医療機関における携帯電話などの使用に関する指針案が公開!

電波環境協議会(EMCC)は30日、医療機関における携帯電話等の使用に関する作業部会において「医療機関内での携帯電話等の使用の在り方についての 指針(案)」および「医療機関内での携帯電話等の使用の在り方についての報告書(案)」を公開し、2014年7月22日(火)正午まで意見募集を行っています。

案では病院などの医療機関における待合室や病室、ロビー、食堂、廊下、エレベーターホールといった場所では携帯電話の使用を可能にするといった現状での使用を控える状態から緩和する方針が示されています。

また、一方で、診察室では診察の妨げや他の患者の迷惑にならないように使用は控えるなどの配慮が望ましい、手術室や集中治療室(ICUなど)、検査室、治療室などの生命維持管理装置といった医用電気機器があるというような場所ではリスクが非常に大きいものが多くあることから使用は原則として禁止すべきであることが示されています。

なお、個々の医療機関によって医療設備の状況などが異なることから、指針はあくまで各医療機関が独自に携帯電話などの適切な使用ルールを設定するための基準として設定するものとしています。

電波環境協議会は不要電波による障害を防止し除去するための対策を協議するために総務省などの関係省庁や電波関連組織で構成されています。2002年までは不要電波問題対策協議会。

今回、医療機関における携帯電話等の使用について、これまでは医療機器の電磁的耐性に関する薬事法(法律第145号)に基づく規制や、1999年に不要電波問題対策協議会から公表された指針およびマナーの問題などを総合的に勘案して、各医療機関において独自にルールが定められてきましたが、一方で、携帯電話などの日常生活への浸透および2G携帯電話サービスの廃止、医療機器の電磁的耐性に関する性能の向上などによって状況が大きく変化してきているため新たな指針を設定すべく案を取りまとめたとのこと。

取りまとめられた指針案では、まず、離隔距離の設定として国際規格で用いられている推奨分離距離などを参考にし、影響が懸念される医用電気機器から1m程度離すことを目安とするとのこと。ただし、各医療機関において独自に行った試験の結果や医用電気機器の取扱説明書からの情報などをもとに安全性を確認している場合は、1m程度よりも短い離隔距離を設定することができるほか、医用電気機器を使用している患者(体外式ペースメーカ使用者など)が付近にいる場合、同様に医用電気機器からの離隔距離を設定することが必要であるとしています。

また、マナーの観点から共用空間での携帯電話による通話などは、他の患者の静養を妨げる恐れがあるため、各医療機関においてマナーの観点を考慮した使用制限を設けることが適切であるとしながら、具体的なルールの内容は各医療機関の状況を勘案して、それぞれ検討・設定することになっています。

一方、場所ごとの使用ルールの設定が必要であり、待合室およびロビー、食堂、廊下、エレベーターホールなどの共用スペースではマナーには配慮しつつ、通話などを含めて使用可能とするほか、病室でもを使用可能とすることができるとなっています。

診察室では診察の妨げや他の患者の迷惑にならないように使用は控える等の配慮がなされることが望ましいが、携帯電話の電源を切る必要はないとのこと。

もちろん、万が一影響が発生した場合のリスクが非常に大きいものが多くある手術室や集中治療室(ICUなど)、検査室、治療室などでは使用は原則として禁止すべきであるとしています。

この他、医療従事者向けの携帯電話端末使用ルールも設定されているほか、医療機関での携帯電話の使用ルールの周知や携帯電話以外の無線通信機器(PHSや無線LAN、フェムトセルなど)の使用についても定義されています。

今後は、取りまとめられた案に対して寄せられた意見を踏まえ、速やかに公表する予定となっており、各医療機関では公表された指針に沿って独自にルールを決め、利用者などの周知するように案内しています。

記事執筆:memn0ck


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電波環境協議会:「医療機関における携帯電話等の使用に関する指針」に対する意見募集