守らなきゃいけないのは現場の一般人だけじゃない!隊員も守るスマート消防服

東京・お台場にある東京ビッグサイトにて2018年1月17(水)~19日(金)の3日間に渡ってウェアラブル製品やその部品に素材、ウェアラブル関連技術・サービスなどを扱う企業が参加する展示会「第4回ウェアラブルEXPO」(主催:リード エグジビション ジャパン)が開催されました(併催イベントとして、第47回ネプコンジャパン・第10回オートモーティブワールド・第2回スマート工場EXPO・第2回ロボデックスも同時開催)。

モバイル関連企業も多数出展している展示会ということで、今回も取材へ行ってきましたので、数回に分けてブースレポートをお送りしたいと思います。

まずは帝人フロンティアブースにて展示されていた、火災・災害現場にて消防隊員を守るためのソリューション「スマート消防服」を紹介したいと思います。

【スマート消防服の概要】

スマート消防服は帝人(TEIJIN)が「消防機能向上への取り組み」の一環として開発したウェアラブル端末を消防服(防火服)に搭載したものです。

消防隊員は火災から身を守るために難燃性の消防服(防火服)を着用して火災現場などへ入りますが、現場の高い温度や隊員のこもり熱が体内の深部にまで蓄積されることによる熱中症のリスクを抱えており、特に夏場の暑熱環境下での熱中症対策が課題となっていたということです。

そこで、活動中の隊員が着用する消防服内の温度の計測と医学的見地と検証に基づく深部体温の予測によって熱中症のリスクを予知するものとして大阪市立大学と共同で実験・開発をしたものということです。

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スマート消防服のセンシングデバイス


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端子類は充電用のmicroUSBのみ


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防火服(消防服)の内側のポケットへ入れて使う


【隊員の状態をリアルタイムに把握できる】

スマート消防服のセンシングデバイス端末には温度センサー・傾きセンサーやGPSが内蔵されており、温度情報の他に屋外火災などの際の隊員の居場所が現場の指揮者の手元の端末で確認が可能なほか、熱中症などで隊員が倒れてしまったときにアラートで「活動なし」の通知が送られてきます。

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現場指揮者用の端末には現場内で活動している隊員の情報がリアルタイムで取得可能(会場内では5~10秒ほどの誤差はあったが)


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隊員が(熱中症などで)倒れて動かなくなると表示されるアラート

これらの隊員の状況を現場の指揮者が把握できることで、戻ってくるように指示を出すなど、隊員の身体変化を把握し、的確な部隊運用の指揮ができるなど、消防隊員の安全性の向上が期待できます。

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ブース内に展示されていた展示パネル

今回の展示では大画面のパソコン(PC)を使ってデモンストレーションしていましたが、Webブラウザー上でソリューションが動いているため、スマートフォン(スマホ)やタブレットでも動作するそうです。

今後は大阪消防局協力のもとで実際の消防隊員の活動の動きを再現し実証実験を重ねて、端末のパラメータやアルゴリズムの修正を検討していくということです。

火災などの災害の現場では取り残された一般人などを隊員たちが助けなければいけませんが、隊員たちの命もまた守られなければいけません。

今回展示されていたスマート消防服は消防隊員たちの安全性を高めて守っていくための重要なソリューションではないでしょうか。

ウェアラブルな消防服が近いうちに実装されれば、現場での二次災害が減らせるようになるかもしれませんし、こういった試みが進んで行くと良いですね!

記事執筆:河童丸


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