既報通り、NTTドコモは19日、今冬および来春に発売する「2016-2017冬春モデル」を発表し、約4.6インチHD(720×1280ドット)TFT液晶「トリルミナスディスプレイ for mobile」や3GB内蔵メモリー(RAM)、32GB内蔵ストレージなどを搭載した小型かつバランスの取れた性能を備えたAndroid 6.0(開発コード名:Marshmallow)採用のスマートフォン(スマホ)「Xperia X Compact SO-02J(以下、SO-02J)」(ソニーモバイルコミュニケーションズ製)を発表しました。
発売時期は2016年11月上旬を予定し、すでにドコモショップ店頭や公式Webストア「
Xperiaシリーズでも「Compact」の名を冠したものはディスプレイサイズが4.6インチと過去を通じて一貫しており、コンパクトと呼ぶには若干大きめのような気もしますが、5インチオーバーの大型スマホがメジャーとなった今でも継続的にラインナップされる貴重な小型スマホです。
その背景には手に収まりやすく片手操作の楽な機種への根強い人気があり、常に一定の支持層を得ているように思われます。今回のSO-02Jではどのような改良と工夫が施されたのでしょうか。
発表会場のタッチ&トライコーナーにて試作機に触れる機会がありましたので、写真や動画とともにご紹介します。なお、詳細な仕様や性能などはこちらの記事を御覧ください。
■本体を包み込むようなループデザインと陶器のような質感
SO-02Jの最も目を引くポイントは独特のデザインです。本体上下側面は持ちやすく手にフィットする丸い角で構成される一方、上下側面はスパッと切り落としたように鋭角で、引き出すタイプの小さなカードケースのような印象があります。
無駄な曲線を設けないことで横幅は65mmとかなりコンパクトに収まっており、また9.5mmと若干幅のある厚さでもうまくデザインに昇華しています。
本機でも昨冬モデル「Xperia Z5 Compact」と同様に電源キーは指紋認証センサーを兼ねており、本体を持ち上げ電源を入れる動作で本人認証が完了する理に適った構成となっています。また若干厚めであることもテーブルなどから取り上げやすい理由の1つとなっており、使いやすさや持ちやすさにフォーカスした端末としての良さを引き出しています。
またデザイン面においてのもう1つの大きな特徴が塗装の厚みです。本機は外装が樹脂で出来ておりそこへ塗装していますが、通常クリアを含めて3層の塗装加工で済まされるところを本機ではクリア層の前に1層増やし、4層の塗装を施しています。これによって塗装の厚みが増し、しっとりとした陶器のような独特の質感を生み出しています。
4層塗装になると塗料の厚みのムラが目立つようになって表面が波打って見えるデメリットがありますが、本機の場合はそれを逆手に取ってハンドメイド的な柔らかさを演出しているように感じます。Xperiaシリーズというと平滑なガラス板やソリッドなアルミ板のようなイメージが強くありますが、本機が持つ「ゆらぎ」のような表現はシリーズの中でも強い個性を出しているのではないでしょうか。
ボディー素材を樹脂にして塗装の工夫で使い心地を追求している点はコストとの兼ね合いも良く非常に満足感の高い仕上げですが、塗装であるがゆえに若干傷に弱い点は否めません。ミストブルーやホワイトなど明るい色のボディーだと殆ど傷は目立ちませんが、ユニバースブラックなどでは光の加減によって擦り傷程度でも白く浮いて見えることがあるため、細かな傷が気になる方は店頭の実機やモックなどで一度確認してみた方が良いかもしれません。
本体デザインや質感については以下の動画からもご覧いただけます。
【NTTドコモ向けソニー製スマホ「Xperia X Compact SO-02J」のファーストインプレッションムービー】
動画リンク:https://youtu.be/e470pnfZiv4
■カメラ性能や音楽再生にも強みを発揮
性能面ではエンターテインメント性能の充実ぶりが光ります。メインカメラには上位機種である「Xperia XZ SO-01J」と同じ有効約2300万画素の裏面照射型CMOSを採用。AFセンサーにもこれまで採用してきた「コントラストAF」や「位相差AF」に加え、レーザーAFセンサーによるAF機能を搭載。3つのAF方式を組み合わせることでより正確で高速なAF性能を実現しています。
また赤外線を用いた「RGBC-IRセンサー」を採用したことでより見た目に近いカラーバランスの再現にも成功。光量の不足しがちな屋内や暖色系の照明を多用した場所などでも不自然な色味を抑えた撮影が可能です。
