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ドコモ向けSC-05Dは韓国モデルがベースになっている

NTTドコモは2012年4月6日(金)よりサムスン電子製『GALAXY Note SC-05D』の販売を開始した。これまで日本で販売されたスマートフォンの中では最も大きい5.3インチ有機ELディスプレイを採用し、専用の手書き入力ペンを備えるなどスマートフォンとしては異色の製品だ。

GALAXY Note SC-05Dはまたドコモの高速通信規格Xiに対応し、iPhoneと同じマイクロSIMカードが採用されている。さらにはNFCも搭載しており、背面の電池カバーにはNFC用のアンテナが配置されている。

日本国内向けにワンセグチューナーも内蔵されており、本体には収納式のアンテナが備わってる。GALAXY Noteは2011年冬から既に海外で発売開始されているが、上記のハードウェアスペックは韓国で販売されている製品とほぼ同等で、ベースは韓国品となっている。そのため電池カバーなどは韓国で販売されているものと共用できるようだ。

GALAXY Noteの最大の特徴はペン入力対応だが、スマートフォンに単にペンを付属させただけの製品ではない。サムスン電子は「スマートフォンでもタブレットでも無い、新しいカテゴリの製品」としてGALAXY Noteを売り出しており、この「Note型カテゴリ」としての特徴となっているのが付属するスタイラスペン、『S Pen』だ。

S Penはワコムの技術を採用したGALAXY Note専用ペンで、筆圧感知に対応するほか、クリックボタンを備えておりスクリーンキャプチャや本体操作をペンで行うことができる。そしてドコモ版のGALAXY Noteは日本語の手書き入力アプリを内蔵するなど、日本市場へのカスタマイズもさらに強化されている。

サムスン電子によると、GALAXY Noteの海外での販売台数は5ヶ月間で500万台を突破、好調な売れ行きを示している。このペースが続けば年間1000万台を超えるのは確実だろう。サムスン電子はグローバル向けに年間50機種以上ものスマートフォンを販売しているが、1機種だけでこれだけの数が売れたのは日本でも発売されたベストセラースマートフォン、GALAXY SやGALAXY S IIに次ぐものだ。実際、海外でも通信事業者や量販店ではGALAXY Noteが目立つ位置に陳列されており、購入者の数も多い。

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自身もGALAXY Noteのヘビーユーザーであるサムスン電子商品企画グループの責任者、キム・ジョンイン常務


GALAXY Noteのヒットの要因について、2012年3月にソウル・カンナムにあるサムスン電子本社で関係者にインタビューしたところ、GALAXY Noteの売れ行きは同社としても予想以上のものであるようだ。

商品企画グループの責任者、キム・ジョンイン常務によると、母国である韓国ではGALAXY Noteは1日あたり1万5000台が売れており、これは当初の予想よりも20-30%も上回っているとのこと。韓国では今1日約7万台のスマートフォンが売れているが、そのうち3万台がLTE対応品であると同氏は説明した。そしてGALAXY NoteはLTEスマートフォンの半数を占め、スマートフォン全体でも2割ものシェアを取っている。

キム・ジョンイン常務によると、Note型デバイスの最大の特徴であるS Penも人気を後押ししているが、大きく見やすい画面サイズだからGALAXY Noteを選んでいる消費者も多いとのこと。韓国での調査によると、iPhoneユーザーの95%がより大きい画面サイズを、4.2インチサイズのGALAXY S IIのユーザーの75%もやはり大画面を欲っしているという。GALAXY Noteを購入した消費者の50%がサイズに満足しているとのことから、この大きさは動画やWEBサービスなど、スマートフォンの“今風”な使い方に最適なサイズと言えるのだろう。

5.3インチというサイズは数字や一見しただけでは、大きくて使いにくいように感じるかもしれない。だがサムスン電子が行った世界のユーザー調査では、5インチクラスでも通話やブラウジングといった操作に対する不満はあまり聞かれないという。むしろ大きな画面によるユーザーエクスペリエンスの満足度が勝っており、本体サイズの大型化に対して不満や不便さという印象を持たないと思われる。

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製品開発担当のパク・サンシク責任研究員・課長(左)とパク・ヨンソク責任研究員・課長(右)


同社製品デザインチームのパク・サンシク責任研究員・課長によると、GALAXY Noteは9.7mmという薄さやペンを自然に取り出しやすいように本体の下側から収納させるなど、大型化したにもかかわらず持ちやすく使いやすいデザイン設計をしているだけでなく、1.5GHzのデュアルコアCPUや2500mAhの大型バッテリーによりストレス無く常用できる。さらには本体と一体化するフリップ式のカバーはGALAXY Noteをまるで紙の手帳のような印象を利用者に与えている。

ほかにもソフトウェアキーボードを左右にシフトして配置でき、片手でも使える工夫も施されている。同社UIデザインチーム、パク・ヨンソク責任研究員・課長は「指先とペンの操作が一体化され、スムースに動くように全体の動きをまとめるのに苦労したが、十分使いやすい製品に仕上がっている」と自信をのぞかせた。

このように海外市場では大ヒット製品となっているGALAXY Noteだが、日本市場ではどれくらい受け入れられるだろうか?

本体サイズは懸念されるものの、これは慣れてしまえば持ち運びは苦になるものではないだろう。韓国では男性と女性の購入者の比率が53:47と拮抗しており、他のアジア各国でも女性のGALAXY Noteユーザーを多く見かける。6穴のシステム手帳と類似した大きさであるが、女性でも手帳と同じ感覚で使えることで大きさが気にならないだろう。

一方日本ではスマートフォンの日本語入力にはフリック方式が多く利用されている。GALAXY Noteはフリック入力にも対応するが、ペンを使っての手書き入力も大きな魅力となっている。この両方式は電車の中ではフリック、会社の会議中はペン入力、といった使い分けをするのもよいだろう。ただしGALAXY Noteが現在搭載するAndroid OS 2.3は文字入力の切り替えが若干面倒なため、このあたりのもう一歩踏み込んだカスタマイズが欲しいところだ。

そして日本では長時間の電車通勤・通学者が多いことから「片手使い」の頻度が高い。前述したソフトウェアキーボードのように、片手でも使いやすいUIの強化は日本では大きなポイントとなっていくだろう。このあたりは日本からGALAXY Noteに特化した使いやすいアプリケーションが出てくることにも期待したい。

グローバル製品は日本では受け入れられない、という時代は過去のものになりつつある。iPhoneはもちろんのこと、サムスン電子のGALAXYシリーズも日本では幅広い層に売れている。今海外市場で最も“旬”といえるGALAXY Noteが日本市場でどのような売れ行きを示すのか、興味深いところである。

記事執筆:山根康宏


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