海外パケット定額の事業者選択をサポートしてくれるアプリが便利 |
携帯電話各社とも、海外でのデータ通信が定額になる海外パケット定額制度を導入していますが、定額で利用するためには現地での携帯電話事業者を正しく選択する必要があり、選択を誤ると高額請求へまっしぐらです。
そのため利用者が事業者を間違わずに選択するのをサポートしてくれる施策が重要となります。
今回はiPhone、Android、Windows Phone 7の各端末を台湾に持ち込み、海外パケット定額の使い勝手を調査しました。
渡航前には定額対象の事業者を調べておこう
まず大前提として、自分の携帯電話会社の渡航先での定額対象事業者は渡航前に調べておくべきでしょう。台湾における各社の定額対象事業者は(2011年9月現在)以下の通りです。
国内事業者 |
データ定額対応 ローミング先事業者 |
docomo (海外パケ・ホーダイ) |
Far Eastone |
KDDI (海外ダブル定額) |
CDMA:Asia Pacific Telecom GSM:Chunghwa Telecom |
SoftBank (海外パケットし放題) |
Chunghwa Telecom Taiwan Mobile VIBO |
EMOBILE (海外データ1日定額) |
Far Eastone |
また今回台湾に持ち込んだ端末は以下の通りです。
docomo:Xperia arc(Android 2.3.3)
KDDI:IS12T(Windows Phone 7.5)
SoftBank:007SH(Android 2.3.3)、iPhone 4(iOS 4.3.5)
Androidは定額対象事業者の選択をサポートしてくれるアプリが便利
docomo / KDDI / SoftBankの各社とも、Android端末向けに海外での定額対象事業者の選択をサポートしてくれるアプリをリリースしています。今回はdocomoの「ドコモ海外利用」とSoftBankの「海外パケットし放題」を試しました。なおKDDIも類似コンセプトのアプリ「GLOBAL PASSPORT」をau one マーケットで提供しています。
docomoの「ドコモ海外利用」アプリでは、海外渡航後に画面上の「事業者選択ガイド」から、渡航先で定額が適用される事業者を自動的に選択して接続することができます。ただし「ドコモ海外利用」では事業者選択までしかサポートされず、実際にデータ通信を行うには別途設定画面から「データローミング」をONにする必要があります。データ通信を開始するまでにワンアクションを置くことで意図しない誤課金を防ぐための仕様と思われますが、少々わかりづらい印象も受けます。
まずパケット定額サービスに加入しているかが確認される(写真=左)、docomoの定額対象事業者(Far EasTone)に自動接続される(写真=右)
一方SoftBankの「海外パケットし放題」アプリでは、通信方式の3G/GSMへの切替→定額対象事業者の選択→データ通信の有効化→データローミングの有効化と、設定画面を順番に表示して設定を促してくれます。画面上に設定内容が表示されるだけで、実際の設定操作はユーザー自身が行う必要がある点に違和感を感じなくもないですが、ユーザーが何をどう設定したのかを把握できるという意味では妥当なのかもしれません。ただ事業者の選択画面では、SoftBankの台湾での定額対象事業者が多いためメッセージの文字数が多くなってしまい、一回で全て読みきれなかった点が気になりました。
まず通信方式は「3G/GSM」を選択(写真=左)、台湾では定額対象事業者が多いので選択に若干苦労する(写真=右)
データ通信(写真=左)とデータローミング(写真=右)を有効にして、海外パケット定額を使い始めることができる
docomo / SoftBankとも、定額対象事業者への接続中には画面左上にアイコンが表示されます。定額で使えていることが一目でわかり、使っていて安心感があります。
定額対象事業者へ接続中は画面左上にアイコンが表示される。docomo(写真=左)とSoftBank(写真=右)
帰国後は設定を元に戻す必要がありますが、docomoの「ドコモ海外利用」アプリには国内設定に戻す機能がなく、メニューから「日本帰国時」を選ぶとヘルプが表示されるだけと、少々不親切な印象です。一方SoftBankの「海外パケットし放題」アプリでは、画面上の「日本に帰国したら」を押すと渡航時と同じように順番に設定画面が開き、国内設定に戻す操作をサポートしてくれます。この点においてはSoftBankのアプリの使い勝手に優位性がありそうです。
