IoTスマートホステル「&AND HOSTEL ASAKUSA STATION」が8月1日にオープン!

and factoryは24日、台東区西浅草に新たにオープンするIoTスマートホステル「&AND HOSTEL ASAKUSA STATION」の新店内覧会を開催しました。同ホステルは8月1日の開業を予定しており、定員は70名。2人で宿泊できるダブルルームを5室、や簡易宿泊に適したドミトリールームを60床用意し、シャワールームやラウンジスペースなどを備えています。


近年のインバウンド(訪日外国人旅行者)需要の増加と2020年のオリンピック開催による需要の急増が見込まれるホテルおよびホステル事業はIT業界やモバイル通信関連業界においても大きなビジネスチャンスとして捉えられており、同社ではIoTを駆使した近未来のスマートホーム体験を気軽に行えるホステルとして事業を展開しています。

同社がホステル事業にIoTを導入しようと考えた意図とは何でしょうか。またそれによって何が変わるのでしょうか。内覧会の模様とともに解説します。

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ヨーロピアン感覚のおしゃれなホステルだ


■急増するインバウンド需要にIoT&アプリ開発のノウハウを!
同社によるホステル事業は2016年8月に「&AND HOSTEL FUKUOKA」の開業に始まり、本ホステル「&AND HOSTEL ASAKUSA STATION」で6店舗目となります。また浅草周辺の店舗としては「&AND HOSTEL ASAKUSA NORTH」に続く2店舗目です。

浅草の2店舗や上野、神田、秋葉原といった観光スポットへの出展が多い理由には前述のように急増するインバウンド需要があります。2012年頃まで年間800万人前後であった訪日外国人旅行者数は2013年よりうなぎのぼりで増加の一途を遂げ、当初政府が掲げていた需要目標を次々に前倒しする勢いで増え続けた結果、2016年現在で2400万人を突破、2018年には3000万人にも達する予想すら立っています。

空前の日本ブームとも呼べるこの状況にビジネスチャンスを見出したのが同社であり、スマホ向けの攻略アプリやマンガアプリの開発から始まった同社がそのアプリ開発のノウハウを活かしたIoTスマートホステル事業へ乗り出したきっかけでもあります。

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2020年のオリンピック後も「観光立国」としてインバウンド需要の増加を見込む日本


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東京圏や大阪圏の宿泊施設が圧倒的に不足している状況だ


■IoTシステムをフルに活用した実験的ホステル
本ホステルは同社においても初の新築案件ということもあり、同社が開発してきたIoTシステムや管理システムをフルに導入した実験的なホステルとなっています。

具体的には、同社が開発したIoTデバイスの連携・統制・制御を行うプラットフォーム「&IoT」とホステル・カプセルホテル向け宿泊管理システム「innto」を連携させ、宿泊者1人1人に合わせた快適な客室環境を提供し、これらで得られた情報を客室設置型タブレットサービス「tabii」に表示したり室内環境のコントロールを行うといったものです。

こういったIoTシステムのフル活用によってホステル側のコストダウンが図られ、価格は抑えつつもデザインや品質を高く、そして稼働率を高めて収益力のあるビジネスモデルを構築しています。

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店舗に設置されている情報サービス「tabii」


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tabiiでは同社が独自調査したおすすめスポットやレストラン情報などが掲載されており、QRコードによって利用者のスマートフォン(スマホ)などにオススメ情報を転送することもできる


さらに同ホステルでは客室環境の設定や客室の施錠・解錠といった操作に専用のアプリをインストールしたスマホを用意しています。

アプリでは前述した客室の施錠・解錠、客室内照明の色や室温のコントロールが全て行えるほか、「Wake up!」や「I'm home!」、「Relax」、「Sleep」といった6つのシーンを選択するだけで客室内のIoT機器を一括制御できる機能が搭載されており、利用者は状況に応じてこれらのボタンを押すだけで良いワンストップの使いやすさを実現しています。

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スマホで客室のスマートロックを制御


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照明の色などもスマホで簡単に設定可能


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シーンに合わせて客室内のIoT機器を一括制御


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照明やアロマディフューザー、テレビ、エアコン、カーテンなどが全てIoT制御されている


また同端末はシャワールームやラウンジスペースの利用状況がリアルタイムで取得できる機能も備えており、シャワーを浴びに行ってみたら満室で利用できなかった、といった使いにくさの解消を図っています。これらの施設利用状況の情報はQRコードの読み込みによって利用者の持っているスマホへも転送可能です。

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シャワールームなどの利用状況が手元のスマホで分かるのはとても便利だ


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シャワールームのドアノブに取り付けられた赤外線センサーによって利用状況が検知される仕組み


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客室内に設置されたQRコードを読み込むことで、利用者自身のスマホなどでもこれらの情報を取得できる


■IoT化が必要不可欠な時代に対応したホステルサービスへ
宿泊料金は季節や時期によって変動しますが、ダブルルームで8,500円~9,500円程度、ドミトリールームで3,000円~3,500円程度としており、1人あたりの価格を3,000円台から4,000円台に抑えることでお手頃さを強調しています。

同社では「&AND HOSTEL」事業による店舗展開を現時点ですでに6店舗予定しており、IoTスマートホステルという方向性に大きな手応えを感じているようです。

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ゆったりと寝られるダブルルーム


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ドミトリールームはアジア圏の人々にとくに好評だ


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いわゆるカプセルホテル的なドミトリールーム。一晩の休息を得るには十分だ


本ホステルについて「(ユーザーは)IoTがある暮らしを先取りして体験できる」と語っているように、同社はIoTを駆使したスマートホーム社会への強いビジョンを持っており、現在NTTドコモおよび横浜市との共同参画によって行われているスマートホーム実証実験でもユニークなIoT利用のアイデアを数多く提案していました。

【過去記事】NTTドコモと横浜市、and factoryによるスマートホーム実証実験「未来の家プロジェクト」が第2段階へ!IoT技術で得られた「気づき」やアイデアを写真や動画とともに紹介【レポート】


IoTスマートホステルやスマートホームはユーザーの利便性や生活の質の向上を図るだけでなく、安全性の高い効率的で低コストな居住環境の構築に役立ったり、そこで得られたビッグデータなどを元にした広告展開など、新たなビジネスモデルへの接点となる可能性があります。

またホステル事業に関して言えば、端末による客室サービスのワンストップ化はインバウンドで最も障害となる「言葉の壁」を低くしてくれる効果があります。ルームサービスなどで各種言語に対応する人材の確保は非常に困難ですが、それらを自動化しスマホ1つで主要な言語に対応できれば利用者にも事業者にとっても多大なメリットがあります。

同ホステルで運用されるスマホアプリや「tabii」などは現在日本語と英語の2カ国語対応となっていますが、今後対応言語を増やしていく予定とのことで、より利便性の高いIoTスマートホステルへと進化していくことが期待されます。

増え続けるインバウンド需要は喜ぶべき状況である一方、ユーザーニーズの多様化や要求レベルの上昇が懸念されます。世界の人々に「日本の旅は快適だった」、「日本のサービスは先進的で便利だった」と感じてもらうためにも、各サービスのIoT化が必要不可欠な時期に来ているのかもしれません。

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より快適でより利用しやすいホステルサービスを


記事執筆:秋吉 健


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