「Firefoxで動くスマートフォンOS」をパソコンでいち早く体験 |
Firefoxといえばパソコン用Webブラウザとしてなじみが深いですが、このFirefoxをベースにスマートフォンOSを開発しようという試みが開発元のMozillaにより進められています。この成果となる「Firefox OS」、実際に搭載した端末が登場するのはまだ先の話ですが、この度「Firefox OS」をパソコンで試せるビルド済ファイルが公開されましたので、さっそく試してみました。すぐに動かせると思ったのですが、そこは開発中ビルド、なかなか一筋縄では行かず...。続きは記事本文でどうぞ。
スマートフォンの機能を全てブラウザ上で実現するFirefox OS
まずFirefox OSの概要を簡単に説明します。Firefox OSは「Boot to Gecko」プロジェクトで開発が進められており、iPhoneで使用されている「iOS」や、多くのスマートフォンが市販されている「Android」と同じ、スマートフォン用OSに分類されます。大きな特徴は、スマートフォンに要求される電話やメール、カメラなどの機能を、すべてFirefoxブラウザ上で実現することです。アプリはHTML5やJavaScriptなどWeb標準で構築され、それをFirefoxのブラウザエンジンが表示することで、スマートフォンの画面を構築します。この仕組みによりアプリ開発者はプラットフォームに依存したAPIから解放され、Web標準の枠の中でアプリを作れるようになるという触れ込みです。
Firefox OSはパソコン用ビルドファイルだけでは動かない!
さてそれでは実際にFirefox OSをパソコンで動かしてみましょう。パソコンで実行できるビルドファイルはMozillaのFTPサイトからWindows、Mac、Linux用をダウンロードすることができます。例えばWindows用であれば「b2g-17.0a1.en-US.win32.zip」のようなファイルをダウンロードします。実行ファイルは圧縮ファイルの中にある「b2g.exe」なのですが、実はこのファイル単体ではFirefox OSを起動することはできません。
Mozillaのドキュメントによると、このビルドファイルを実際に動かすためには「profile」を別途ビルドしてb2gに読み込ませる必要があるとのこと。そのためには、
というコマンドを実行しろと書かれています。コマンドの詳細説明は省きますが、「ちょっとFirefox OSを試してみたい」という人向けでないのは明らかです。とはいえここまで来た以上引き下がれません。コマンドを実行できる環境(Linux : Ubuntu 12.04)を用意してprofileを作成し、Firefox OSを動かしてみました。
スマートフォンではおなじみのロック解除画面(写真=左)。ロックを解除して表示されるホーム画面はiPhone風(写真=右)
電話(写真=左)やショートメッセージ(写真=右)も既に存在するが、もちろんパソコン上では実際に使うことはできない
カメラは検証環境では機能せず(写真=左)。電卓は実際に使用できた(写真=右)
Firefox OSというだけあってブラウザはFirefox(写真=左)。複数タブの切替も可能(写真=右)
完成度はまだまだだが期待できそう
パソコン上で動作させたFirefox OSは、予想外に軽快に動作したことが印象的です。OSの仕組み上「スマートフォンの画面を構成するHTMLをパソコンのFirefoxブラウザで表示している」ため、通常のFirefoxと同程度のパフォーマンスで動作します。パソコンで動かすスマートフォンのエミュレータにありがちなもっさり感は感じませんでした。開発途上ということで機能が使えなかったり異常終了したりという事はありましたが、リリースに期待させる素性の良さは十分に感じることができました。
Firefox OSの最初の端末は2013年にブラジルで発売される予定で、日本での展開については全く情報がありません。Firefox OSは主にローエンド端末向けに展開される見込みということで、ハイエンド志向の日本では難しいところもあるかもしれませんが、ぜひ実際に端末で使ってみたいところです。
■関連リンク
・エスマックス(S-MAX)
・エスマックス(S-MAX) smaxjp on Twitter
・Boot to Gecko (Firefox OS)(Mozilla)
・Gaia/Hacking(Mozilla)
・パソコン向けFirefox OSのダウンロードFTPサイト