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国内では予約だけで6万2千と好調な「GALAXY SIII」は海外でも人気!

サムスンの最新スマートフォン「GALAXY S III SC-06D」が日本でも発売された。発売初日の予約数だけで6万2000台と、日本でも早くも注目を浴びているが、海外ではアジアを皮切りに各国で先行して販売がはじまっており、その中でも最も早く市場にお目見えしたのが香港と台湾だ。

アジアの中でもスマートフォン普及率の高いこの2カ国では発売直後からGALAXY S IIIの人気が大きく高まっている。

今回は国内だけでなく、世界的に今夏最注目機種となった「GALAXY SIII」の香港・台湾・韓国といったアジアでの状況を紹介しよう。

香港では5月中旬、サムスン電子から発売開始予定日が「5月31日」とアナウンスされるや否や、各通信事業者が取り扱いを行うと大々的に発表、すぐさま予約の受付も開始された。事業者によっては「発売日完全引渡し保証」をうたうところもあるほどで、予約合戦も大きく過熱した。

すでに携帯電話普及率が数字の上で100%を超えている香港では、目玉となる新端末はMNP移転客が期待できる期待の製品だ。GALAXY S IIIはiPhoneの新製品が不在のこの夏、事業者にとって重要な商材になっているのである。

ちなみに5社ある香港の通信事業者各社のGALAXY S III購入キャンペーンは、「データ定額プラン2年契約で実質端末代金無料」「外付けバッテリー無料」「純正予備バッテリーとクレードル無料」「高級ヘッドフォン無料」「端末代金24回払い手数料無料」などなど様々。

ここまでキャンペーンに力を入れるのはiPhoneの新機種が登場したときくらいのもので、それだけ各事業者もGALAXY S IIIに期待しているということなのだ。発売日の5月31日には1社が深夜0時からの販売会を開催、他社も朝8時や9時から店を開けるなど、ちょっとしたイベントも行われていた。


香港の通信事業者がハイエンドスマートフォンを最初から実質無料にするのはMNP客を奪うためのアグレッシブな販売戦略。人気製品だからこそ無料のオファーが注目される

発売から1ヶ月立った現在、香港ではGALAXY S IIIは潤沢に在庫があり、大手量販店でも単体での購入が可能だ。だが量販店の一部は発売日直後は単体売りは行わず、Bluetoothヘッドセットなどのアクセサリを強制バンドル販売するなどしていた。

香港ではスマートフォンはSIMロックフリー販売しかされず、量販店では定価販売になるのだが、定価以上で販売しても品切れになるほどの人気が出たのはiPhoneの単体販売が解禁になった直後に見られたくらいである。今の香港のGALAXY S IIIの人気の高さはiPhoneに並ぶほど、なのだ。


一方、台湾でもGALAXY S IIIは香港と同じ5月31日から販売が始まっている。台湾には大手3社と新興2社の5事業者があり、最新スマートフォンは仕入れ価格が高いこともあってか大手3社のみが扱うケースが多い。だが新興事業者であるViboもGALAXY S IIIを取り扱い、回線契約込みでの割り引き販売を開始した。

iPhoneの販売権も持たない新興事業者としては、ここでGALAXY S IIIを扱うことで少しでも大手との差を縮めたいとの考えなのだろう。端末割引の奨励金は事業者が持ち出すことになるが、GALAXY S IIIであればそのマイナス分を補うだけのリターン、すなわち新規契約が取れると見込んだようだ。

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台湾でもGALAXY S IIIの広告があちこちに見られる


なお親日で知られる台湾は、携帯電話も古い時期から日本メーカーに大きな人気が集まっていた。ここ数年は日本メーカーが撤退してしまっているが、ソニー(旧ソニー・エリクソン含む)は売り上げベースで上位に食い込むなど、ハイエンド製品に人気が集まっている。だがサムスン電子は台湾でもじわじわと販売数を増やしており、現在台湾のスマートフォン市場はApple、HTC、サムスン電子がそれぞれ20%を超えているという。

台湾での韓国製品に対する評価はまだ日本製品まで追いついていない部分もあるようだが、スマートフォンに関してはGALAXY S II、GALAXY Noteと意欲的な製品を立て続けに投入しているサムスン電子の評価がこの1年で急激に高まっている。最新製品のGALAXY S IIIはHTCやソニーのAndroidスマートフォン上位機種より一歩抜きん出た性能とデザインを備えていることから、発売前から高い注目を浴びていたようだ。台湾各地にあるサムスン電子の販売店には夜遅くまでGALAXY S IIIを求める客の数が耐えなかったという。

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発売日直後の台北市内の繁華街にあるサムスン電子販売店。夜遅くまで客足が絶えない


そして、日本より3日早い、6月25日にはお膝元の韓国での販売が始まった。韓国ではシェア50%を握る最大キャリア、SKテレコムからの発売で、クアッドコアCPU+3G搭載品となる。だが7月中にはクアッドコアCPU+LTEの上位モデルを3つあるすべての事業者から発売する予定だという。

LTE版を待たずして先行して3G版を出すのは無駄なようにも思えるが、LGエレクトロニクスなどのライバルメーカーが新製品を投入していることから、少しでも早く対抗製品を出す必要もあるのだろう。韓国や海外では日本のように、通信事業者が本来ライバルとなるメーカーの製品を一同に集めて新製品発表会を行うことはない。すなわちメーカー間の競争というものは、事業者とは無関係に熾烈なのが実情なのだ。

※スペック記載内容に間違いがありましたので訂正しました

この夏は世界中から大きな注目を受けるであろうGALAXY S IIIだが、秋になれば「iPhone 5」の噂が出てくるだろう。そうなれば売れ行きにも大きな影響が出るはずだ。GALAXY S IIIがどれほどのヒット商品になるのか、この夏の販売動向には業界全体が注目している。

記事執筆:山根康宏


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