docomoはヘルプに従い自分で設定(写真=左)、SoftBankは「日本に帰国したら」をタップすると順番に設定サポートしてくれる(写真=右)
サポートアプリがなくても手動で定額対象事業者に設定することは可能ですが、より確実に設定を行うことができ、定額対象事業者への接続中状態を視覚的に確認できるという意味で、Android端末で海外パケット定額を利用するならばサポートアプリは必携と言えるのではないでしょうか。サポートアプリは各社無料で提供していますので、渡航前にぜひダウンロードしておきましょう。
SMSでも定額対象事業者をアナウンス
渡航先の事業者に接続した段階で日本の事業者から送信されるショートメッセージ(SMS)も、定額対象事業者を選択するための有力な情報です。特にサポートアプリが用意されていないiPhoneでは、ショートメッセージの内容をしっかり確認して、ユーザー自身の手で確実に定額対象事業者を選択する必要があります。今回、docomoとSoftBankについてはショートメッセージにより定額対象事業者の情報を確認することができました。
渡航先事業者に接続すると、定額対象事業者かどうかなどの情報がショートメッセージで届く。Softbank(写真=左)、docomo(写真=右)
KDDIのWindows Phone 7端末は定額対象事業者の選択に注意が必要
今回台湾に持ち込んだ端末の中で最もわかりにくかったのが、KDDIのWindows Phone 7端末「IS12T」です。この端末はCDMAとGSMの両方で国際ローミングに対応しているのですが、事業者選択を行うときにはまずモードを「CDMA」と「GSM」のどちらかから選択する必要があります。IS12TにはCDMAとGSMの両方から自動選択する「グローバルモード」も存在しているのですが、今回はグローバルモードのままではどの事業者へも接続できませんでした。さらに事業者選択時のショートメッセージも届かず、自分がいま定額対象事業者に接続しているのかどうかを端末から確認する手段がありません。Windows Phone 7は歴史の浅いプラットフォームなので環境整備が間に合っていないのだと推測しますが、海外パケット定額の利用においてはAndroidやiPhoneより不便を感じたのは間違いないので改善を望みたいところです。
「CDMA」モードでは接続事業者が自動選択(写真=左)、「GSM」モードでは複数の事業者から選択する(写真=右)。どちらの場合も定額対象事業者かどうかなどのショートメッセージは届かない
海外でこそスマホは便利、定額対象事業者を正しく設定して使いこなそう
さて、定額対象事業者を正しく設定したスマートフォンを台湾観光のお供として活用してみましたが、土地勘のない海外でこそスマートフォンの情報収集能力が便利に使えるという印象です。特に地図で位置や方角がすぐに分かるのは、目的地に向かうときに歩く方向を間違えずに済み、とても心強いです。また見知らぬ土地で出会った見慣れぬ風景をその場でTwitterやFacebookで共有するのは旅の新しい楽しみ方と言えます。定額対象事業者の設定が若干ハードルが高いですが、その苦労を上回るだけの利便性は確実にあります。次の海外旅行では海外パケット定額を使ったスマートフォン活用にトライしてみてはいかがでしょうか。くどいですが定額対象事業者の選択だけは確実に。
アプリ名:ドコモ海外利用
価格:無料
カテゴリ:旅行&地域
開発者:NTT DOCOMO
バージョン:1.1.0
Android 要件:1.6 以上
Androidマーケット:http://market.android.com/details?id=com.nttdocomo.android.gs.utility
アプリ名:海外パケットし放題
価格:無料
カテゴリ:ツール
開発者:ソフトバンクモバイル株式会社
バージョン:1.0
Android 要件:1.6 以上
Androidマーケット:http://market.android.com/details?id=jp.softbank.mb.SBMRoaming
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