全部入り高性能でギミック付き、それでいてリーズナブル!LG G8X ThinQのまとめレビュー

ソフトバンクから携帯電話サービス「SoftBank」向け最新フラッグシップスマートフォン(スマホ)「LG G8X ThinQ(型番:901LG)」(LGエレクトロニクス製)が2019年12月6日に発売されました。価格は公式Webストア「ソフトバンクオンラインショップ」などの直営店では55,440円(1,155円/月×48回)で、各種キャンペーンなどによってさらに還元があったりします。

本機は同梱の専用ケースを装着することによって“デュアルスクリーン(2画面)化”できることが特徴のスマホというだけでなく、防水・防塵・耐衝撃やおサイフケータイ(FeliCa)、フルセグ・ワンセグなども備えた全部入りの高性能機でありながら非常に安価で購入できることから大きな話題となりました。

筆者も実際に契約なしの単体で購入してこれまで開封レビュー外観・プリインストールアプリ紹介を行ってきましたが、今回はLG G8X ThinQをしばらく使ってみて気が付いた点を2画面でどういったことができるのかを含めてまとめて紹介していこうと思います。

【LG G8X ThinQの良かった点】

・文句なしのハイスペック&全部入り

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Antutu Benchmarkのテスト結果(左側)とPC Markの計測結果(右側)

LG G8X ThinQのチップセット(SoC)はQualcomm製のハイエンド向け「Snapdragon 855」(2.9GHz×1+2.5GHz×3+1.7GHz×4のオクタコアCPU)、内蔵メモリー(RAM)は6GBを搭載し、現行のハイエンドスマホとしては十分に上位構成と言えるでしょう。

もちろん、さらにスペックの高い製品は存在しますが、LG G8X ThinQのベンチマーク結果を見ての通り、ゲーミングスマホなどがひしめく最上位クラスとまではいかないものの、十分すぎるハイエンドクラス性能を誇っており、ゲームアプリを遊ぶにしてもグラフィック設定などを最高画質に設定しても力不足を感じることはないはずです。

また、地上デジタルテレビ機能やおサイフケータイ、防水(IPX5・ IPX8準拠)、防塵(IP6X準拠)、耐衝撃(MIL-STD-810G準拠)、ワイヤレス充電(Qi準拠)を備えているため、メインのスマホとして運用しても不足する機能が見当たりません。やはりこうした高性能・多機能はあれば嬉しいものです。

・カメラ機能やゲームプレイで活躍する2画面モード

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2つのアプリが同時に走るという喜び

また同梱の専用ケース「LGデュアルスクリーン」を装着することで2画面スマホとして利用ができ、プリインストールされている「ギャラリー」アプリでは動画や画像のサムネイルと選択した画像の表示を分けて表示したり、カメラアプリは片方の画面に撮影済みの画像を大きいサイズで、そのまま表示したりといった機能が搭載されており、実用的な機能も有しています。

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2画面という武器を最大限に活かせる画像ビューワー

また別々にゲームアプリを起動することも可能なため、ゲームの同時進行をしたり、片方に攻略情報サイト、もう片方にゲーム画面を出してスムーズなゲーム攻略を遂行するということもできます。

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片方の画面でアプリを操作している間はもう片方の画面の操作を受け付けないため、音楽ゲームやシューティングゲームなどの同時プレイはもはや曲芸ですが、2つのゲームを同時に起動して遊べるというインパクトはすごい

ちなみにメインディスプレイ側は画面分割(マルチウィンドウ)モードも実行可能なため、右側のメインディスプレイで2つのアプリを表示して、左側のサブディスプレイ側でさらにアプリを起動することで、実用性についてはひとまず置いておくとして最大で3つのアプリを同時に走らせるといった芸当も可能です。(なお、アプリによっては両画面が同時にアクティブ化されないものもあるので、試しておきましょう。)

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その気になればTwitterとFacebook、Instagramの3アプリを同時起動可能


・背面カメラ部分が飛び出してない

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地味ながら結構個人的にはポイントの高い部分

さらにリアカメラ(背面側)は約1200万画素CMOS/広角レンズ+約1300万画素CMOS/超広角レンズのデュアル構成となっていますが、昨今のハイエンドスマホにありがちな「カメラとその周囲のでっぱり」がありません。

もちろん光学ズームなどを搭載するなど、カメラ機能が特徴のスマホなどではやむを得ずに実装しているものもあるので、カメラ部分の飛び出しすべてが悪いというわけではありません。

しかしながら、中にはカメラ機能を強くアピールするための装飾としてカメラ部分が飛び出しているものもあり、これについては意見が分かれるところでしょう。

LG G8X ThinQのカメラ部分は飛び出していないほぼ完全にフラットの状態で、カメラが存在を強く主張しておらず、筆者には却って新鮮に感じられました。なお、筆者は存在感たっぷりなカメラも慎ましいカメラも大好きだったりはするのですが。

