スマートフォンが普及してきた現場では何が起こっているのか

今より2004年にケータイ販売業界に飛び込み、2013年3月までずっとケータイの販売をしていた筆者。昨年3月に終了したNTTドコモの「mova」を代表としたPDC(日本の第2世代携帯電話)全盛期から、3G(第3世代携帯電話)への進化、さらに、スマートフォンの登場、そして、携帯電話以外の機器への通信機能の拡大、最近も話題となったいた強制オプション問題などさまざまな時代を体験してきました。

そこで、販売現場上がりの筆者が当時現場で起こっていたこと、思ったことなどを書いてみようと思います。

今回は、iPhoneやiPadなどのAppleのシェアが非常に高い日本において、世界市場から見ると苦戦しているといってもいいAndroid陣営のメーカーがどのような戦略を取ったら良いのか、日本のユーザー目線で考えてみたいと思います。

筆者が携帯電話の販売をやめる直前、2013年初頭では、ITリテラシーの高い人(いわゆる「PC」や「携帯電話」などに詳しい人)や若い人、コミュニケーションやSNSが好きな人、ゲームが好きな人はすでにスマホを持っているという状況でした。

しかしながら、2013年8月30日付けの日経BPコンサルティングによる調査では、日本国内でのスマートフォン普及率はいまだに28.2にとどまっているとのことです。また、各携帯電話事業者が公にしている情報からもまだ半数程度は既存のフィーチャーフォン(ケータイ)であるようです。

そんな日本の携帯電話ユーザーの半数以上いるであろうフィーチャーフォン利用者はどのような人なのでしょうか。

これは販売員をやっているときのお客様から「仕事の都合で」や「フィーチャーフォンが好きだから」「スマホやタブレットとの2台持ち用」「通話用」などと、明確な目的があって持っている人がほとんどなようでした。

そのような環境下で、さらにこれから「スマホにかえようかな」という人はどのような人なのかなというと、主に「保守的、ITリテラシーは低い」という人が多くなるかと思います。

そこで、販売員時代に店頭で良く聞かれたことを書いてみます。

「iPhoneとスマホって何が違うんですか?」
FacebookなどのSNSをやっているような人は、スマホという大きなくくりがあって、その中に「iPhone」や「Android」と分かれているということがわかりますが、この質問の前提となっているのは、フィーチャーフォンは「ぱかぱか(ケータイ、特に“折りたたみ型”を指す)」、「iPhone」、「スマホ」の3種類があるというものです。つまり、「Android」の中でいかに差別化をしても、所詮は「iPhoneじゃない何か」でしかありません。

「スマホってなにができるの?」や「これは何ができるの?」
これも多かったです。まず、電話ができる、メールができる、Webができる、ゲームができるというようなことを羅列して説明すると、たいてい不機嫌になられます。この質問の意図は「スマホを導入することで、実生活で何が便利になるの?」です。つまり、今までスマホを利用しなくても不便ではなかったのですが、周りが持っているので何が便利になるのかを聞きたい、というわけです。そして、この質問は次に続きます。

「いや、必要ないんだけど周りが持ってるからねー」
もちろん、「必要ないなら買わないという選択肢もありますよ。」とさんざん思いましたが、つまり保守的な人でも周囲の人がスマホばかりになると取り残されている感じがして、不安になります。そして、先ほどの質問に続くわけです。

「スマホ持つと高いよね」
多少知識がある人からはこういった質問もありました。その通りで、実際、スマホのほうがフィーチャーフォンよりも利用料金が高く設定されています。改めて店頭スタッフに言いたくなるぐらい高くなりますよね。カタログに書いてある料金でもパケット代は高いなと思います。

これは「ケータイで月々2,000円ぐらいだったのに、スマホにすると7,000円ぐらいになるじゃないの?」ということで、確かにプラス5,000円程度は高いです。ちなみに、MVNOあたりをわかりやすく薦めても「うさんくさい契約を押し付けようとしている」と捉える場合が多いです。MVNOはしょせん、ITリテラシーの高いわかっている人向けのアイテムなんですね。もう少し市民権が必要です。

「あれやってよ」や「これ設定しておいてよ」
これは、操作方法を聞いて自分でやるのではなく、完全に任せて「設定しといて」のパターンです。まず、設定方法や操作方法を覚える気がありません。なぜかと言うと、スマホという今までにない新しい製品を持ち、なおかつ覚えるのには多大なパワーが必要とされます。

にもかかわらず、もともと興味がなく、流されて買った層は当然そんなパワーを費やしたくありません。つまり、この「設定よろしく」はそこまでのパワーを出すための労力をスマホに割こうというような人は少ないのです。


