ソフトバンクとスプリントで共同調達するスマホ「AQUOS CRYSTAL」のユーザーメリットはどこに?

ソフトバンクモバイルは18日、ソフトバンクグループとして戦略的な製品や新サービスを披露する「新商品発表会」を都内で開催し、ソフトバンク傘下で米国(アメリカ)の携帯電話会社であるSprint(スプリント)と共同調達するシャープ製スマートフォン「AQUOS CRYSTAL」シリーズや共同開発・提供するアプリ配信サービス「App Pass」などを発表しています。

発表会ではこれまでのようなソフトバンクグループ代表取締役社長の孫正義氏の姿はなく、他の幹部もいない中、ソフトバンクモバイルマーケティングコミュニケーション本部マーケティング戦略統括部の統括部長を務める田原眞紀氏が登壇。

一方、スマートフォンを開発するシャープからは異例とも言える代表取締役社長の高橋興三氏がゲストとして登場し、携帯電話会社およびメーカーの立場から“シナジー効果”によるメリットが語られたほか、それらによって得られるユーザーのメリットについても言及されました。

今回は、発表会の模様を中心にそれぞれのシナジーによってどのようなメリットがあるのか解説していきたいと思います。

02
プレゼンテーションを行った田原眞紀氏

10

11

09
共同調達される新機種「AQUOS CRYSTAL」。国内ではソフトバンクモバイルから「AQUOS CRYSTAL 305SH」として、米国ではスプリントのほか、Virgin MobileやBoost Mobileの3つのブランドにて「AQUOS CRYSTAL 306SH」として販売予定

まず、新機種としてシャープが開発したディスプレイの周りの左右と上のフレーム(ベゼルまたは額縁)がほぼない「フレームレス構造」をはじめて採用した「AQUOS CRYSTAL」をソフトバンクグループで独占販売することが発表されました。発売日は日本ではソフトバンクモバイルから2014年8月29日(金)、米国ではスプリントなどから9月に販売予定となります。製品情報についてはすでに以下の記事を公開していますので、そちらを参照してください。

ソフトバンク、新しいシャープ製スマホ「AQUOS CRYSTAL 305SH」を発表!初のフレームレス構造によるクリスタルディスプレイ搭載で日米共同調達へ――「VoLTE」にもアップデートで対応 - S-MAX
日米共同調達のコスト効果はどれくらい?事前予約開始したソフトバンクの無駄を省いたフレームレススマホ「AQUOS CRYSTAL 305SH」の気になる価格をチェック - S-MAX
正面全部液晶画面!?フレームレスデザインのソフトバンク向けグローバルスマホ「AQUOS CRYSTAL 305SH」を写真でチェック【レポート】 - S-MAX

03 04

05 06

07 08
AQUOS CRYSTALの特長を紹介

一方で、ソフトバンクモバイルとスプリントなどで共同開発・調達することで、コストの削減や部品調達で有利に働くなどのシナジー効果としてのスケールメリットが得られることが紹介されました。

これにより、実際に米国のスプリントでは239.99ドル(約25,000円)という米国ではミドルからハイミドルクラスになるAQUOS CRYSTALはなかなかコストパフォーマンスの良い機種となっています。

ただし、日本におけるソフトバンクモバイル向けではなぜか実売1万5千円程度するHarman Kardon製ワイヤレススピーカー「harman Kardon ONYX STUDIO」が付属し、新規契約および他社から乗り換え(MNP)では実質負担額0円ながらも本体価格は5万円を超えており、他のハイエンドモデルと比べれば低く設定されているものの米国での価格と比べるとインパクトが少なくなっており、ワイヤレススピーカーが必要ない人にとっては無駄に高くなっているという印象を与え、必要な場合でも別途購入したほうが安くなるため、AQUOS CRYSTALの最大のメリットを殺してしまっており、少なくとも日本においては戦略的に残念なものとなっています。

