Pepperを中心としたロボット展示会「SoftBank Robot World 2017」を紹介!

ソフトバンクロボティクスが同社のAIアシスタントロボット「Pepper」を中心としたロボット展示会「SoftBank Robot World 2017」を11月21・22日の2日間に渡って都内で開催しました。

展示会ではPepperがこれまで展開してきた商用サービスや導入事例を紹介しつつ、新たにソフトウェア面を強化した「お仕事かんたん生成2.0」の具体的な利用例などを展示し、他にも自動清掃作業車など各社のロボット技術を使った商用機器を紹介する内容でした。

今回はこれまでの導入事例として一定の実績と評価を得ている、Pepperを用いた医療現場でのリハビリテーション活動とその仕組みを写真や動画とともにご紹介します。

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展示会場入り口にはソフトバンクが買収を発表しているボストン・ダイナミクスのロボットも展示されていた


■超小型PC「Raspberry Pi」ですべてのシステムを制御
医療用のリハビリテーション支援にPepperを活用し成果を上げているのは東京都目黒区に本社を置く「シャンティ」。大学などとの共同研究を元に医療用システムや医療用ロボットの商用開発を行っており、人工知能の分野でも音声認識や画像認識などの研究を行っています。

同社のPepperによるリハビリテーション支援は運動機能回復や認知症予防・改善などを目的としており、展示会場ではマイクロソフトのキネクトやソニーの投影型Androidデバイス「Xperia Touch」を組み合わせた運動機能回復の実演が行われていました。

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机に投影されたディスプレイに触れて運動機能をトレーニングするゲームを行う


内容はXperia Touchによって机に投影されたゲーム内容を指で操作することで反射神経や思考力を計るものや、同じく机に投影されたジェスチャーと同じ動作を行い、それをキネクトで読み取って正しく動けているのかを判定し運動機能の改善につなげるといったものです。

また、これらXperia TouchやキネクトのI/O制御に用いられているのは超小型パソコン(PC)「Raspberry Pi(ラズベリーパイ)」となっており、システム全体が非常にコンパクトにできているのも特徴の1つです。

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手のひらほどのサイズしかない超小型PC「Raspberry Pi」。これ1台でシステムをすべて制御している


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会場では分かりやすく「Kinect(キネクト)」からの画像認識情報を別のPCのディスプレイへ出力していた


■Pepperは応援するだけ!?意外な活用法とその効果
ここで気になるのはPepperの役割です。上記のリハビリテーションプログラムの中にPepperが関与する場所がありません。実はPepperはリハビリを行う患者を「応援するだけ」の存在なのです。

PepperにはXperia Touchで投影されているゲームの結果のみが情報として送信されており、患者を認識しつつそのゲームプレイを「応援」します。一見すると何の役にも立っていないようですが、この「ロボットに応援してもらう」ということがリハビリの現場において大きな効果を上げているのです。

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「いいですね、その調子!」と応援する“だけ”のPepperくん


医療現場でのリハビリテーションにおいて、患者への勇気付けや応援は非常に大切です。半身不随などからの運動機能回復のリハビリは非常にきつく、心折れてしまう患者も少なくないと担当者は言います。

そういった際に一般的な病院であれば看護師が支援し応援をするのですが、人間同士によるコミュニケーションでは馴れ合いなどから応援をうるさく感じて逆効果になったり、患者がストレスを感じてしまうこともあります。

また応援する側の看護師も慢性的な人手不足などから常に最良の状態で支援・応援を行えるとは限らず、疲れやマンネリ化した作業からほんの僅かにでも表情を曇らせたりストレスを顔に出せば、すぐに患者にそれが伝わりリハビリの妨げとなったりやる気を削いでしまったりします。

そういった「人間だから起こる問題」に対し、ロボットであるPepperは非常に強い耐性があるのです。どんな状況でも、何時間でも同じテンションで応援を行い、尚且つ疲れや感情を顔に出しません。患者側も相手がロボットであるという物珍しさや「人間ではない」という程良い距離感から真摯にその応援に耳を傾けやすく、人が応援するよりも効果が高いという導入結果を得ているそうです。

リハビリテーションプログラムの実演などは以下の動画からもご覧いただけます。


S-MAX:SoftBank Robot World 2017「シャンティ」ブース

動画リンク:https://youtu.be/bIxwujs1i6Y

この取り組みは既に3年程度の実績があるとのことで、Pepperの導入により看護師は患者のリハビリに掛かる労力を軽減することができるため、看護師側のメリットが非常に大きいのもメリットの1つだと担当者は語ります。患者も喜び、支援する病院側も喜ぶ、非常に素晴らしい導入事例ではないでしょうか。

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人間の代用ではなく「ロボットだからこそ」できるメリットが見えてきた


記事執筆:あるかでぃあ


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