docomoのIoTソリューションを紹介!

東京ビッグサイトにて5月9日から11日までIT関連総合展示会「2018 Japan IT Week 春」が開催され、NTTドコモが法人向けIoTソリューションを中心とした展示ブースを出展しました。

NTTドコモは次世代の広域無線通信網として「5G」規格を推進していますが、一方でIoT機器を積極的に活用するための「ラストワンマイル」としての無線通信規格としてLPWAに区分される「RoLaWAN(ローラワン)」の活用にも注力しています(LPWAについての解説はこちらを参照)。

すでに自社網として3GやLTEなどさまざまな回線を持ち、さらに5Gでも日本の通信インフラを牽引する立場にあるドコモがこうしたLPWAに力を入れる理由やメリットとはどこにあるのでしょうか。またLPWAやLTEソリューション(セルラーIoT)などを導入する企業側のメリットとはなんでしょうか。展示ブースの紹介とともに解説します。

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NTTドコモが提供するLPWAの強みとは


■NTTドコモがLPWAを活用するメリットとは
緻密な広域無線通信網を日本中に張り巡らせているNTTドコモがLPWA(RoLaWAN)に注力する大きな理由がコストとソリューションの最適化です。LPWAは大容量通信や長距離通信ができない代わりに、非常に小規模(小型)で設置コストやメンテナンスコスト、そしてランニングコストの小さな通信機器を用います。そのためビジネスソリューションとしては費用対効果が高いことが導入企業にとっての最大のメリットとなります。

さらにNTTドコモとしては、自社の広域通信網を効率良く提供できるというメリットもあります。仮に全てのIoT機器(人感センサー、温度センサーなど)をLTE回線で直接つないだ場合、回線の接続数が膨大になりトラフィックが逼迫する危険性があります。

しかし大量のIoT機器から得られる情報を一旦LPWAによってゲートウェイ機器へ集積し、その後LTE回線へと接続して通信を行えば回線の接続数は劇的に削減することができます。LTE回線は大容量のデータを一気に送信するのが得意である一方、大量の同時接続には弱い欠点があるため(MIMO技術などである程度はカバー可能)、「多数の情報を1つにまとめたあとに送信する」ゲートウェイ方式は非常に効率が良いのです。

導入企業としてもランニングコストの高いLTE回線を大量に契約することなく広域をカバーできるIoTソリューションを導入することが可能となるため、どちらにもメリットの多い方式となります。

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通信回線を効率良く活用することこそがNTTドコモの最大の狙いだ


■複数の通信方式を適材適所で提供するNTTドコモ
もちろんLPWAのみがNTTドコモの武器ではありません。テレマティクスサービスやV2Xソリューションのように小容量・短距離通信に特化したLPWAではカバーできない通信ソリューションにはセルラーIoTを用い、工場内の多数の従業員の活動を管理するような場合にはBLE(Bluetooth Low Energy)ソリューションなども併用されます。

さまざまな通信技術を適材適所で提案できる幅の広さこそが同社の最大の強みと言えます。

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防犯カメラやデジタルサイネージにはセルラーIoT、各種定点センサーにはLPWA(RoLaWAN)、そして人材管理にはBLEなど、最適なネットワークシステムを提案できる


展示ブースでは導入例としてセルラーIoTを用いた自動車向け危険通知システムや各種センサーを搭載した海洋ブイ、LPWAを活用した農業支援システムや水害対策用IoT水位計などが展示され、IoTセンサーが人々の暮らしにどう役立つのかを分かりやすく解説していました。

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ドライブシミュレータを用いた自動車向け緊急通知システムの実演


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海洋ブイおよび農業支援システムの展示


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海洋ブイから送られてくる情報はデータサイズが小さいものの狭いエリアに大量に設置するものではなく、また遠距離通信が必要となるためセルラーIoTが用いられる場合が多い


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セルラーIoT向け通信のジュールは様々な企業が開発・提供している


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ソーラーパネルを搭載し自家発電が可能なIoT水位計


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災害対策設備も狭いエリアに大量の設置が必要なわけではなく、また災害時に確実な通信が必要となるためLTEモジュールが利用される場合が多い


■基本的な相談から全てを引き受ける体制を
このほかにも工場内での機器を監視する振動故障予知検知ソリューションや工事現場などに用いる建設ソリューションなど、幅広い業種・業界へのアプローチが見られたのが印象的でした。

IoT機器による通信量や設置数、設置エリアの範囲、そしてコストなど、IoTソリューションの導入を検討する企業が悩む課題は数多くあります。そもそもIoT機器導入がどう役立つのか、何を効率化してくれるのかを明確にすることすら難しいのが現実かもしれません。

そういった基本的な相談から全て受けた上で最適なソリューションを提案できるのが同社の強みであるとブース担当者は語っていましたが、その言葉を裏付けるだけの技術とバックアップ体制を十分に整えているからこその自信ではないでしょうか。



記事執筆:秋吉 健


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