"いまどき"の格安スマホの選び方をIIJの中の人が伝授! |
いわゆる格安SIMとなる仮想移動体通信事業者(MVNO)による携帯電話サービス「IIJmio」など展開するインターネットイニシアティブ(以下、IIJ)がユーザー向けイベント「IIJmio meeting」の第14回を大阪と東京の2箇所で開催しました。
筆者も定期的に参加しており、今回も2017年1月28日に飯田橋に所在するIIJ社内にて実施された東京会場にお邪魔してきました。そんなIIJmio meeting 14の模様を3回に分けてレポートしていますが、今回は前回の展示に続いて初心者向けのセッションの様子をご紹介します。
IIJでは2年前に開催された「IIJmio meeting 6」でも「スマホの選び方」と題してSIMフリースマートフォン(スマホ)などのいわゆる「格安スマホ」の選び方を紹介していましたが、今では製品のスペックも向上し、仕様やサービスも変化しています。そこで、IIJでは2017年の視点で格安スマホの選び方を紹介していました。
2年前に非常に流行した製品のひとつであるASUSTeK Computer(以下、ASUS)製スマホ「ZenFone 5」と昨年11月に発売されたばかりの同じくASUS製スマホ「ZenFone 3 Laser」のスペックを比較すると、CPUのコア数が4コアから8コアに、内蔵メモリー(RAM)は2GBから4GBに、内蔵ストレージは16GBから32GBにといずれも数値上では2倍に増えています。
これらの数値が2倍になったからと言って必ずしも2倍の性能があるというわけではありませんが、主要なベンチマークアプリである「AnTuTu Benchmark」などの数値で比較してもおおよそ2倍のスコアになるとのことでした。
また2年前に格安スマホの選び方として重視されてきたのはサイズや重量、スペックなどと言った実用重視な項目でした。それから2年が経過し、格安スマホを手がけるメーカー同士の競争が加速したこともあってか、全体的に性能は大きく向上しており、比較する時に見るべき項目が増えてきています。
その中で、近頃では「VoLTE(VoLTE)」という言葉を聞く機会が増えてきています。VoLTEとはLTE回線を利用した音声通話システムのことで、従来の3Gを用いたシステムと比較すると高音質な通話が可能で、かつ低遅延な為快適な通話をすることが可能となっています。
IIJmioではNTTドコモの回線を利用した「タイプD」とau(KDDI・沖縄セルラー電話)の回線を利用した「タイプA」の2種類のサービスが存在し、タイプDの場合はVoLTE非対応機種での使用が可能ですが、タイプAではIIJがVoLTE専用のSIMカードのみを提供している関係で端末側がauのVoLTEに対応していることが必須となります。
また、VoLTEに対応しているからと言ってどの移動体通信事業者(MNO)でもVoLTEが使用できるとは限らないので、あらかじめ対応しているかといったことをメーカーの公式Webサイトなどでチェックする必要があります。
さらに無線LAN(Wi-Fi)には大きく分けて2.4GHz帯と5.xGHz帯の2つの帯域を使用しており、古くから使用されている2.4GHz帯は電子レンジなどが原因で電波干渉を受けやすいという弱点があります。
一方で5.xGHz帯は電波干渉を受けにくいため、「通信を安定させたい」や「早い通信環境で接続したい」という目的があるのであれば5.xGHz帯の対応を見るのも1つのポイントとなっています。
その他、指紋で簡単に端末のロックを解除できる指紋センサーやジャイロセンサーなどのセンサーは、今までコストカットの影響で削られがちでしたが、最近では安い価格帯の製品でも当然のように搭載されるようになりました。
特にジャイロセンサーは昨年夏に位置情報ゲーム「Pokémon GO」(ポケモンGO)などの流行によって搭載される製品は着実に増え、かつ、"ポケモンGO"対応などというように対応・非対応を示しているメーカーが以前より増えてきています。
このようなセンサー類の対応状況は一見地味なポイントではありますが、日常から使用することを考えるとこれらのセンサーがもたらす恩恵は大きく、是非チェックしておきたいポイントとなります。
