大人気ゲームの開発者がインディーゲームの現在とこれからを語る!

グーグルは6日、主にスマートフォン(スマホ)など向けのインディーゲームを制作するゲームメーカーの開発者を招待し、インディーゲームの今とこれからを語るイベント「Google Play インディーゲームデベロッパー メディアセッション2」を開催しました。

インディーゲームもしくは単にインディーズとも呼ばれるゲームジャンルはその名の通りインディー(小規模)ゲームを製作するメーカーおよびそのジャンルを指す言葉で、巨大な流通網によってパッケージ販売を行う大手メーカーと個人で製作・販売している同人活動との中間にあるような市場です。

スマホなど向けゲームは安価(もしくは無料)でダウンロード販売が可能なため、インディーゲームの市場として非常に相性が良く、日本に限らず世界中でそのブームが起きています。グーグルでは4月28日に日本初のモバイルゲームアプリ開発者を対象にしたコンテスト「Indie Game Festival 2018」の開催を予定しており、今回のセッションはそのコンテストに関連したものとなります。

普段あまり知られることのないインディーゲームの実態と「今」はどういったものなのでしょうか。セッションの内容とともに解説します。

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知られざるインディーゲームの世界を語る


■日本と韓国のゲーム市場の違い
本セッションに招待されたのは「はねろ!コイキング」や「生きろ!マンボウ!」といったユニークなゲームを制作しているSELECT BUTTONのCEOおよびDirectorを務める中畑虎也氏です。同氏は、Indie Game Festival 2018においても審査員として参加が決定しており、ゲーム制作者の視点からインディーゲームの評価を行う立場となります。

聞き手役としてGoogle Play ビジネスディベロップメントマネジャーの五十嵐郁氏も登壇し、冒頭からゲームに関する熱く深いゲーム論を展開。まずはじめに話題に登ったのは「日本と韓国のインディゲームの違い」でした。

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SELECT BUTTONのCEO兼Directorの中畑虎也氏


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すぐに死んでしまうマンボウを上手に育成していく風変わりなゲーム「生きろ!マンボウ!」


「韓国ではボリュームのあるゲームが、日本ではシンプルなゲームが好まれる傾向がある」と語ったのは中畑氏です。一口にインディーゲームと言っても国柄や風土的な趣向の違いは大きく現れるとし、韓国では常に「どうすれば海外で成功するか(ヒットするか)」が議論されるの対し、日本では「いかに日本国内で流行らせるか」が話題になると語ります。

これは日本が一概に消極的であったり内向的だということではなく、飽くまでも市場規模の問題だとのこと。日本の場合、国内でヒットさせれば十分に利益を生み出せますが、韓国では国内需要だけでは十分な利益にならないため、東南アジアや欧米などを含めたワールドワイドにヒットを狙いに行く傾向が強いのです。

そのため、韓国のインディゲームはゲームボリュームを重視する傾向が強く、日本では第一印象や口コミの高さを利用した話題性を重視することからゲーム性もシンプルなものが好まれるとのことです。

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Google Play ビジネスディベロップメントマネジャー 五十嵐郁氏


韓国で2017年に行われた「Indie Game Festival 2017」においても凄まじい熱気と熱意に溢れた国柄がよく表れており、ゲーム開発者はスター扱いだったと語っています。

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韓国の「熱い国民性」がここにも


■ゲームで重要な「丸み」と「尖り」
「ゲーム制作についてどういった点に気をつけているのか?」という五十嵐氏の質問に対し、中畑氏は「『丸み(まるみ)』と『尖り(とがり)』を大事にしている」と興味深い回答をしています。

丸みとは“親近感”のことであり、ゲームのチュートリアルの丁寧さやユーザーインターフェース(UI)の分かりやすさなど、ユーザーが遊びやすい環境作りのことを指します。そして尖りとは“違和感”や“突拍子のなさ”を指し、「なんだこれ!?」と人々が驚くようなギミックや演出、ゲーム性のことだと言います。

中畑氏はこの丸みと尖りのバランスが重要であると語り、「ただ尖りすぎているだけだと一瞬で消費されてしまう。入り(ゲームの導入部分)は尖っていても中身は丁寧に作る。それが『丸み』」と、自身の作った「生きろ!マンボウ!」などを例に挙げつつ説明します。

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「生きろ!マンボウ!」ではマンボウは簡単に死んでしまう。育成の中心である冒険ですら最初は50%の確率で死ぬ。ゲーム開始1分で諸行無常すら感じる衝撃がプレイヤーを襲う


■ゲームの面白さを如何に伝えるか
日本でインディゲームのコンテストが行われることに際し、五十嵐氏が審査のポイントやどういったゲームを探しているかと中畑氏に尋ねると、「どこが面白いのかをしっかりプレゼンして欲しい。プレゼンは大事です!」と語気を強めていました。

中畑氏は「プレゼンからそのゲームの面白さを汲み取ろうとするけどもなかなか全部は汲み取れない。プレゼンが上手ければもっと面白さを伝えられるのに、と感じることが多々ある」と言い、また「観客の歓声と審査の評価は比例することが多い」とも語り、観客が沸くゲームが面白いゲームである場合が多いという見解を示しています。

さらにここでも「尖っているか、代替品(となるゲーム)がないかというのは大きな審査ポイント」であるとして、「尖り」の重要さを改めて強調していました。

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メーカーにもゲーム自体にもブランド力がないインディーゲームにおいて、インパクトは何よりも重要であるようだ


インディーゲームはその市場性や開発環境から、どうしても多額の費用と膨大な時間を掛けて制作するといったことができません。また広告宣伝費にも大きなコストを掛けられないのが実態であり、面白いゲームを作っても市場に埋もれてしまう危険性が高いのが現実です。

そんなインディーゲームの現状を鑑みつつ28日に開催されるIndie Game Festival 2018について中畑氏は「(市場への)露出の機会をいただけるのが何よりも嬉しい」と語り、「ここでトップを取れば宣伝してもらえる」と、審査員としてではなくゲーム開発者としての心境を吐露しています。

大手ゲームメーカーが高度な3DCGを駆使し莫大な製作費と宣伝費をかけて大作ゲームを売り出している陰には、ローコストにアイデアのみで勝負するインディーゲームの世界があります。ゲームに限らず何かを生み出し世に売り出すことを生業とするクリエイターにとって、その名前を売り込むということは何よりも重要なことです。グーグルによるIndie Game Festival 2018をきっかけに、どのようなゲームが生まれどのようなゲームメーカーにスポットが当てられるのか、今からとても楽しみです。

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ここから新たなヒーローが誕生するかもしれない


記事執筆:秋吉 健


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