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IPv4アドレスはすでに枯渇!あなたのスマホはIPv6に対応できるか?

インターネットにつながる全ての端末を識別するために用いる「IPアドレス」。現在主に使われている「IPv4(インターネットプロトコル バージョン4)」のアドレスは世界的にも枯渇状態で、今後もインターネットを拡張するためには次世代の「IPv6(インターネットプロトコル バージョン6)」への対応が必要と言われています。そこで最近のスマートフォンはこのIPv6に対応しているかどうかを調査してみました。

IPv4アドレスはすでに枯渇、今後はIPv6が徐々に普及

IPv4アドレスは32ビットのデータなので、理論上2の32乗(=約43億)の端末を識別することができます。しかしインターネットに接続する端末の増加から利用可能なIPv4アドレスが減少していき、2011年4月15日には、日本を含むアジア太平洋地域においてIPアドレスを管理する組織(APNIC)のIPv4アドレス在庫がなくなりました(詳細はこちら)。すでにIPv4アドレスが割り当てられている端末はそのまま利用を続けることができますが、今後新しくインターネットに接続する端末がIPv4アドレスを取得することは困難になります。

この「IPアドレス枯渇」問題の本質的な対応策として、「IPv6」への移行に向けた動きが進んでいます。IPv6アドレスは128ビットのデータなので、理論上2の128乗(=IPv4の2の96乗倍)の端末を識別でき、事実上無限と言っても差し支えない数の端末をインターネットに接続できます。

スマートフォンのIPv6対応度合いは様々

さて、IPv6はIPv4と基本的に別の仕組みなので、IPv6を利用するためには端末側、ネットワーク側の両方でIPv6への対応が必要になります。今回はIPv6に対応したネットワークに接続した場合、スマートフォンがIPv6で通信できるかどうかという観点で調査を行います。IPv6への対応を調べる方法は、KDDIのWebサイト(http://www.kddi.com)をスマートフォンで表示させて、IPv4とIPv6のどちらが使用されているかを画面で確認します。ネットワークはフレッツ光ネクスト(ファミリー・ハイスピード)、プロバイダはぷららで、IPv6 PPPoE(トンネル方式)によってIPv6に対応させ、このネットワークにスマートフォンをWi-Fiで接続します。

【KDDIのWebサイトでは左上にIPv6接続状況が表示される】
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今回調査したスマートフォンのIPv6対応を下表に示します。なお「IPv6匿名アドレス」は、通常のIPv6アドレスには端末の固有ID(MACアドレス)が含まれるのに対し、匿名性を確保するために端末固有のIDがIPv6アドレスから読み取れないようにするための仕組みです。

端末 OS IPv6対応 IPv6匿名アドレス対応
Xperia Android 2.1 ×
X06HT(HTC Desire) Android 2.2 ×
IS03 Android 2.2 × ×
Xperia arc Android 2.3.3 ×
007SH Android 2.3.3 ×
iPhone 4 iOS 4.3.4
表:スマートフォンのIPv6対応状況
【Xperia (Android 2.1):IPv6対応】
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【IS03 (Android 2.2):IPv6非対応】
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【Xperia arc (Android 2.3.3):IPv6対応】
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【iPhone 4 (iOS 4.3.4):IPv6対応】
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今回調査した端末の中ではIS03を除いてはIPv6での通信を確認できました。IS03でIPv6通信ができなかった理由は不明ですが、同じAndroid 2.2のX06HTがIPv6で通信できているので、OSのバージョンに起因した事象ではなさそうです。ちょっと気になるのはAndroid端末がIPv6匿名アドレスに対応していないことでしょうか。IPv6匿名アドレスに対応していない場合、複数のIPv6ネットワークから割り当てられたIPv6アドレスの一部がいつも同じになります。特に個人に強くひもづくスマートフォンでは、アクセスを追跡されないかちょっと心配です。

携帯電話ネットワークはIPv6非対応、今後の対応が望まれる

端末側のIPv6対応は意外と進んでいる一方、端末をWi-Fiではなく携帯電話ネットワークに接続した場合は、ネットワーク側のIPv6対応が進んでいないため、いずれの端末でもIPv6での接続はできなかったことを補足しておきます。IPv6の導入は今後徐々に進んでいくことが見込まれているので、携帯電話ネットワーク側もこれに歩調を合わせてIPv6への対応が行われていくことを期待します。


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IPv4アドレスの在庫枯渇に関して(JPNIC)