ソフトバンクが5Gのミリ波を“反射”して通信エリアを拡大する試験運用を実施!イベント会場で「反射板」の効果を検証して有用性を確認


ソフトバンクが5Gのミリ波の通信エリア拡大に反射板を活用!

ソフトバンクは6日、携帯電話サービス「SoftBank」や「Y!mobile」、「LINEMO」などにおいて提供している「5G(第5世代移動通信システム)」のうちの高周波数帯を利用するミリ波(mmWave)において通信エリアを広げる手段として「反射板」の活用を2026年5月に新潟県で開催されたイベント「ながおか米百俵フェス~花火と食と音楽と~」の会場で行った試験運用にて検討した結果を紹介しています。

この検討では3つの内容を検証しており、1つ目は反射板を活用することによってミリ波が直接届かない場所でも通信エリアを構築できるかという点で、実際のイベント会場において反射板を介してミリ波をCPE(Customer Premises Equipment:構内設置機器)へ届けて安定した通信が可能かを確認し、2つ目は反射板の角度調整で、反射板は設置するだけで効果が出るものではなく、狙った場所に電波が届くよう角度を合わせる必要があります。

そのため、現場で短時間に設置でき、将来的には全国のイベント会場でも同じように運用できる設置・調整方法を確立することをめざしたとのこと。最後の3つ目は反射板を経由した通信が実際にイベント会場で役立つかという点で、反射板を使って受信したミリ波を無線LAN(Wi-Fi)に変換して来場者向けの公衆無線LANサービスによる通信環境として十分な性能を発揮できるかを検証したということです。

5Gで利用される電波の中でも特に大容量・高速通信に適しているのがミリ波ですが、一方で直進性が高く、建物や人などの障害物の影響を受けやすいという特性があり、なかなか有効な通信エリアとして提供しにくいことからこれまでに日本の移動通信体事業者(MNO)の各社ではあまり積極的に展開できていない状況です。そうした中で今回、ソフトバンクではこの課題の解決に向けてミリ波の通信エリアを広げる手段として反射板の活用を3年ほど前から検討しているということです。

反射板は正式には「メタサーフェス反射板」と言い、微細な素子を周期的に配列した人工構造体で、素子の配置や設計を工夫することによって電波を鏡のように正反射させるだけでなく、任意の方向へ反射させることができます。これにより、直進性の高いミリ波を反射板で反射させることによって距離や障害物などの影響で電波が弱まる「減衰」を抑制して効率良く通信が可能になるという仕組みとなります。今回採用した反射板は大日本印刷(DNP)が開発したA1サイズ(594mm×841mm)の「リフレクトアレイPASREACH」で、軽量で持ち運びしやすいように金属ではない素材を用いて製作しているということです。

ソフトバンクでは当初はこの反射板をスマートフォン(スマホ)など移動する機器への活用も検討していたものの、スマホなどは人と一緒に移動するため、安定した効果を出そうとすると反射板を大型化する必要があり、設置や運用が難しいことが分かってきたとのこと。そのため、今回は移動基地局車から約240m離れた場所に反射板を設置し、さらにその先のCPEを置いた場所は建物や設備の影響でもともとミリ波の電波が届かないエリアでしたが、反射板を設置したことによって圏外だった場所でもミリ波を受信できるようになったということです。

この受信したミリ波を元にWi-Fiスポットを構築して来場者に提供できることを確認でき、ピーク時には約300台のスマホなどの機器が接続するなど、実際のイベント環境でも十分活用できる手応えを得だとしています。一方、今後は各地のイベント会場でも早く、正確に設置・運用できる方法を整備していくことが重要だと感じたとし、CPEは事前に人の往来を考慮した高さに設置していたものの、イベント当日は人や日傘によって一時的に電波が弱くなることも確認されたため、実際の会場状況に応じて高さを調整して安定した通信品質を確保したとしています。

また今回の試験運用を通じて技術的な有効性は確認できましたが、実運用に向けては改善すべき点の発見もあったとし、例えば、芝生では反射板の設置条件によって指向方向が変化するケースも確認できたため、今後はさまざまな環境でも安定した性能を発揮できるように設置方法や架台の改善を進めていきたいと考えているということです。このように大規模なイベント会場では多くの来場者が動画を視聴したり、SNSに写真や動画を投稿したりするため、通信量が急激に増えますが、ミリ波は大量の通信を処理できるため、混雑時の通信品質向上に大きな可能性があるとしています。

記事執筆:memn0ck

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