スペイン発のポータブルゲーミングPC「SMACH Z」を紹介!

9月20日(木)から23日(日)までの4日間、千葉県・幕張メッセにて国内最大のゲーム関連展示会「東京ゲームショウ2018(TGS 2018)」(主催:一般社団法人コンピュータエンターテインメント協会、共催:日経BP社)が開催され、スペインのスタートアップメーカー「SMACH」社がブースを出展。同社のポータブルゲーミングPC「SMACH Z」(スマック・ゼット)が展示・公開されました。

本機はニンテンドー・スイッチのようにタブレット端末をゲームパッドで挟んだようなデザインで、その中身は高性能なタブレットPCといった雰囲気です。OSにはLinuxベースOSもしくはWindows 10が選択可能で、PC向けゲームプラットフォームである「Steam」のゲーム1000タイトル以上が遊べるポータブルゲーミングマシンであるという点をセールスポイントとしています。

本機の発売は10月から12月を予定しており、日本における販売代理店などでの価格はBTO構成ごとに8万円台から13万円台となっています(スペックの詳細は後述)。

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TGS来場者も見慣れない携帯ゲーム機に興味津々


■BTOできるポータブルゲーミングマシン
本機の開発はクラウドファンディングサービス「Kickstarter」による資金調達によって実現したもので、その経緯には若干の紆余曲折があります。

2015年に「Steam Boy」(Steamのゲームが遊べるゲームボーイ、的な意味が込められていた)の名称でクラウドファンディングがスタートした本機でしたが、資金調達に失敗し一度はその計画が頓挫しました。その後再び「SMACH Z」としてクラウドファンディングが再スタートして現在に至ったわけですが、2018年9月時点での予約状況は約2000台とのことで、製造も順調に進んでいるようです。

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展示ブースには開発途中の本体があったが電源は入らず動作は確認できなかった


本機のスペックはBTO構成毎に異なりますが、共通構成となる部分ではディスプレイが6.0インチ・FHD(1920×1080ドット)タッチスクリーン液晶、OSがLinuxベースのOS「SMACH Z OS」もしくはWindows 10、チップセット(SoC)がAMD製「Ryzen Embedded V1605B with Radeon Vega 8 Graphics」(4コア/8スレッド、2.0GHz~最大3.6GHz)などとなっています。

ここに基本構成となる「SMACH Z」ではメインメモリ(RAM)が4GB(DDR4)、内蔵ストレージが64GB SSDが適用され、上位モデルとなる「SMACH Z PRO」ではRAMが8GB(DDR4)へ、内蔵ストレージが128GB SSDへとアップグレードされ約500万画素のカメラも追加。さらに最上位モデルの「SMACH Z ULTRA」ではRAMが16GB(DDR4)、内蔵ストレージが256GBとなります。

それぞれのモデルごとにBTOが可能で、最大構成を選択した場合の価格は日本円で14万円を超えるかもしれないとのことでしたが、ゲーミングPCとしての相場やライバル機となるであろうポータブルゲーミングPCの「GPD Win 2」などの価格を考えると10万円前後という価格は妥当な価格と考えられます。

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本体カラーはブラック1色のみ。タッチパッドを兼ねた方向キーが両側に配置されているのが特徴的だ


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筆者が持った状態。ゲームパッド部の厚みがそれなりにありグリップ感は非常に良い


内蔵バッテリーは3,200mAhのバッテリーを4基搭載しており、GTA Vなどのゲームでも5時間以上の稼働が可能とのこと。外部接続端子はUSB、micro USB、USB type-C、ディスプレイポートなどを搭載。SDカードスロットは1基搭載しています。

通信機能ではWi-FiやBluetoothを搭載しており、Wi-FiはIEEE 802.11b/g/nなど日本国内で利用されている主要規格に対応。Bluetoothは4.0まで対応しています。

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背面。各部の大きなスリットは排熱用


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上部には各種端子類が並ぶ


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ゲームパッド部上部のLRボタンなどは大きく押しやすい


■価格なりの価値を見出だせるかどうかがカギ
動作速度はGTA Vなら720p/ノーマルセッティングで30fps、オーバーウォッチの場合低画質設定なら60fps動作も可能であるなど、十分に「遊べる仕様」に仕上がっているとのこと。当然ながら最新の3Dゲームを高画質設定で快適に遊べるほどのパワーはないようですが、そこはリモート動作ではない完全ポータブルマシンという最大のメリットとの妥協点でしょう。

中身はただのPCという点も、手軽なハンドヘルドPCとして考えるならば汎用のWindows向けアプリが動作する点はメリットとも言えます(OSにWindows 10を選択した場合)。ゲームプレイの合間に攻略情報を確認したり、そもそもゲーム以外の用途で利用したりと目的も多様化できます。

気になった点は重量です。画面やゲームパッド部が大きい点は操作や視認性の良さの意味では嬉しい部分ですが、手に持った印象としては「ニンテンドースイッチよりもかなり重い」ということです。正確な重量は未公開ですが500g前後にはなるとのことで、本機を手に持った状態での長時間プレイは少々厳しそうな印象でした。

BTOの最小構成であれば8万円台から購入できる本機ですが、動作快適性から最も人気となる構成は11万円前後からとなるSMACH Z PROベースである点を考えると、その価格に見合った携帯ゲーム機としての価値を見出せるかどうかが購入への指標となりそうです。

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いつでもどこでもPCゲームを遊ぼう!


記事執筆:秋吉 健


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