以上のことから、日本で大人気となっているiPhoneのシェアが高い理由としては、以下のようなことが考えられると感じています。

iPhone 3GSの頃にライバルが居なかった
当時は、まだまだ使い勝手やデザインなどが微妙なAndroidや、終わりかけているWindows Mobileしかありませんでした。iPhoneはその独特の操作性やアカウント上でのアプリ購入課金(同じApple IDで購入したアプリは、機種変更しても購入済みになるけれども、Androidなどに変更すると再度買いなおしになってしまいます)の兼ね合いから、一回iPhoneを持つとそのままiPhoneという流れができます。

周りがiPhoneだから
現在、これが一番大きな理由だと思われます。周りりがiPhoneだと何がいいのでしょうか?これは「教えあえる」ということ、特に詳しい人が1人でもいれば「教えてもらえる」ことになります。このコミュニケーションが必要なことが最も大きい理由で、さらに、ここから各SNSやLINEなどといったツールが流行っていることにつながってきます。アプリを自分で検索して入れる、雑誌を買ってみて調べてから入れるという人よりもまずは「詳しそうな人に教えてもらう」パターンが多いです。すると、その「詳しそうなひと」は大抵iPhoneを持ってます。

操作性が一元化されている
メーカーごとに特色が出やすいAndroidに比べて、iPhoneの使い勝手は(OSバージョンの違いはあったとしても)基本的にひとつです。よって、一般ユーザーからすると「Android=難しそう」というイメージがあるようです。事実、Androidが難しいという人は多くいました。

知り合いと同じアプリが使える
これも「周りがiPhoneだから」に近いのですが、メッセンジャー系やゲーム系アプリで「知り合いと同じ」を選択する率は若い人ほど大きくなります。最近では、同じアプリがAndroidにもあることがほとんどですが、それでも結局Androidで使える同じアプリでもユーザーインターフェース(UI)が少しでも違うとNGだったりします。いわゆる仲間意識、横のつながり、ハブられたくない、iPhoneを持って同じアプリで同じように使うと仲間っぽい……みたいな感じです。

ウィルス怖い
意外と聞かれるのが「ウィルス」についてです。度々、新聞に載ったり、TVで報道されるので、どうやら「スマホのウィルスは怖い」が浸透しています。それはそれで良いのですが、それに加えて「ウィルス対策は難しそう、自分ではできなさそう」が加わります。すると、ウィルス対策をする必要のないと思われているiPhoneが選択肢に入ります。

売り場のコーナーが分かれている
実は販売店や買いに来たお客としてはこれが非常に大きくて、「iPhoneとそれ以外のスマホ」の元となっています。今、携帯電話の売り場は「フィーチャーフォンコーナー」「スマホコーナー」「iPhoneコーナー」のように分かれています。すると、最初に書いた3つの選択肢、つまり、スマホとiPhoneは別となっていくわけです。


上記を踏まえたうえで、iPhoneに対抗するAndroidスマホ(もしくは新規参入するであろう第3のOSと言われる「Tizen」や「Firefox OS」など)を流行させるにはどうすれば良いのでしょうか。

アカデミックパックの導入
このスマホに限り学生は安いよ!というものを独自に展開します。学生間でのシェアを伸ばすことで、みんなが持っているからこのスマホにしたいなという流れを作ります。

追加料金で新モデルを!
月々のオプション料金で、1年ないし2年に一回新しいスマホと交換できます。解約率低下にもつながります。

新しい価値を提案
Androidの中でいかに頑張っても「iPhoneじゃないスマホ」でしかありません。第4の選択肢になる必要があります。これが比較的うまくいっているのが、Xperiaなんだと思います。フィーチャーフォン、iPhone、スマホの次に分かれて認識されているのが、現在はXperiaでしょう。

対象ユーザーをきちんと絞る
誰でも使えます!高性能ですし、シンプルです!と、誰にでも訴求できるような内容は逆に売りがわかりにくくなってしまいます。

MVNO事業者と組んでみる
このスマホを買うと、毎月945円(しかも無設定)でパケット使い放題であれば、スマホ=高いと考えている人に響くかもしれませんし、MVNO事業者と契約する敷居も低くなります。

SIMフリーモデルの投入
Nexus 5と同じ方式です。いっそキャリアから離れてしまい、手頃な価格で売ってみる方法も考えられます。シャープのスマホがSIMフリー5万円で販売されていたらインパクトは絶大でしょう。

大きな店頭露出
Web露出はいかに頑張ってもWebをあまり見ない人には響きません。実際、スマホ向けゲームでもテレビCMを行うとダウンロード数が急激に伸びます。店頭やテレビといったリアルや大衆メディアでの露出、しかも、目立つものが必要となります。

読者モデルに持ってもらう
わかりやすいのは「雑誌の読者モデルが使っているスマホ~」というのはいかがでしょう。芸能人でも構いませんが。

上記のようなものを考えました。iPhone以外のその他のスマホになりたくないな、という場合には検討してみても良いかもしれませんね。



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