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よりどりみどりの夏モデルを前に、ちょっと冷静に考えたい

NTTドコモ、KDDI、ソフトバンクモバイル、イー・モバイル(イー・アクセス)の携帯電話事業者各社から2012年夏商戦向け新商品が発表され、もうまもなく発売されるというタイミングですね。この夏のスマートフォンは最新OSのAndroid 4.0や次世代高速通信など見どころいっぱい魅力いっぱい。どれを選ぼうか嬉しい悩みですが、

でもちょっと待ってください。

実はこの夏から冬にかけて、スマートフォンを取り巻く環境は更に大きく変わっていくことが見込まれています。これを知らないで夏モデルに手を出すとあとで後悔するかも!? この記事ではこれからのスマートフォン情勢を通して、夏モデルをあえて買わない理由を探してみます。

夏モデルを買わない理由1:LTEの普及・高速化

NTTドコモの夏モデルでは次世代高速通信のLTEサービス「Xi」(クロッシィ)のラインナップが一気に拡張されました。下り最大37.5Mbps(場所によっては75Mbps)の通信速度を誇るXiの機種が豊富なラインナップから選べるようになったのは嬉しい限りですが、実はXiにはまだまだ進化が予定されています。

現在NTTドコモがXiで使用している電波は2GHz帯だけですが、2012年第3四半期には800MHz帯や1.5GHz帯でもXiを提供開始する予定です。800MHz帯は電波の飛びがよいと言われるいわゆるプラチナバンドで、Xiの電波環境改善につながる可能性があります。また1.5GHz帯においては一部地域で現状の1.5倍速となる下り最大112.5Mbpsの通信が可能になる見込みです。これらの新しい帯域を使用するためには新しい端末が必要で、夏モデルは対応していません。

【NTTドコモは今年後半Xiを拡張(2012年3月期決算発表資料より)】
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また夏モデルではWiMAXをプッシュしているKDDIも、今年後半にLTEのサービスを開始します。KDDIのLTEは他社より展開が遅れた分、最初から広いエリアでサービス開始されると見込まれています。LTEサービスが始まれば、LTEに対応していない夏モデルは一気に旧世代になりかねません。

【KDDIは満を持して今年後半LTEを導入(2012年3月期決算発表資料より)】
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夏モデルでは下り最大42MbpsのULTRA SPEEDに対応した端末を取り揃えたソフトバンクモバイルもLTEサービスを今秋開始予定。LTEのスマートフォン向けパケット定額が月額5,985円になることを発表済みです。またすでにモバイルルーターによるサービスが行われているAXGPの「SoftBank 4G」に対応したスマートフォンが登場する可能性もあります。

【ソフトバンクモバイルはLTEサービスの料金を予告(2012年3月期決算発表資料より)】
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さらに夏モデルとしてAndroid 4.0を搭載した端末を発売しているイー・モバイルも、今後LTE対応端末の投入を予定しています。すでにモバイルルーターでサービス中の「EMOBILE LTE」ブランドによる展開が予想されます。

このように今年後半にかけて、携帯電話各社は一気にLTEへのシフトを強めていきます。夏モデルを検討する場合、今は通信規格が移行する過渡期にあたるということに注意が必要です。

夏モデルを買わない理由2:端末やOSの進化

端末に目を移しても、これから先に大きな変革が予定されています。

非接触ICの世界標準である「NFC」。日本ではNFCと互換性のある非接触ICの「FeliCa」がいわゆるおサイフケータイとして広く使用されていますが、NFCがFeliCaの通信方式を包含するという関係上、国際規格としてのNFCのフルスペックに対応するためにはNFCとFeliCaの両方に対応する端末が必要です。

この夏モデルではKDDIの「AQUOS PHONE SERIE ISW16SH」がNFCとFeliCaの両方に対応していますが、NTTドコモはこのような両対応端末を今年度中に提供開始すると見られています。冬モデルとしてすぐに登場するかは未知数ですし、NFCに対応していないからといって国内でおサイフケータイが使えないわけではないのですが、新しもの好きの人はチェックしておいたほうがよいでしょう。

【NFCとFeliCaの両対応端末が普及へ(写真は先駆けてダブル対応したISW16SH)】
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スマートフォンの操作の快適さに大きな影響を与えるCPUも進歩が止まりません。この夏モデルは多くがデュアルコアのQualcomm製「Snapdragon S4」を搭載していますが、このSnapdragon S4のクアッドコア版を搭載したスマートフォンの存在が海外で既に確認されており、この冬以降に国内でも登場する可能性があります。コア数が2個から4個になることで単純に処理速度が2倍になるわけではありませんが、スペックを重視する人には気になるトピックでしょう。

またOSについても、今年の夏モデルに搭載されているAndroid 4.0(「Ice Cream Sandwich」)の次バージョン(「Jelly Bean」とも言われる)が間もなく登場すると言われています。ただしこちらについては、Android 4.0の1号機であるGALAXY Nexusが発表されたのが2011年10月、広く採用されるようになったのがこの夏であることを考えると、もし今すぐに次バージョンが発表されても冬モデルには間に合わないかもしれません。

夏モデルを買わない理由3:次世代iPhoneの存在

この6/11に開催されたAppleの開発者イベント「WWDC」では、iPhoneやiPad向けOS「iOS」の次世代版「iOS 6」がこの秋に登場することが発表されました。この秋といえば現行のiPhone 4Sが発売されてから1年となることから、iOS 6を最初から搭載した次世代iPhoneがこのタイミングで登場する可能性は高いと思われます。

【最新OS「iOS 6」を搭載した新型iPhoneは今年後半の登場が確実視される】
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Androidスマートフォン一筋でいくならともかく、iPhoneも含めてスマートフォンを検討したいという人は、この次世代iPhoneも当然選択肢になるわけで、概要が判明するまで夏モデルには手が出しづらいのではないでしょうか。

個人的まとめ:今買うなら個性の強い機種

以上、この夏から冬にかけて予想されるスマートフォンの進化を取り上げました。すべてがこの冬に実現するかは未知数ですが、大きな変化が到来するのは間違いないでしょう。

ここからは個人的な意見として、それでもなお夏モデルに手を出すならという話題を。今購入するなら、冬モデルの登場後も輝きを失わない個性(「アク」ともいう)の強い機種を選びたいところです。この観点で言えばdocomoの「Optimus Vu L-06D」がピカ一ではないでしょうか。他機種にはない4:3の大画面変態液晶は、スペック云々を吹き飛ばすだけの圧倒的なインパクトがあります。サクッと冬に後継機種が出てきてしまったら悲しいところですが...

【夏モデルはアクの強い機種が面白そう(写真はL-06D)】
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夏モデルの発売はこれからが本番、買うにしても買わないにしても、思う存分悩んで納得行く買い物をしたいですね。


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