音質面ではソニー独自の高音質化技術「DSEE-HX」を搭載。これは主にウォークマンシリーズなどで採用されている技術であり、圧縮音源などで失われた音情報を独自のアルゴリズムによって補完することでアップスケーリングするというもので、いわゆる「失われた情報を復元する」ものではなく、飽くまでも「聴きやすく美しい音に『整形する』技術」だと解釈したほうがより正確だと思われます。
しかしこの技術のメリットは非常に高く、圧縮率の高いMP3音源などではしばしば音が平坦になり臨場感や音場の広がりが失われがちですが、DSEE-HXを有効化すると音の余韻や表現の幅が広がったことが明確に感じ取れ、より音楽を豊かに楽しめる印象です。
本機はハイレゾ音源にも対応しているため真の意味での高音質聴取を楽しみたい場合はハイレゾ音源を用いるのが正統派ですが、一般的に普及しているMP3のような圧縮音源でもより豊かな表現で気持ちよく楽しめるDSEE-HXは非常に効果の高くスマホと相性の良い技術だと感じました。
■機能と性能の取捨選択が賢い1台
小型スマホというと廉価な代わりに性能もそれなりというイメージが強くありますが、本機ではディスプレイなどをHD(1280×720ドット)に抑えたりボディーの材質を樹脂にするなどで価格を抑えつつも、肝心の性能面ではカメラでもメモリ容量でもハイエンドと遜色のないクオリティを保つなど、機能や性能の取捨選択が上手い印象があります。
その上でMNPや新規購入であれば2万円台半ばで購入ができるという手頃感があり、選択肢の少ない小型スマホの中でも有力な購入候補となり得る要素が詰まっています。片手で扱いやすいスマホが欲しいという要望で検討できるのはもちろんのこと、安価に高性能なカメラや音楽再生機能を手に入れたいという要望にも応えられるコストパフォーマンスの高い1台ではないでしょうか。
◯主な仕様
製品名 | Xperia X Compact SO-02J |
メーカー | ソニーモバイルコミュニケーションズ |
本体色 | Mist Blue White Universe Black Soft Pink |
サイズ | 約129×65×9.5mm |
質量 | 約135g |
OS | Android 6.0 |
ディスプレイ | 約4.6インチTFT液晶(トリルミナスディスプレイ for mobile) HD(720×1280ドット) |
CPU | ヘキサコア(1.8GHz×2コア+1.4GHz×4コア) |
内蔵メモリー(RAM) | 3GB |
内蔵ストレージ | 32GB |
外部ストレージ (最大対応容量) | 256GB |
リアカメラ (撮像素子種類、有効画素数/記録画素数) | 裏面照射積層型CMOS 約2300万画素/約2290万画素 |
インカメラ (撮像素子種類、有効画素数/記録画素数) | 裏面照射型CMOS 約510万画素/約500万画素 |
フォトライト/フラッシュ | ○/○ |
手ブレ補正/手ブレ軽減 | ○/― |
オートフォーカス | ○ |
バッテリー容量 | 2700mAh |
連続待受時間[静止時] (LTE/3G/GSM) | 約540/600/470時間 |
連続通話時間 (LTE/3G/GSM) | 約850/730/620分 |
電池持ち時間※ | 約95時間 |
充電時間 [ACアダプタ05/ACアダプタ06] | ー/約155分 |
PREMIUM 4G対応 | ○ |
通信速度 (受信時最大/送信時最大) | 262.5Mbps/50Mbps |
LTE国内対応周波数 (2GHz/1.7GHz/800MHz/1.5GHz/700MHz/3.5GHz) | ○/○/○/○/○/― |
LTE国際ローミング (2GHz/1.7GHz/2.6GHz/700MHz/3.5GHz) | ○/○/○/○/― |
TD-LTE対応 | ○ |
VoLTE/VoLTE(HD+)対応 | ○/― |
海外対応 | ○ |
ビデオコール対応 | ○ |
連続ビデオコール時間 | 約280分 |
UIMカード形状 | nanoUIM |
SIMロック解除対応 | ○ |
Wi-Fi(IEEE802.11a/b/g/n/ac) [対応通信規格] | ○/○/○/○/○ |
テザリング (同時接続可能数) | 15台(Wi-Fi:10台+USB:1台+Bluetooth(PAN):4台を併用) |
Bluetooth (対応バージョン) | ○(4.2) |
赤外線通信 | ― |
防水/防塵 | ○/○ |
ワンセグ/フルセグ | ○/― |
FeliCa/NFC(CE/P2P/RW) | ○/○(○/○/○) |
生体認証 (ログイン・決済) | ○(指紋) |
シンプルメニュー | ○ |
非常用節電 | ○ |
ハイレゾオーディオ対応 | ○ |
伝言メモ | ○ |
FMトランスミッター | ― |
記事執筆:あるかでぃあ
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