【LG G8X ThinQの気になった・改善して欲しい点】

・デュアルクリーン装着時の充電には専用端子が必要

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Qi充電でも充電はできるけども……

デュアルスクリーン非装着のLG G8X ThinQを充電する場合、ワイヤレス充電のQiを使うか、USB Type-C端子からの有線接続で充電を行うことになるのは一般的なAndroidスマホとほぼ同じです。

ただし、デュアルスクリーンを装着時に有線で充電を行うにはUSB Type-Cケーブルに専用の変換コネクターを接続した上で、デュアルケース底面にある充電用端子にマグネット装着して行うことになります。なお、専用端子を利用してのPCからのファイル転送などのデータ接続は可能です。

これについては筆者の個人的な主観が大きいのですが、デュアルスクリーンを装着した状態でも「汎用のUSB(できればType-C)で接続できるようにして欲しかったなー」と思いました。

マグネットでくっついて接続する専用端子だと、どうしてもちょっとした拍子で外れてしまう不満があり、デュアルスクリーンを装着した状態で充電したまま操作するのに向いていないのです。

USB端子を実装するとどうしてもデュアルスクリーンのカバーがさらに下方向へ大型化すると思われるので、それを避けるための実装なのだとは思うのですが、デュアルスクリーン使用時でも普通にUSBケーブルで充電できる方が便利だったのではと思います。また専用の変換コネクターだと、失くすと面倒ですし。

・一部サードパーティー製文字入力アプリではサブディスプレイ側で使えない

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使い慣れた文字入力アプリを使えないのは個人的に結構痛い

これもデュアルスクリーン装着時のことなのですが、プリインストールされているアプリ「日本語キーボード」やGoogle製アプリ「Gboard」以外の文字入力(IME)アプリを「既定のキーボード」に設定している場合、サブディスプレイ側で文字入力ができない(文字入力画面が表示されない)ものがあります。

プリインストールの日本語キーボードやGboardであれば、問題なく可能であることは確認していますが、筆者がメインで利用している文字入力アプリ「ATOK」(買い切り版)においてはサブディスプレイ側で文字入力ができないことを確認しています。

これについてはそれぞれの画面に個別でアプリが起動できるという独自機能に文字入力アプリ側が対応できていないというのが理由ではないかと思われ、プリインストールの日本語キーボードなどは問題はないものの、愛用の文字入力アプリがある人はあらかじめ注意しておきたいところです。

・通常は「両方のディスプレイを使って1つの大きな画面」で使えない

LG G8X ThinQのデュアルディスプレイモードは過去にNTTドコモから発売されていた「MEDIAS W N-05E」や「M Z-01K」のように2つの画面を組み合わせて大画面ディスプレイ利用することが(裏技的な方法を用いる以外に)できません。

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一口に「屏風スマホ」といってもそれぞれ個性や特徴がある

またMEDIAS W N-05EやM Z-01Kのように2枚のディスプレイがピッタリと並んでアプリを表示させる形状ではないので、そもそも本機でゲームや動画を1つの大画面で楽しむには不向きなのですが、ブック型であることを活用して、マンガやノベルなどの電子書籍アプリを両方の画面を利用して楽しむことができればより良かったのにと感じました。


気になった点はこの3点で、デュアルディスプレイ機能に関するものに気になった点がいくつかあった程度です。他に何か減点要因などがないかいろいろと考えてみたのですが、今回のLG G8X ThinQは他に目立った短所が思いつかないくらいよくできた製品だと思います。

製品そのものの性能や機能においてはどうしても「デュアルスクリーンを使った2画面スマホ」のイメージが強いLG G8X ThinQですが、それ以前に良くできたハイエンドスマホであり、通常状態でも平均点の非常に高い優等生的として使っていくことができるのも地味に大きなポイントでしょう。

性能は文句なしのハイスペックで、国内向けの全部入りスマホの名に恥じない日本国内向け機能もきっちりとサポートしており、そのまま一般的なスマホとして優秀です。さらに同サイズの画面が追加されるという非常に珍しい機能拡張のデュアルスクリーンが付属していて、その上、性能を考えるとありえないくらいに安価。

そうしたことから「個性的なスマホが欲しいというこだわり派」から「おサイフケータイなどの日本市場向け機能もしっかりと網羅したハイスペックスマホが欲しいという一般層」まで幅広くオススメできるスマホとしては非常に珍しい1台となっています。

デュアルスクリーンをフル稼働させて活躍させるもよし、そのままでも各種機能や性能が高いレベルでまとまった総合力の高いスマホとして堅実につかっていくのもいいでしょう。今回のLG G8X ThinQは実に「多くの人に薦めがいのある攻めたスマホ」ではないでしょうか。



記事執筆:河童丸


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