはあり得ないと思っている」と語り、スマホが携帯電話を置き換えたような変化は起こらないだろうと予想を述べました。

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ODGやQualcommはスマートグラスへの“進化”を強く印象づけるプレゼンを行っていたが、実際は“多様化”と呼んだほうが相応しいかもしれない


スマートグラスは人の視野や視界を大きく遮り「歩きスマホ」と同じような状況を生んでしまうことが常に大きな課題として横たわっています。仮にデバイスサイズや形状が一般的なサングラスとほぼ変わらない大きさになったとしても、そういった「歩きスマホ」状態を防ぐ解決手段が見当たらないのが現状です。

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このような画面が視界を遮ってしまうのは怖いものがある


5Gの高速回線や大容量データ送信を活かしたアトラクティブなコンテンツサービスはエンターテインメントの分野では大きな魅力となりますが、KDDIが言葉を濁す理由はこういった安全面での解決が見えない点にもあるのかもしれません。

しかしそれでもスマートグラスの時代は間違いなくやってきます。はじめはBtoBで、そしてBtoBtoCからBtoCへ。誰もがスマホとスマートグラスを使い分ける時代が来ることを願わずにはいられません。

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テクノロジーの進化と多様化に期待したい




記事執筆:秋吉 健


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