せっかくのLTEだが音声通話でポテンシャルを発揮するのはこれから |
2013年冬モデルも多くが発売され、各社がデータ通信サービスLTEの通信速度を盛んにアピールしています。しかしながらスマートフォンを携帯電話としてみたとき、LTEは音声通話にあまり関わっていないことをご存知でしょうか? 少なくとも現在国内で流通しているLTEスマートフォンは、音声通話を行うときにはLTEより前世代の通信方式(いわゆる3G)を使っています。
今回の連載「スマホのちょっと深いとこ」ではLTEスマートフォンの音声通話について、3Gを併用する現状とLTEだけで実現する将来見通しを紹介します。スマートフォンの進歩が行き詰まったと思っている人も、さらなる進歩を期待できるようになるかもしれません。
【LTEで待ち受け、3Gで通話】
デジタル携帯電話においては、第3世代の通信方式(いわゆる3G)までは音声通話を担当する通信方式とデータ(パケット)通信を担当する通信方式の両方が定められていました。しかしLTEにおいては、音声通話はデータ通信の一部として扱うことを想定して、データ通信の規格のみが定められました。
そのため現状のLTEスマートフォンではデータ通信のみにLTEが用いられ、音声通話をするときにはLTEを使わず3G通信を使用しています。電話を発信するときにはスマートフォン自身がLTEから3Gに切り替えて発信を行い、着信の場合はLTEで待ち受けている状態から3Gに着信を引き渡しています(*1)(*2)。
*1: このLTEから3Gへ引き渡して着信させる方式をCSフォールバックと呼びます。
*2: 待ち受け自体はLTEで行われるため、音声着信時にLTEが全く関わっていないわけではありません。
この挙動は、アンテナピクトに「LTE」(あるいは「4G」)と表示されている状態で電話がかかってくると、着信音が鳴る前にアンテナピクトの表示が「3G」に切り替わることで確認できます。
着信時の動画。「4G」「3G」表示の変化に注目
【2014年には「LTEで携帯電話の音声通話」が実現?】
現状のままではせっかくのLTEネットワークが有効に活用できないため、最終的には音声通話もデータとしてLTEで通信することが計画されています。すでにLINEやSkype、各種IP電話サービスなど、データ通信で通話を実現するサービス(*3)が存在していますが、同じような仕組みを携帯電話番号(090 / 080 / 070)でも使えるしくみ(*4)が国内でも2014年以降に利用可能になる見込みです。
*3: VoIP(Voice over IP):インターネットで用いられるIPネットワークで音声通信する仕組み。
*4: VoIPに対して、LTEで音声通信するという意味でVoLTE(Voice over LTE)と呼ばれます。
LTE上の音声通話はより高音質で柔軟な通話サービスを可能にする一方、音声通話用としての3Gネットワークの重要性を低下させ、LTEへの移行を促進させます。このことからLTE上の音声通話は音声通話・データ通信の双方にとってより大きな進歩を促すきっかけとなることでしょう。
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