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ワイヤレス充電のイロハとノウハウを徹底解説! |
21日にAppleからiPhone XS/iPhone XS Maxが発売されました。筆者の手元にも無事SIMフリー版のiPhone XSの256GB・ゴールドモデルが届き、ひとまずホッとしているところです(まだ開封できていない)。iPhoneを新調するにあたり、どうせならワイヤレス充電器(無接点充電器)も新しくしようとオンラインショップで検索してみたところ、現在は実にさまざまな種類の充電器が発売されているようです。
数年前であれば安くても5,000円以上、急速充電に対応したタイプになると1万円近くもする製品が主流でしたが、現在では急速充電に対応したものでも1,000円台がほとんどで、3,000円台ともなると高級品と言えるくらいにコモディティ化しています。その牽引役となっているのがサムスン電子のGalaxyシリーズやAppleのiPhoneシリーズといったスマートフォン(スマホ)であり、現在国内で販売されているワイヤレス充電器の多くはそれらのスマホの仕様に対応しています。
しかし、ワイヤレス充電器には細かな仕様の違いや急速充電に対応させる場合に電源で気をつけるべき点があるなど、若干分かりづらい部分がいくつかあります。感性の原点からテクノロジーの特異点を俯瞰する「Arcaic Singularity」。今回はそんな少し難解なワイヤレス充電器の選び方や注意点、購入前に確認すべきポイントなどを解説します。
■対応状況と仕様の確認は確実に!
はじめに確認すべき点は「手持ちのスマホがワイヤレス充電に対応しているか」です。何を当たり前な、と思われるかもしれませんが、手元のスマホがワイヤレス充電方式(無接点充電方式)に対応していないのに充電器を買ってしまう人が稀にいるようです。例えばiPhoneの場合、iPhone 8はワイヤレス充電に対応していますがiPhone 7は対応していません。見た目がそっくりな両端末だけに間違えやすいのです。
ワイヤレス充電はコイルの電磁誘導を用いて充電する方式であるため、背面素材が金属でできている端末は基本的に対応していないと考えて間違いありません。ワイヤレス充電に対応したスマホの背面がガラスや樹脂製なのはそのためです。
また、ワイヤレス充電で急速充電を利用したい場合は対応状況にも注意です。現在はほとんどのワイヤレス充電対応スマホが「Qi(チー)」と呼ばれるワイヤレス充電方式を採用しているため充電方式そのものを気にする必要はほぼありませんが、急速充電ではスマホによって対応ワット数が異なり、場合によっては対応していない充電器を購入してしまう可能性があります。
例えばGalaxyシリーズ(Galaxy S9+/S9/S8/S8+/S7 edge/S7/S6 edge+など)では10W出力による急速充電に対応していますが、iPhoneシリーズ(iPhone XS Max/XS/XR/X/8/8 Plus)では7.5W出力による急速充電に対応しているため、どちらか一方の出力しか対応していない場合は急速充電機能を利用できない場合があります。
また急速充電に対応していないスマホや充電器の形状によってはワイヤレス充電に対応しているスマホであっても利用できない場合があります。ワイヤレス充電器を購入する際は、必ず利用可能端末と急速充電の対応状況を確認してください。
さらに、急速充電を利用する場合はワイヤレス充電器を接続する電源(ACアダプター)にも注意が必要です。安価なワイヤレス充電器の多くがその電源となるUSB方式のACアダプターを同梱していないため自前で用意する必要がありますが、その際急速充電を行うには「Quick Charge 2.0/3.0(クイックチャージ2.0/3.0)」などの高出力方式に対応した電源が必要になります。
電源となるACアダプターの選択に迷うような場合は、多少高くてもACアダプターを同梱した製品を購入したほうが良いでしょう。また商品ページなどで上記に示したような対応機種および対応方式の詳しい説明がない商品は、多少安くても購入は避けたほうが無難です。