初心者向けであるかと言われると微妙な機能であるものの、非常に面白い機能が「DSDS(デュアルSIMデュアルスタンバイ)」です。DSDSとは、1台の端末に2枚のSIMカードを挿入し、それぞれの電話番号で通話待受をする機能のことを指します。
日本で現在、DSDS対応と言われているのは通常、1枚目のSIMが4G(LTE)回線が使用できるのに対して2枚目のSIMは「3G」での待受となります。若干マニアックな機能であることは自明ですが、音声のみのかけ放題SIMと格安データSIMを組み合わせるなどのテクニックもあり、用途が決まっている人にはおすすめの機能です。
もちろん、DSDS対応機種であっても1枚のSIMカードで通常通り使えますので、いずれはチャレンジしたいなんていう人にもおすすめできます。なお、DSDSをチェックする際には片方のSIMカードスロットがmicroSDカードスロットと共有かどうかも確認したいところです。
というのも、多くのDSDS対応となっている製品でも2つのSIMカードスロットのうちの1つがmicroSDカードスロットと共有となっているため、microSDカードを使う場合にはDSDSを使えないからです。
新しいといえば、今までAndroid搭載製品で広く使われてきたmicroUSB端子ですが、近年表裏両面から挿入可能な新規格「USB Type-C」端子に対応した製品が増えてきています。表裏面ともに使用することができるので向きを気にしなくても良いのでオススメです。
一方で、今までmicroUSB端子を搭載した製品を使用していた場合、今まで使用していたケーブルなどの周辺機器がそのまま使用できなくなってしまうデメリットもあります。とはいえ、USB Type-C搭載製品の広がりを見る限り、全体的にUSB Type-Cに移行していく流れがあるので、この機会に一新してしまうと言う考えもアリなのかもしれません。
今までスペックを中心に比較すべきポイントをご紹介してきましたが、スペック表からはわからない差があることも事実です。例えば、ファーウェイやASUSなどのメーカーはAndroidに対してメーカー独自のカスタマイズを実装しており、それぞれのメーカーがそれぞれ使い勝手を良くしようと努力しています。このメーカーのカスタマイズは人によっては好き好みが別れる傾向があるので、可能であれば実際に店頭などで製品を触って見ることをオススメします。
また、OSバージョンアップなどのソフトウェア更新の状況も重要です。機能の拡張や不具合改善、セキュリティーパッチの適用など更新することが端末の継続利用にはとても大切な要素となりますので、きちんとアップデートしてくれる(くれそうな)メーカーの製品を選択すると良いでしょう。
インターネット通販サイトなどを中心に製品に対するレビューが書き込まれているのを参考にしたり、メーカーが開催しているイベントに参加するなど、さまざまな機会で製品を調べ、そして実際に触れることがスマホ選びには重要です。
スマホを選ぶときのチェックポイントは、2年前でも触れていた項目に加えて、今ではさまざまな機能が搭載され始めたことによって、多角的に製品を比較することが可能となっています。
ここまで触れていたポイントはあくまでもポイントで、実際は使用する人がスマホに何を求めるのかという点が重要となってくるでしょう。例えば、カメラ重視ならデュアルカメラ搭載の「HUAWEI Mate 9」や「HUAWEI P9」がいいかな……といった具合に。
スマホを購入する際には、その製品が自分の要求に答えられる製品なのかどうかを確認することが重要となり、場合によってはスマホの情報を調べるということは良いスマホに巡り合うためにほぼ必須な条件だと言えるでしょう。
今回はIIJmio meeting 14の初心者向けセッションとして、2017年版の格安スマホの選び方について紹介しました。この記事が読者のスマホを選ぶときの1つの参考になっていただけば幸いです。次回は中・上級者向けとなる「SIMロック解除」についてのセッションの様子をご紹介したいと思います。次回は近日公開予定ですので、お楽しみに。
記事執筆:雪華
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