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他社のスマートフォンとはサイズ感が大きく異なるOptimus Vu

最近のスマートフォンはディスプレイサイズの大型化が加速している。モバイル向けサイトの利用が主だったフィーチャーフォンに対し、PCサイトを直接閲覧したり、動画や写真を見たりすることの多いスマートフォンにおいては、端末サイズの大型化は正当な進化と言えるのかもしれない。

スマートフォンとして7インチクラスはさすがに大きすぎるだろうが、4インチ後半から5インチ前半であれば手帳や文庫本のように手軽に持ち運べ、電話として利用する際も許容できるサイズだろう。

各社のハイエンド製品を見ても4インチ後半のものが増えており、サムスン電子の「GALAXY Note」のように5インチを超える製品も既に登場してきている。これらの製品は「iPhone」などと比較すると大きいイメージを受けるが、高画質なHD動画を見たり、電子書籍を閲覧してみたりすると印象は大きく変わる。

特にメディアビュワーとしてスマートフォンを使うなら、手に持てるギリギリのサイズで、より大きいディスプレイが欲しくなるはずだ。

LGエレクトロニクスが2月にバルセロナ(スペイン)で開催された「Mobile World Congress 2012(MWC2012)」で発表した「Optimus Vu」も、5インチの大型ディスプレイを搭載したスマートフォンだ。

名前のVuは“View”すなわち端末の最大の特徴がビュワーであることを表している。今回はLGエレクトロニクスのプレスツアーに参加してきたので、このOptimus Vuの魅力を紹介していこう。

■ スマートフォンでもあり、タブレットでもある「Optimus Vu」
Optimus Vuは、他社のスマートフォンとはサイズ感が大きく異なり、正方形に近い形状をしているのである。すなわち一般的なスマートフォンのディスプレイの縦横比が16:9なのに対し、Optimus Vuは4:3を採用、この比率は実はiPadやAmazonのKindleと同等であり、市販の書籍や雑誌と同等の比率だ。

つまり、Optimus Vuはスマートフォンでありながらも、ミニタブレットの性格も兼ね備えているのである。実際にOptimus Vuで電子コミックや雑誌などを表示してみると、スクロールなしで1ページ全てを読むことができる。電子書籍を活用したいが、10インチや7インチのタブレットでは大きすぎるという人にはOptimus Vuを選ぶという選択肢は大きくなりそうだ。

一方、スマートフォンとしてのOptimus Vuを見てみると、ディスプレイが横に長いことからスケジュールの表示やパワーポイントのプレゼン資料の閲覧に優れており、FacebookやTwitterなどの利用もタイムライン表示の折り返しが少なくて見やすい。さらには本体上部に専用のスクリーンキャプチャボタンを備えているため、画面キャプチャもワンタッチで可能だ。キャプチャ後はそのまま指先や付属のスタイラスペンで書き込みもでき、情報の共有にも便利に使える。

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電子書籍がぴったりと表示できるのは4:3の画面比ならでは


このあたりは5インチクラスのGALAXY Noteと類似した機能ではあるものの、画面比率の違いが使い勝手の差に大きく現れており、まったく別のカテゴリの製品という印象を受ける。Optimus VuはむしろiPadを超小型化した端末のように感じるのだ。GALAXY Noteが「スマートフォンでもない、タブレットでもない、新しいジャンルの製品」であるのに対し、Optimus Vuは「スマートフォンでもあり、タブレットでもある製品」と筆者は感じた。


■ ポケットに入る最大サイズ!?日本への投入にも期待
さて、Optimus Vuの利用で懸念されるのは本体の大きさかもしれない。現在韓国で販売されているOptimus Vuの本体サイズは139.6×90.4×8.5mm。薄さは10mm以下に抑えているが、横幅は90mmとなっている。だが、このサイズはワイシャツのポケットよりも狭く、ズボンのポケットにも入れられる大きさとなっている。

他社のスマートフォンとは異なる本体デザインであることから「大きいのでは?」と考えてしまうが、実際に持ってみるとその懸念は杞憂であることがわかる。横に広い画面エリアも快適で、むしろこのサイズのスマートフォンがこれまで出てこなかったことが不思議に感じられるくらいだ。

なお、Optimus Vuのバッテリーは内蔵型で取り外しや交換はできない。そのためLGエレクトロニクスは新開発の次世代ポリマーバッテリーを搭載。これは子会社のLGケミカルが開発したもので、従来のスマートフォンは500回程度の充電サイクルで電池能力が急激に落ちるのに対し、その1.6倍、800回まで能力を保持できるとのこと。また背面に装着できる4000mAhの大型バッテリーも開発中とのことである。

Optimus Vuは現在韓国のみで販売されており、今後グローバルでも早い時期に投入が予定されている。当然、日本への投入も考えられているだろう。韓国版はLTEに対応しており、韓国版ワンセグともいえるDMBチューナーを搭載、そしてNFCにも対応している。そのため日本向けモデルを開発するのであれば、LTEとワンセグの搭載は問題ないだろう。あとはNFCの部分をFelicaとしておサイフケータイに対応させることも難しくないはずだ。

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韓国ではLTE対応ということもあり売れ行き好調とのこと


韓国では、Optimus Vuの評判は高く、着々と販売数を伸ばしているという。特に若い女性層に大きく受けているとのことだ。ハードウェアスペック的には日本でも十分通用する上に、他社にはないカテゴリの製品は日本市場にもぜひ欲しいところ。日本向けのOptimus Vuの登場に期待したい。

記事執筆:山根康宏


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