KDDIおよび原子力安全技術センター、原子力規制庁は28日、原子力災害時における放射線モニタリング体制のさらなる強靭化を目的とした共同実証実験を2026年8月20日(木)から順次実施するとお知らせしています。実験は第1回(耐熱実験)が2026年8月20日(木)から8月27日(木)までを予定し、第2回(耐寒実験)が2026年12月に実施される予定だとのこと。
この実証では酷暑下を想定した耐熱試験や降雪や低温下の環境を想定した耐寒試験、降雨を想定した耐水試験といった過酷な環境の状況下において防水・防塵・耐衝撃に加えて耐泥水を備え、過酷な使用条件にも耐えるKDDIが提供するスマートフォン(スマホ)「TORQUE G07」(「TORQUE」シリーズ)を放射線測定器(以下、サーベイメーター)と連携させて行われるということです。
また放射線測定データを原子力規制庁が運用する「放射線モニタリングプラットフォーム(RAMP)」に安定的に伝送して「放射線モニタリング情報共有・公表システム(RAMIS)」で表示できるかを確認し、合わせて災害時の通信障害を想定して衛星とスマホの直接通信サービス「au Starlink Direct」を活用した通信の冗長化が可能かを確認するとしています。
これにより、3者は実証で得られた知見をもとに災害時にも途切れることのない、より強靭な放射線モニタリングシステムの実現をめざし、将来的には安価で設置が容易な放射線を測定する小型の可搬型モニタリングポストの配備を推進して日本の原子力防災体制のさらなる向上に貢献していきたいとしています。
原子力災害対策では放射線量を常時測定するモニタリングポストからの測定データをリアルタイムかつ確実に収集することが極めて重要で、現在は固定型のモニタリングポストが原子力発電所の周辺30km圏内に約1700箇所設置されています。また現在、原子力規制庁を中心にモニタリングポストの放射線測定データをRAMPに集約する取組を進めており、RAMPに集約された放射線測定データは全国のモニタリングポストなどの測定データをリアルタイムで公表するRAMISにおいて表示されます。
一方、2024年1月に発生した能登半島地震では通信障害によって一部のモニタリングポストの放射線測定データが欠測する事態が発生したため、当該地点に可搬型モニタリングポストを設置する必要があったとのことで、この可搬型モニタリングポストは通信の冗長化を確保するため衛星携帯電話を搭載していますが、長期間の使用を想定しているために必要なバッテリーの重量が大きくなっています。
結果として可搬型モニタリングポスト全体重量は約45kgであり、3人の人員が徒歩で運搬する必要があるため機動性に課題があったということです。そのため、強靱で機動的なモニタリング体制を実現するために容易に設置可能かつ通信の冗長化が確保された「小型の可搬型モニタリングポスト」を配備することが急務となっているとしています。
こうした背景から原子力規制庁は2025年度に地上通信網(4G LTE)と衛星通信(au Starlink Direct)を自動で切り替えるスマホおよびサーベイメータを用い、ショートメッセージサービス(SMS)を活用した伝送方式により、放射線測定データのWebサーバーへの伝送を実現する実証実験を行い、災害時における通信確保の有効性を確認していました。今回はその成果を踏まえ、年間を通じてより過酷な現場環境(夏期の酷暑下、冬期の低温下)における実用性を検証するということです。
実証実験の概要は以下の通りで、システム構成としてはサーベイメータと高耐久スマホをBluetoothで接続して放射線測定データを取得し、4G LTEが途絶した際は「MONIFIT-S」が放射線測定データの通信方法をhttpsによる通信からSMSに自動で切り替えるとともにスマホ本体が自動的にデータ伝送先を4G LTEからau Starlink Directに切り替え、復帰時には元の回線へ自動復旧します。
またWebサーバーで受信した放射線測定データはRAMP用の伝送フォーマットへ変換した上で、暗号化通信によりRAMPに送信され、RAMPにて取得した放射線測定データをRAMISにおいて確認します。各者の役割はKDDIが通信ネットワークおよびスマホの提供、通信技術に関する技術支援、RAMPにおけるネットワークの提供事業者としてデータ伝送の技術支援および運用保守、原子力安全技術センターがアプリケーション開発(MONIFIT-S)および関連機器連携・設定全般、放射線測定データ測定、原子力規制庁が全体計画の策定・評価となっています。
- 酷暑下や低温下の寒冷地など、過酷な屋外環境における高耐久スマホ(TORQUシリーズ)の動作安定性を検証する
- サーベイメータとBluetoothで接続したTORQUEシリーズを小型の可搬型モニタリングポストとして屋外に設置して長時間の連続稼働における機器の安定性と放射線測定データ伝送の品質を評価する
- 4G LTEが途絶した際にau Starlink Directへ自動的に切り替えて放射線測定データ伝送を継続する機能の有効性を評価する。また4G LTEとau Starlink Directではデータ伝送時の通信方式が異なるため、スマホからの放射線測定データの伝送に当たってはSMSとhttpsによる暗号化通信を併用して伝送できるアプリケーション「MONIFIT-S」を活用してその実用性を評価する
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