■充電不良を起こす状況や機器の組み合わせを知っておこう
もう1つ、意外と重要なのがワイヤレス充電器の形状です。現在主流となっているのは机に平置きするマットタイプとスマホを立てて置けるスタンドタイプの2種類で、どちらにも一長一短があります。
マットタイプを選択する場合、重視したいのは大きさです。出張などで持ち歩くことが多いなら携帯性を重視して小型のものを選ぶと便利に使えますが、自宅などで据え置きするなら大きめのほうが便利です。ワイヤレス充電は前述のように電磁誘導を用いており、スマホに内蔵されたコイルとワイヤレス充電器側のコイルを正しく重ねないと充電が始まりません。
多少のズレはある程度大丈夫ですが、小さな充電器の場合スマホを上においた際に充電器が隠れてしまい、正しく重なっているのか判断しづらいことがあります。大きめのものであればスマホを載せている位置の確認がしやすいため、充電不良を起こしにくくなります。単に見た目やデザインだけで選ぶのではなく、自身の利用環境や利用状況を考えた商品選択が重要です。
スタンドタイプの場合、立て掛けて置くことからコイルの位置を確認する手間がなく充電不良を起こしにくいメリットがあります。また机の上などに置けば動画視聴などに丁度良い角度となるため、充電しながらYouTube動画などを閲覧するといった使い方も簡単にできます(ただし、急速充電時などは本体および充電器の発熱に注意)。
スタンドタイプで注意すべき点は縦置きと横置きの対応状況、そして対応端末の確認です。ほとんどの製品は縦置き・横置きのどちらにも対応しますが、稀に横置きに対応しない製品などもあります。またスマホのサイズや形状によってコイルの位置が異なり充電できない機種などもあるため、対応機種の確認は必ず行っておきましょう。
このほか、手持ちのスマホに保護用ケースや手帳型ケースなどを装着している場合も注意が必要です。いずれのケースでも厚みが3~5mm以上あると充電できない場合があります。またそれ以下の厚みであっても充電器に置いた際にスマホと充電器との間に隙間が空く場合、やはり充電不良を起こす場合があります。
ケースの材質にも注意が必要です。プラスチックやTPE(軟質樹脂素材)、ポリカーボネイト、ガラスなどの素材であれば問題ありませんが、アルミ合金やステンレスなどの金属素材の場合充電できないことが多くあります。耐衝撃性を高めた金属ケースなどを利用している方は、ワイヤレス充電が利用可能かどうかケースメーカーへ問い合わせる必要があるかもしれません。
有線充電と比べて充電速度が若干遅いのもデメリットと言えます。スマホの機種やワイヤレス充電器の種類にもよりますが、急速充電に対応していない場合有線充電と比較して2倍程度の時間がかかることが多く、急いで充電したい時には向きません。
急速充電に対応している機種であっても有線充電よりは遅い場合がほとんどなので、仕事先などで急いで充電したい時は有線で、就寝時など時間がかかっても問題ない時はワイヤレスで、と使い分けると便利でしょう。
■有線と無線を賢く使い分けてこそ
ワイヤレス充電は一般的な充電用ケーブルによる有線充電と比べて確認事項が多いようにも感じますが、正しい機器選択と正しい利用方法さえ抑えておけば実に快適な利用が可能です。
仕事などから帰宅したらスマホスタンドに立てかけるようにして置くだけで充電が始まり、「充電しなきゃ……」とケーブルを探したり抜き差しする手間が不要です。またスマホで動画視聴している間に充電が行われるため電池切れの心配もなく、そのままサッと持ち運ぶことも容易です。有線充電の際に用いる外部接続端子を痛めることもないため、端子故障のリスクを低減できるのもメリットかもしれません。
対応端末をお持ちの方は、ぜひ一度ワイヤレス充電を体験してみてください。普段私たちがスマホやタブレット、PCなどを目的やシチュエーションに応じて使い分けるように、充電方法も有線とワイヤレスを状況に応じて便利に使い分けられるようになると、とても快適なモバイルライフが過ごせると思います。
記事執筆:秋吉 健
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