通信は人にも寄り添うサービスに!介護医療関連のソリューションをdocomoとFujitsuが展示

東京・お台場にある東京ビッグサイトにて2018年10月10日(水)から10月12日(金)までの3日間に渡って約550社の企業・団体が出展するアジアでは最大級の福祉&医療関連の機器・サービスなどが集う展示会「第45回 国際福祉機器展 H.C.R.2018(International Home Care & Rehabilitation Exhibition 2018)」(主催:全国社会福祉協議会および保健福祉広報協会)が開催されました。

福祉や医療の関連機器・サービスが中心のこの展示会にもモバイル関連が展示があり、折を見てレポートしていますが、今回も取材に行ってきましたので、数回に分けて会場内に展示されていたモバイル関連のブースを紹介したいと思います。

まず最初となる本記事では、NTTドコモと富士通の2社が相乗りで出展をしていた共同ブースに展示されていたサービスや製品のうちのクラウドを活用した介護・看護支援ソリューションや法人向けのLTE対応ドライブレコーダーなどをお送りします。

【介護・医療事業者支援ソリューション】

・HOPE LifeMark-WINCARE for docomo

最初に紹介する「HOPE LifeMark-WINCARE for docomo」は、NTTドコモが提供する「訪問介護(看護)先で介護(看護)記録作業を完結できる」サービスで、介護・看護スタッフが訪問先で介護(看護)記録をタブレットおよびスマートフォン(スマホ)だけで簡単に作成が可能となっています。

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HOPE LifeMark-WINCARE for docomoの大まかな概要

通常、介護記録は紙のもので作成した場合、事務所へ持ち帰って事務所にある記録簿へ転記するのが一般的なのですが、この支援ソリューションでは富士通のデータセンター上に記録簿のフォーマットが用意されており、タブレットやスマホを使って訪問先から直接記録をつけることになるため、記録の転記のためだけに事務所へ戻る必要がなくなることで、訪問スタッフの負担を減らすことができます。

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介護・看護記録作成画面を起動した状態のタブレット

また、寝たきりの方の褥瘡や患部の状態などの写真をタブレットやスマホで撮影してその場でアップロードが可能なため、その場でケアマネージャーや医師などに状態を詳細かつ正確に報告ができるというのもポイントとなります。

フェイスシート(介護サービスを受ける利用者の基本情報が掲載された情報資料書)のデータもタブレットやスマホから閲覧ができるので、既往歴の情報なども訪問先ですぐに確認がとれるのも非常に便利です。なお、通常はフェイスシートは介護事業者の事務所や詰め所に保管されており、訪問介護・看護の現場スタッフが訪問先で閲覧することができないのです。

これらの記録作成ソリューションは介護や看護事業者向けの請求業務にも対応した介護・看護サービス提供者向けシステムとしては定番ソフトである富士通の「WINCARE」をベースとしており、導入のハードルがそれほど高くないのもアピールポイントではないでしょうか。

さらにデータは富士通のデータベース上に存在するクラウドサービスで構築されており、Webブラウザー上にて利用できるので、スマホやタブレットはもちろん、パソコン(PC)からも確認・閲覧や操作が可能で、レセプト(介護・看護業者が介護・医療報酬を自治体や保健機関に提出する請求書)処理も行うことが可能です。

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介護情報やケアプランなども確認が可能で、業務の引継ぎなどもスムーズに行える


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スマホからも記録の作成や情報の確認が可能。一部の記録はプルダウン選択式で入力の手間を極力省けるようになっている。


・リモートモニタリングサービス

続いて紹介する「リモートモニタリングサービス」は、富士通が提供するプライバシー保護に配慮した要介護者向けの見守りサービスです。

NTTドコモが提供するネットワーク(モバイルWi-Fiルーターを活用)に富士通製の据え置き型の見守りセンサー端末をつなぎ、24時間365日、富士通が運営する専門のコールセンターからモニターします。

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リモートモニタリングサービスの概要


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富士通製の見守り端末「リモートケアベース」、USB電源で駆動できる。

このリモートモニタリングサービスではプライバシー配慮がなされたおり、見守り端末にはカメラは搭載せずに収音マイクと温度センサー、人感センサーが搭載されています。

これにより、居室内の温度の上昇や異常音が検知されると、コールセンターへ自動でアラートが届き、コールセンターから見守り端末へ呼びかけ・安否確認を行うことができ、そして、必要であれば、医療スタッフが駆け付けることが可能です。

また、見守り端末側からコールセンターへの呼び出し連絡や緊急通報を行うことができます。つまり、ざっくりとした説明をしてしまうと、「居宅に設置できるセンサー付きナースコール」のような利用が可能ということになります(もちろん、オプション料金のかかる場合もありますが)。

説明員によると、在宅介護利用者の見守り端末としてだけでなく、「アパートに暮らす独居の高齢者」を(何かあったら、身内のほかに管理会社へも連絡が来るように設定して)見守るために契約するパターンもあるということです。

これは最近話題になることも多い、高齢者の孤独死を防ぐためにも有用であるということで、住宅管理会社からの引き合いも多いそうです。


【福祉車両・送迎車両の事故リスク軽減】

・LTE搭載通信型ドライブレコーダー&docoですcar Safety

一方、NTTドコモでは福祉関連だけでなく、車両運行業務のある企業全般に向けて提供を行っている法人向けサービス「docoですcar Safety」も展示していました。これは同社の4G(LTE方式)および3G(W-CDMA方式)のネットワーク接続に対応した専用のドライブレコーダーとオンラインサービスをセットで提供しているもの。

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NTTドコモの法人向けソリューション「docoですcar Safety」


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パイオニア製「ドコモ通信型ドライブレコーダー」(税別35,000円)

約2.0インチQVGA(320×240ドット)液晶と約200万画素カメラを備えるネットワーク対応のドライブレコーダーで、ドライブレコーダーとして必須の機能である運転映像の常時録画はもちろん、ネットワークと連携した車両の運行ルート記録(最大3か月分保存)だけでなく、車両の注意挙動(急ブレーキや急ハンドルなど)を検知するとそれを記録したり、運転手へ通知して注意を促したりと運転手の安全をサポートする機能を持っています。

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運転中、急ブレーキや急ハンドルを検知するとディスプレイに表示される


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高画質モードではフルHDの精細な動画がアップロード可能

事故発生時などの際には録画した映像を管理者側へリアルタイムで送信し、発生状況をいち早く把握できるために、迅速な対応が可能であることもポイントとなっています。

さらにユニークな機能として「運転診断機能」を搭載しており、運転習慣の見直しや技術の確認ができます。一般向けのサービスの「ドコモドライブネット」にはないサービスなのでこういった機能がコンシューマ向けサービスにもあると便利かもしれません。

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単体で通信可能なドライブレコーダーだからこそできる機能がセールスポイント。

説明員によると、あくまでも事例のひとつとしながらも「ある運送会社では事故件数が導入前と比べて86%も減り、燃費も向上することで経費やトラブル時の対応費用を大幅に抑えることができた」という事業所があったということです。

また、評判も上々で、本サービスは昨年だけで約1万台程の加入(端末販売)があったそうです。高齢者や要介護者が乗車する福祉車両などはもちろん、物流や旅客など幅広い対応が期待できるのではないでしょうか。

こういった共同展示を行っていたNTTドコモと富士通のブースですが、実はもう1つ面白そうな現在開発中の言語障碍者向け通話アプリ「みえる電話」が展示されていましたので、こちらは次回の別記事にて紹介したいと思います。



記事執筆:河童丸


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