その他のシナジーとしては販売台数を多く見積もれるため、各種周辺機器も専用のものをより品種を多く作れ、実際に公式アクセサリーブランド「SoftBank SELECTION」から多くのアクセサリーが発売されます。

また、スプリントは米国市場においてシャープの液晶テレビブランド「AQUOS(アクオス)」を冠したスマホを安価で展開でき、さらに、フレームレスという見た目にインパクトがあるモデルをいち早く投入できることで、他社との差別を行えるメリットがあるとのこと。

15
シャープの高橋氏

開発メーカーであるシャープはソフトバンクグループに独占供給でき、これまで海外市場ではうまく販売できていなかったことから、これを機に米国市場での販売によって販売台数を増加させるメリットがあるほか、米国向けの背面パネルには「SHARP」ロゴも印字されており、知名度向上も期待されます。

また、共同調達をすることで、AQUOS CRYSTALはいわゆる“ガラパゴス”とも揶揄される日本独自仕様(Felicaやワンセグなど)の機能が省かれていますが、田原氏はこれらの機能について「必ずしも必要ではない人が結構いる。共同調達による(コスト削減などの)シナジー効果を最大限に活かすためにこういった仕様になった。」と語っていました。

14

16
共同開発プラットフォームを用意。

さらに、今回、ソフトバンクモバイルでは共同開発・調達をするに当たり、Androidを搭載した機種のキャリア設定やプリインストールするアプリケーション(アプリ)およびコンテンツなどを管理する「共同開発プラットフォーム」を整備したとのことで、今後、共同開発・調達の共通仕様としてこのプラットフォームの採用を他のメーカーにも呼びかけていくということです。

これにより、シャープ以外のメーカーでも簡単にソフトバンクモバイル向け、スプリント向けの各仕様を用意することが可能になるとしています。

12

13
日本独自仕様に対応したAQUOS CRYSTAL X。

一方、現状では日本独自仕様に対応していることがAndroid搭載機種のメリットにもなっており、これについては同時に発表されたAQUOS CRYSTAL Xのように各地域向けにカスタマイズした製品を引き続き投入するとのことです。AQUOS CRYSTAL Xについては以下の記事を参照してください。

ソフトバンク、5.5インチフルHD液晶搭載フレームレススマホ「AQUOS CRYSTAL X」を発表!VoLTEやおサイフケータイなどに対応のプレミアムモデル - S-MAX
大きさも性能もプレミアム!国内仕様にカスタマイズされたソフトバンク向けハイエンドスマホ「AQUOS CRYSTAL X」を写真でチェック【レポート】 - S-MAX

17

18
ソフトバンクモバイルとスプリントで共同開発・提供するアプリ配信サービスのApp Passについても紹介。

この他、ソフトバンクモバイルとスプリントで共同開発・提供するアプリ配信サービスのApp Passも発表され、日本ではAQUOS CRYSTALが発売される8月29日から提供されます。利用料は月額370円(税抜)。

このようにハードウェアだけではなく、ソフトウェアやサービスも日米共通で開発・提供することで、アプリ開発会社も多く傘下に抱えるソフトバンクグループ全体としてのシナジー効果を加速させていくということです。

ソフトバンク、4Gスマホ向けの新しいコンテンツ定額サービス「App Pass」を発表!総額4万円以上の人気アプリが使い放題――Sprintと共同開発・提供で日本では8月29日に開始 - S-MAX
ソフトバンク、スマホを自分好みに簡単丸ごとカスタマイズできる「スマートカスタム」を8月29日より提供!テーマごとに厳選した壁紙やアプリなどをまとめてダウンロードして自動適用 - S-MAX

20
発表会ではソフトバンクが発売予定のロボット「Pepper」も登場。


記事執筆:S-MAX編集部
写真撮影:あるかでぃあ


■関連リンク
エスマックス(S-MAX)
エスマックス(S-MAX) smaxjp on Twitter
S-MAX - Facebookページ
説明会資料・動画 | 企業・IR | ソフトバンク